Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2016*02*09(Tue)
逃げる女 第5話 感想
大人であっても変わらぬ人間の弱さへの描写が高尚に描かれてて、なんだか物凄いものを見させられました。
脆い部分の心理描写が上手すぎる。

誰もがこういう脆さを残したまま、大人になって、でも若いうちは勢いで無視しているんだけど
何かの拍子で、自分の成長しきれなかった部分って零れてきますよね。
人が生きていく上で、理想論じゃない心の襞とか弱さをこんなにも丁寧に描き切ってくるなんてー!
非常に良い大人の心に響くドラマである。

けど、こういう流れにしてくんなら、それこそ刑事の存在いらなくね?

もうただただそこだけが無駄な気がして勿体ない。



いよいよ終わりが見えてきた第5回。
ずっと行方不明だったあづみ。船着き場に流れ着いた遺体が失踪していたあづみのものと断定された。

えぇえぇぇぇーっ!!
真相、藪の中じゃん!
遺書でも残していたならともかく、ここまで引っ張っておきながら死亡はないだろ。
仰天もよいとこだった。
え。そこがメインの話じゃないんか。

あづみが何故、法廷で証言を偽ったのか。結局分からなくなってしまった。
冤罪、関係ないじゃん!あの日何があったかも関係ないんかい!

最後はこの二人がぶつかり合うことで、何かを描きだしたいドラマなのだと解釈していたし
その上、物語も、梨江子視点であの日何故嘘を吐かれたのか、その執念だけで動かしているだけに
そこにクライマックスがあるのだとばかり思っていた。
ここは肩透かしを食らった感は否めない。


だが、それを上回る丁寧な模索と怨讐の心理描写が紡がれてきていた旅の物語だったことは確かで
裏切られ感は薄い。
とにかく、梨江子と美緒との激突が、ものっすごくパッションな衝撃を持ってドラマを象り
この旅の意味を問い掛けていた。
後半シーンは、感動モノである。
壮絶な女の人生が交差した。


ということはこのドラマが描きたかったのは、正にここなのだろう。
今回言っていた「自分のルールで他人も生きていると思ってしまう」温度差なのだと。

そういう視点で見なおせば
確かにその頂点に持ってくるまでのこれまでの梨江子の心理変化と孤独感を描写する環境説明
ここに来てついに交差した美緒の壮絶な過去から生ずる別の形の寂寥感。
その擦れ違い。

抒情的で、懐古ある街並みを風景に、人の心の何かを擽ってくる作りでした・・・・。
そうか、このドラマは美緒がテーマを握っていたのか。梨江子ではなく。
逃げる女とは、過去から逃げ続けた美緒のことだったんだなぁ。


梨江子の寂寥感を説明するために割かれたこれまでの全ての起伏が、彼女の孤独を説明していて
例えば、社会的差別だとか、家族離散だとか。
それだけに、梨江子が
疎ましいけれども居るだけ幸せである「あなたしかいない」と思うまでを実に重たく描写してきていた。

これまででその点はもう充分であるのに、ドラマは更に畳み掛けるように、まだ続けさせる。

今回だって、不倫相手とされた男から語られる梨江子像というものが、これまた、性悪説並みで。
仮にも不倫していた相手なのに、そういう目線でしか語れないのか。
彼もまた、鬱屈して封じ込めた怒りのようなものがあるのだろう。梨江子に復讐したい一人なのか。

また、切々と語った高橋克典さんの不気味さったらなかった。


だから、ここにきて、ようやく梨江子が美緒を見始めて心を向け始めたことは
どちらかと言えば、放浪の中でようやく見つけられた止まり木みたいな安らかさがあったし
序盤の喫茶店の女に誘われた時、海見て泣いていたこととか思えば
誘われるだけではなく、自分から人を求めはじめた産声の瞬間でもあるとも思えた。

だけど、それが美緒を追い込む訳で、この心理的に擦れ違わせる巧みさが、もう何とも切ない。


梨江子の言葉は、別に美緒を追い詰めるものではないのは充分分かるし
こうやって愚痴を言ったり擦れ違ったり、喧嘩したりするのも幸せなのよ、とささやかな安穏を告げただけだ。
それを、自由を奪われた女に言わせることでささやかさが際立っていた。

でもそれを、自由を得られなかった女に告げることで、言霊は自由を奪う束縛へと変わる。
均衡が崩壊する。


その言葉を切欠に、決壊が外れたように、美緒が反発、滂沱。
自分には与えられなかった自由に、狂暴なまでの嫌悪感を露わにした。

ここは音楽もなく、役者さんの演技も鬼気迫っていて、正に、怨念の暴発。
もの凄い告白シーンとなっていて、素晴らしかったです。
ただ怒鳴ってるだけとは違う、叫びが圧巻。


