Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2015*12*20(Sun)
破裂 最終回 感想
ドラマ後半の佐久間の訴える誘導された先の世界の異様さを克明に描き
行儀の良い老人社会の正義論をこれでもかと突き付けておきながら
このラスト!

医者の傲慢さと、政治の身勝手さが、お年寄りの本音という当事者の上で、まるでオセロのように最後に裏返って
何とも後味悪いっていうか、カタルシスもないっていうか
だけど妙にシビアな現実を嘲笑われたというか!

とにかく、トンデモナイ終わり方だった。
素晴らしい。こういうの、嫌いじゃない。




>最終話 未来とは今日である。救済の日とは今なのだ  ウィリアム・オスラー
終末期に対する様々な事例を挙げるように、幾つかの家族を深く掘り下げながら
死ぬという人間の終末期を問うてきた本ドラマ。

最終話は、佐久間の進めるプロジェクトが軌道に乗り始めた事で
世界が死を肯定的に捉え、まるで操られたかのように、死生観を美化した世論が形成されていく。

その一方で、これは殺人だと、ヒーローの如く、戦い始める香村。
全てを奪われ、ゼロになった状態からの復活劇を見せた前話は、まるで香村こそが
この行き過ぎた正義の、最後の砦のように描かれた。

佐久間を止めるのも、佐久間と良く似た人間である香村しかいない・・・!


・・・ってしておきながら
今回蓋を開ければ、崩れていく佐久間の失脚舞台は、まるで佐久間こそが聖者であり
人ごとのままの政治家たちの本音まで、無情に浮き彫りになり
あんなにも親切面しておきながら、手の平を返すように、老人たちの真の幸せを願う他者は、消失する。

もう誰も佐久間の声を聞かない。
佐久間の声は届かない。

これが、現実である。
政治家が幾ら気取って社会正義を唱えてみたところで、ブームが過ぎればそんなこと
まるで無かったことにされる。

利潤の生じない戦いはしないんだよ。誰も。
そんなこと、どーでも良いのだ。自分の立場と支持だけが、大切なのであり
一時、まるで神の如く、弱者に手を差し伸べる偽りの顔をしてみせただけなのだ。

そこに、真実だの、真の優しさなど、存在しない。

そんな当たり前の社会正義を、実に生々しく描いて見せたのは、皮肉にも面白い。
そんなの、誰もが分かっていることなのにねっていう作者のあざとく痛切な社会批判が聞こえる。


また、それより面白いのは
ここで、佐久間が断末魔のように叫んでいた内容だ。

佐久間がここで本気で叫んだ内容は、今までの人を食ったような作られたレポートではなく
佐久間自身にこそ、あのふざけたパフォーマンスの裏に本当にそういう信念が先に合って
その上で〝頭を使って〟選りすぐったプロジェクト提案だったのだということを
ここにきて、心の叫びと共に知らしめた。

前回から、当プロジェクトを異様な雰囲気で演出していることや
佐久間自身が鬼気迫る表情をしているため
流れとしても
観衆として着席していた政治家や記者らと同じように、佐久間の言っていることは最早
世迷言のようにしか、響かない。

響かないのにー!


何この説得力。
なんだろう、この鬼気迫る白熱の弁論はっ。

ここの佐久間の崩壊クライマックスは、とにかく絶品だった。


本当に佐久間が訴えたことは、全部異常だと思えたか?
本当に佐久間が言っていることは、全部世迷言だと思ったか?

多分、多くの人が感じたのは
佐久間が言っている事の方が、真理を言い当てているのではないかということではないだろうか。

「時間がないんだ!誰がこの国を救うんだ!
 私が人生賭けて考え出したこの法案より良い案があるなら言ってくれ・・・!」


真に、これからの老人社会問題に向き合い、彼の意見に真っ向から反論することが出来る人間が居たら
お目にかかりたい。
彼の問いに応えられるだけの成熟した社会を作り出せる術が、他にあるなら言って欲しい。

佐久間の言っている事は理解の範疇だし、ある意味正しいのだ。
生きている事と、死んでいない事は違い、家族に迷惑をかけるくらいなら、と思っている人は多い筈だ。
介護にほとほと疲れて、もう終わりにしたいと思う老老介護もまた、現実である。

人の尊厳を貫く為の選択肢は、今後ますます潜在化してくる筈だ。



そしてそしてっ!
何より凄いのが、そういう佐久間の必死の訴えを描くこのシーンが
佐久間の方を狂人というスタイルで演出されている中で叫ばせていることだ・・・!

