Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2015*10*25(Sun)
破裂 第2話/第3話 感想
気合いを入れて作っているのが伝わるドラマです。ちゃんとした大人が良いものを手掛けているといった感じ。
大人をターゲットしているのが分かりますね~。
特にカメラワークや美術さんのセンスは抜群です。音楽は・・・ちょっと古臭くてワザとらしさ満開なのは何故だ。

例えば2話の屋上で官房長と佐久間が対面するシーン。
手前から柵を画面半分映しだし、少しずつズームしていく感じとか。
その曇天の空と、ビル群とか。
カットも、後頭部や横からなどを多用し、佐久間の掴み所の無さを存分に表わしていると思った。
長台詞の間に、細やかに変わる特に後頭部ショットは
視聴者への目新しさもあって、非常に目を引きます。

良く考えられているなぁといった感じ。

ラストの墓場シーンもそう。
少し黄色がかった埃臭くノスタルジックな画面に、少し汗ばんた印象さえ抱かせる陽光。
じんわりと肌を汚す深層下の不快感が催される。


上記どちらも、中年男二人だけの、立ち話がメインである。
特に目立った動きもないそのショットで、こんなにも緊迫感と共に、アドレナリンを盛り上げられるのは
やはり演出の威力。
見せ方の威力だと考える。

役者さんは勿論白熱の衝突劇を見せてくれていますが。

それを分かっているのだろう、2話墓場のシーンは、後半無音ですよ!無音!!
役者だけで勝負かー!

計算された視覚的技巧に、もううっとりです。
お見事!


また、大人を本気にさせるドラマというのに相応しく、脚本もイイです。どっしりとした貫禄たっぷりですね。
あ、いえ、これは原作が良いと見るべきか?知らないんですけど。

とにかく、台詞が圧巻!
一々ニヤけちゃって!!
なんていう言い回しを使ってくるんだろう。言葉のチョイスが秀逸すぎるっ。

テーマは万人受けしそうな高齢化問題であり、特に奇抜なアイディアが溢れている訳でもないが
言葉一つで巧みな戦場に変えていく。
そのマジックは一見の価値ありだ。


>第2話 天国へ行くための真の方法は地獄への道を知り避けることである ニッコロ・マキャベリ
毎回冒頭にブラックボードに過去の名言で言い得てくる演出も、小気味良い遊び心である。

香村療法で、倉木が快復し治験が成功したかに見えた矢先、心臓破裂という副作用の可能性が浮上した。
その原因を突き止めるため、かつて同じ治験をしたウサギを譲った幼稚園を訪れると
ウサギ死んでいた。
が、埋めた場所にウサギの死骸がない。誰かが持ち去ったようだった。


誰が、何の目的で、どう動いているのか。
香村視点で現象だけ追うストーリーは、視聴者をも迷宮に引き摺りこんで、ミステリーとしての素質も充分である。
全てが香村に巡ってくるけど、敵は一人じゃないから、面白さが維持出来てますよね。


一方。悪官僚・佐久間。
彼の少しウザイ狂ったようなキャラが、前回、アクが強すぎて冷めると書きましたが
なるほど、こういう展開なら、それも納得である。
佐久間もまた、ラストに〝破裂〟する、狂人の一人という訳ですが
その思想の偏狂ぶりの非現実感を、彼が口にすることで
誇大妄想ではなく、じわじわと忍びよる、とてつもない悪夢の始まりであると認識させられる。

日本人は心臓が強く、脳の血管が弱い。だから寝たきり率が高い。
欧米では全く違う現象が起きるだから医療費もかさまない。
よくドキュメント番組などで聞く使い古された論述ですが、確かにそれは一理あるかもしれない。

でもそれを、拡大解釈して、高齢化問題を繋ぎ合わせ
果ては、プロジェクト天寿なんていう、アホ臭いものを創造した、作者さんの発想力に、舌を巻く。

なんって面白い妄想なんだろう。


夢の老人ホームへこぞって入居させ、時期が来たものから、香村療法を投与される。
それで、事は万端だ。

その絵空事に於けるアレルギーを、劇中だけでなく、視聴者にも真実味を持たせるため
数回に分けて、佐久間が香村や官僚を説得するという形で色々口上を述べるのですが
それがまた、上手い!
上手すぎるっ。

なんて言葉を熟考された脚本なんだろう!


屋上で。官房長と。
「そろそろこちら側にきてもらえませんか」
「一つ聞いても良いか。医療のスペシャリストとして禁じ手を使ってまでこの国を売る。君を愛国者と考えて良いのか」
「私の父は商社マンでした。外から見れば日本の多くの欠点が見える。
 自己主張が苦手、問題は先送りにする、確固たる自我もない」
「確かにそうだ・・・」
「でも、裏を返せば全てが美伝です。奥ゆかしい、慎重、協調性がある」
「・・・・・」
「私は日本と言う国を愛し、軽蔑した。ダメな子ほどかわいいんですよ。そう思いませんか」


ここで佐久間は黙ってお辞儀をし、去っていく訳ですよ。
いきなり説得成功には至らない。そこまで求めない。
じわじわと侵食するサビのように、外堀からじわじわと攻略していく佐久間の策士ぶりが
実に良く伝わってくる脚本。

安易に、即決とかにしてこないとこが、大人の商談な訳で。


墓場で。香村に。
「そんなことが本気で出来ると思っているのか!」
「そう考えているなら先生も馬鹿な医者の一人だ!あまりに無知だ 老人医療の現実を全く理解していない!
 死ぬなというのは、時に死ぬなと言うより残酷な事だ
 彼らにとって死は文字通り救いだ
 もう充分だから、早く楽にしてくれと誰もが思っている。何故その声に耳を傾けない!」