美緒に言わせれば、その寂寥感は不当に与えられて生きていかなければならなかった烙印のようなもので
それは梨江子も似たようなものなだけに
どちらも誰かに強制されたものであり、行き場の無い二つの怒りであったことが、面白い。

明かされた真実は、壮絶だった。
親による、人を人とも思わぬ、鬱憤の強制。
未成年であり社会保護下に置かれる筈の立場で、がんじがらめに縛り付けられ
「あなたしかいない」という言葉一つで、自己中心的な人間に振りまわされた人生。
両親に人間の尊厳すらない行為で自由も愛も奪われた。

美緒の中に解放されずに燻ったままの感情が溢れんばかりに見えて、発狂するのが分かった。
彼女の怒りが、痛いほど伝わってきて、言葉にならない気持ちがとても良く分かった。
これまでの、何処か狂ったような、壊れそうな態度は、脆い心を必死で隠しているだけでなく
溢れんばかりの怒気を押さえ込んでもいたのだろうな・・・。

「あなたしかいないの」という言葉は、自分の欲望を埋める為に相手を利用する言葉だ。
空っぽと繰り返していた言葉の意味も、自分を保っていたら自己が崩壊するから捨てたのだろうと。


その美緒の人生を、梨江子の「あなたしかいない」で交差させたプロットも見事。

思えば、梨江子もまた同じ形で、理由もなく自由も愛も無くした人間なのに
その結論に辿り着いたというのが、切ない。
人間の哀しさを浮き彫りにしていた。


様々な人間の怒りみたいな激しい憎悪が、垣間見えて、人の関係性を混乱させる。

思えばあづみもまた、何より憧れた梨江子の疎む態度を目の当たりにして
裏切られた気になったのかもしれないとちょっと思った。
プライドが高く、上昇志向の強い梨江子に、好意を持っていた分
理知的な思考で、物扱いされたことが、ショックだったとか。

梨江子は自分だけが可愛くて、他を見れていなかった部分もあるのでしょうが
あづみもまた、自分の心を受け止めてくれない梨江子への傲慢な欲望に、呑み込まれてしまったとも言える。
それはあづみの勝手な押し付けであるけれど
そこで抱いた感情は、やはり怒りに近いのかもしれない。

あづみの真意が分からなくなってしまった今、回想シーンに答えは隠されているのだと思われる。


法廷での証言は、私達を軽んじたあなたへの気味の良いささやかな復讐ってところか。
だが、今更その罪を責められるのに耐えられなくなったからって自殺ってのは
ちょっと狡い。
そういう弱さがあるから、梨江子を求めていたとも言えるのか?


そんな梨江子は、確かにあづみの願いどおり、必要以上の制裁を受け
男の言うように、いい気味だと多くの人が思うように、寂寥感を初めて知っていく。

梨江子には美緒しかいなくて、って部分がより強調されて、ほんと、この辺の設定が上手すぎでした。


あの橋の上で二人は再会する。

抱き締められる腕の温かさは、美緒にとっては温かいものではあっただろうけど
梨江子にとっても、心の隙間を埋める温かさがあっただろうと思わせた。

だけど、それさえも、梨江子の傲慢さなんですよね。
自分の寂しさを埋めるために相手を求める。それは美緒の両親と、どう違うのか。
そこを考えさせるのも、この5話まで描き続けてきた二人の女旅そのものが答えな訳で。

すっげええぇぇぇ。

そこに挿入されるナレーション。
「人を信じるというのは相手が自分と同じルールで生きていることを期待する虚しい希望なのかもしれない」

すっげえぇぇぇー。もう言葉も出ません。


違う経験をしてきた人間同士が向き合うということは、同じ感覚を共有することこそ、希少だ。
だとするならば、人が人を求めるものは全て自己満足に過ぎず、身勝手な傲慢さなのだと言っているようで
人に対する向きあい方を考えさせられる。

となれば、もう、あづみが自殺したのか殺されたのかなど、そんなツールは重要じゃない訳です。
だから、死亡させたのだなと。
そうすることで、より訴えたいテーマが際立ってきましたね~。すばらし~。



・・・・・ってなると、だから、それこそ佐久間の存在も入らないわけですよ。

この人の価値って何なのか。
何でこの人にナレーションをさせているのか。
当初から疑問でしたが、ここにきて、益々その疑問が強くなりました。

元々、共感を得られる人間像として佐久間を描いてもいないから、余計その意図が不透明である。

今回のこの秀逸な結論も、佐久間が悟りを開いたように挿入されるが
そもそも佐久間と梨江子の間でその関係性がそう思わせたのなら理解出来るのだが
ドラマで描かれているのは、梨江子と美緒の関係だ。
佐久間の結論ではない。

・・・・・・なんでいるの???


次回、いよいよ決着編。
梨江子はどういう答えを出すんでしょうか。美緒は両親と同じ言葉を言う梨江子に何を見出すのでしょうか。
その辺が楽しみで、二人の女の末路を見届けたいです。
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