もう誰も耳を傾けない。
もう誰も彼に付いていかない。

力の無くなった者に容赦はない。
壇上で、勝ち気に演説していた今までの圧倒的な支配者ではなく
必死に胸の内を訴える佐久間。

佐久間が一人自信たっぷりに演説するという何度か繰り返されたシーンなのに、この差!!

佐久間の真意も言動も、実は1話から何も変わっていないのに
ここにきて、狂気の側が反転することで、佐久間の意見も回転するところが面白い。

ここではまるで、本当に狂っているのはどっちなの?と、かなり辛辣な問いが投げかけられていた。


それを台詞や音楽などの演出効果ではなく
シーンとして、話の流れで雰囲気に乗ってやっちゃった所が、逆に圧巻なわけで
スタッフのセンスの良さが光ってました~。

それをまた、佐久間役の滝藤さんが、これまたものっっすごく圧巻の演技力で魅せてくれてっっ。

ここは感動という他ない。
ダイナミックさという訳ではないのですが
あんなに堂々たる威風を備えていた皮が剥がれ、怯えたような、小物臭を漂わせた
本当に力もない一国民の断末魔という緊張感を漲っている!
単なる叫びじゃないんですよね。
今までの小生意気な口調とは少し印象を変え、声色も高めにしてあって
切羽詰まった感が、痛烈に感じられました。

一瞬顔を上げるタイミングを遅らすとか、細かな動きが本当に繊細で、正に人間がそこに居た。


佐久間役は、当初、香村の最大の壁というキャラなら
このきゃんきゃんした演技は合わないのではと思っていたものですが
それが、こんな成長を遂げようとはっっ。

単なるライバルではなく、社会批判と世論の逆転を体現するキャラだからこその、この性格だったんですね~。
ふわぁあぁぁ~・・・・・スッバラシー!納得!です!!


役者さんで言えば
佐野史郎さんの芝居どころがほとんどなかったですが、その存在感の強さが圧巻でした!
何て贅沢な使い方・・・!

しかも最終回は、更にどっしりとした存在感がハンパない。
目線一つで、佐久間を切り捨てた張本人だと知らしめ
目線一つで、切り捨てた相手の部下を貰い受ける。

くをー!くをー!男の世界ー!!

このドラマは、一流の役者さんが一流の演技を擦り切らして勝負している、そんな印象を受けたドラマでした。
全員ではなかったですが、ほぼ演技派のベテラン勢で固めた脇が重厚です。



更に更に、このドラマはそれだけじゃ終わらない。

次々と去っていく支持者たちの群れと逆行し、会場に最後に唯一人残る香村。
似て非なる二人は、いがみ合い、思考をぶつけ合い、決して交わることはないままではあったが
このシーンは、実は香村こそが一番、佐久間の意見に真摯に受け止めていたとも言えることを
左右からフェードインするだけのカットで臭わせる。

佐久間の危険思想を唯一人気付き、そのために犠牲になってきた香村だからこそ
皮肉にも、一番佐久間の思想を真面目に受け止めざるを得なかった。

一番佐久間の近くにいて、共に理想を追いかけてきた他の議員たちこそが
実は流れに乗っただけで、佐久間の思想の一つも、本当は理解していない訳で。

一番の敵こそが、一番己を知っているというのは、皮肉だけどありがちで
そういうのも丁寧に描けていて、面白いと思いました。


そして、全てを失った佐久間。
決め手は林田の逮捕に繋がる 金の流れと老人対応マニュアルだった。
逮捕者の出た政治家と、心中する馬鹿はいない。
支持者もなく、失脚すら余儀なくされる。恐らく、政治家生命もこの逮捕で永久に潰える。もう終わりである。