佐久間の唱える高齢化問題は、実に的を得ている。
的を強調しているというべきか。


このドラマで表向きに対立しているのは、誰もが抱く利己的で稚拙な理屈ではなく
社会平和と言った、見た目大きな、理想郷だ。
だからこそ、佐久間の言う思想の狂気染みた発想や、危険思想が、より強固なものとして映る訳で。

確かに、真実を知らせて高齢者に死んでくれと募っても、誰も入居はしないだろう。
そこはオイシイ餌で引き寄せる。
そうして、何も知らせないまま、時が満ちたら、香村療法を投与するだけで、目的は達成される。
香村療法の副作用が出るのが、半年後っていうのも、何たる魅力であろうか。

強ち、実現可能な気がしてくるから空恐ろしい。

その最前線で、喰うか食われるかの、綱引きを繰り広げる男たちが、堪らん。



「見くびられたもんだな・・・俺がこんな計画に協力すると思ったか。俺を利用したいなら、もっと頭を使え!!」

両手で、香村が佐久間の頭を鷲掴みして、低く怒鳴るラストシーン。
無音だよ。二人だけだよ。
なのに画面から目が離せないこの圧力感。

すっげえぇえぇぇー!

・・・・・・・悩みの種と言えば
主演・椎名桔平さんの滑舌が悪くて、所々何言ってんだが分からないことだ。


>第3話 勝つか滅びるかの時が来た ナポレオン・ボナパルト
香村は自らの香村療法の脆弱性で佐久間の後手に回らないよう、副作用の存在を世間に公表し、先手を打つ。
ただし、破裂することは一切伏せ、心臓発作と言い換えた。
その間に、副作用回避手段の解明を急ぐ。


一歩出遅れた佐久間は
今度は、かつての医療ミスで訴えられそうになっていることを利用することに方針を変える。

官房長にも、一ヶ月待ってくれと土下座。
「土下座はタイミングさえ間違わなければ、一定の解毒効果がある」

もうね、なんて台詞なの。
こんな台詞、民放では出て来ないぞ。
そういう解釈的な発想が一々私の心を擽るんだが。
解毒作用だよ、解毒。


「プロジェクト天寿なんてものが、本気で国民の理解を得られると考えているのか」
「高齢化は待ってくれませんからねぇ、
 意図的に綺麗事を流してきました。医療の効率化、誰もが安心できる老後とかね。
 国民にせっせと絵に描いた餅を見せているんです。勿論それは口には入らない。
 そんな金は日本のどこにもありませんからね。
 だから、適当に飢えた所で食べられるものから出す。現実を受容させるってことですよ。
 腹が減ってりゃ堅いパンでも口にしますよ国民は」


佐久間の理想論は、人を操る術があると思う。
どうすれば、人は動くか。
権力か。褒美か。

このドラマの見所は、こういった裏取引の妙であって
医療に対する、真っ向から批判した優等生ドラマではないということだ。
ここまで医療問題に首突っ込んでおきながら。

ある意味脚本も潔くて男らしい。


「そのマキャベリーが言っているんですが、個人の間で真義を護るには契約書や法律が役に立つ。
 だが、権力者の間では審議はただ、力に因って守られる」

法律は正義の味方ではなくルールを熟知した者が勝つんだよ、とか
やけに規律と権力存在をアピールしている回ではあったが、その意味が分かるラストの佐久間の一手は圧巻。

その証拠針まで強引に手に入れ、買収した解剖医も再買収し
医療ミス隠蔽の証拠を完全に握った上で、再度、交渉に訪れた。

「私と先生の間では、契約書は要りませんよね・・・」

くおおぅー!
そこで、この台詞かー!

くっそたまんねぇ。

つまり、もう、小利口なルールは必要ないでしょ、私は貴方を力で制御したのだからという
真っ向からの宣戦布告ってことだ。
くぉぉぅー!



ぐうの音も出ない素晴らしさですが、もう一つ、特筆しておきたいのが、この作者さんの人を見るネガティブな視線だ。
どう描けば、如何に人をイラッとさせるか。憎らしく描けるか。
その辺が実に巧みに研究されていると思う。

例えば、序盤から薄々感じていたのだが、女弁護士のキャラとか。
言葉の節々に、なんかシコリガ残る喋り方をしていたのだが、今回。
弁護士なのに証拠も掴まず、逆上して平手打ちとか、最低。
人間を最低に見せる描写が上手いですね。

そういえば、このドラマって、感情移入したり、共感を覚えたりするキャラがまるでいない。


それともう一つ。
時折出てくる香村親子。
息子の話はほんとダレて、いらなかった箇所でしたが
何のためにこの取ってつけたようなホームドラマがあるんだろうと考えた時
最後に全てが〝破裂〟して、表面化した時
無知の罪なき善人が必要なんでしょうね。

ここまで誰にも感情移入できないキャラをメインに繰り広げられるドラマだから
破裂した後は、虚しさだけしか残らない可能性もある。
そこに少しでも人間的哀しみを添えるため、少年の存在が効くのかな、とか、邪推しました。
劇中というよりは、視聴者アピールかな~と。


あ~、最後に。
凝固してる血がちょうリアル。
二度も見せられて、しばらく赤いジェラートは喰えなさそう。
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