計画の破綻。理想の破綻。
それは正に『破裂』であり、佐久間はそのまま、意識を失う。

倒れたー!真後ろに、きっれーに倒れたー!
なんか、倒れるところまで、怖い、という印象を抱かせる興味深い演技だった。
徹底された拘りを感じた。


最後に計画も立場も破綻して、それに合わせて物理的にも、脳内血管を破裂させたラスト。
彼の企みは、全て脳内妄想であって、机上の空論であったという比喩のようにも捉えられ
ここは、唸りました・・・。

ここまで引っ張るピリピリとした緊張感と、さり気なく挟まれ続けたタブレットを噛む不安定なカットが
見事に全体の瀬戸際を表現し破裂寸前というイメージがリアルで
その上での、事実上の破裂は、正に全てが合致したような演出であり、クライマックスだ。



・・・・と、ここまで腕を鳴らす強敵同士の決着を見た所で
更に物語は、もう反転させてくる。

香村が勝利者のようにシーンは進み、いよいよ返り咲いたセンター。
この治験治療の本格的な運用が始まっていく。
副作用だった破裂対策も佳境に入っていく。

全てを失った香村は、もう恐れるものはなく
ただ信念のためにその生命を燃やした。

自ら、過去のオペミスを告白し
「一人の命は俺じゃなくても救える!でも100万人の命は、俺じゃなきゃ救えない!」

だから、この心臓療法を世に送り出したら、自分は医者を辞めるという覚悟まで宣言。

全身、麻痺で寝たきりとなった佐久間に
「俺は医者だから、救うことしかできない」

まるで悟ったかのような厳かな正論をぶつける。
それはまるで、医者としての使命に燃えている勇者のようだ。

外科教授ともタッグを組み、連携準備も万端。
遮るものは何もなくなり、香村の独壇場の未来が拓き始める・・・・!

・・・がっ!

センター下に集まった、お年寄りたちはみな香村療法への支持を訴える。
信者のように集う老人の群れ。

死への恐怖から救われたいと来ているのかと思いきや
ただ一言。

「わたしを、死なせて・・・・?」

~~っっ!!!

ぞわぁぁってきた!ぞわぁぁ~ってっっ。

そう来るか!!


たっった一言!
たった一言である。
たったの一言で、全てが、またドラマの表裏が、引っくり返しやがった!!
なんてラストだ!


色んな事が去来する。
そもそも、佐久間の仕掛けたプロバガンダで世論が動いたというのは、本当だったのか。
佐久間の手腕で世の中が動いたのではなく
老人の潜在意識に元々合った本音を炙り出しただけだったとしたら?


また、医者としての身勝手さも傲慢さも見える。

最後に佐久間が「医者はバカだ」と言った意味が、妙に色を帯びて深く胸に再来する。
医者は命を助ける事しか考えていない。
官僚は、少なくとも、自分は、日本の未来というマクロ視点で、未来を憂いていたのだということならば
医者の行為は、果たして讃えられるべきものなのか?

生かすだけ生かして、その後の社会的な責務は何も負わない医者は
確かに佐久間の「医者は馬鹿だ・・・」への反論を持たない。

原作者さんの医者としての仕事観が垣間見える、ユニークな考察である。


まるで、香村を正義の使者のように描いておきながら
香村もまた、良かれと思ったことを押し付けるだけの、佐久間と同列の人間として幕を閉じる。

「俺たちは似ている」と言い合ったあの台詞が、脳裏を過ぎる訳ですよ。
なんて隅々まで神経を行きわたらせたドラマなんだろう。



隅から隅まで、色々と拘りが見られ、熟成されたドラマでした。
力の入れ方が民放とは質が違いますね~。

社会で戦う男の生き様や、そこで野生のように喰うか喰われるかの熾烈な攻防。
その辺の命を執念に燃やすギラついた戦いと
単なる敵を一方的に排除するというものではない、二大巨頭としての二面性が特徴的で
見応えありました。

そういう物語上の骨格だけでなく、脚本としても演出としても、久々に練られた物語というものを堪能致しました。
共感や反感とは違う、手応えのあるドラマを見れたなという満足感が気持ちが良い。
楽しかったし、すっげえ!というのが率直な印象。

何処にも無駄が無く、常に息を詰まらせ、見終わった後の読後感(視聴感)はハンパない。
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