Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2012*04*05(Thu)
秘密 薪さん7(5巻)
前回から続いています・・・・・

三者三様の罪に対する向きあい方を示しつつ、ラストは罪を隠し続けられた悲劇で締めくくる。
その最後の最後の着地点がまた見事だった。


浜田尚の脳を見終わって
浅い正義を振りかざし過去に触れた軽率さを戒めた後
秘密を隠し続ける側から
秘密を暴露された側へと場面が切り替わるのもまた実に巧かった。
こうすることで秘密に関わる立場の奥行きが広がった。

薪さんが秘密を抱える重さと
逃れられない枷が
克明にされてくる。
こういう視点からの辛さを見せてくる。
見事である。


それには具体的には二つの視点があると思う。
真実を告げない罪と
憎しみに狂っても
そういう自己の解放は実は正直な甘い感情だということ。
そこに翻弄される薪さんが痛くて見てられなかった(>_<)


まずは光浦あかねさん。
彼女はそもそも60年も前に一度人生を台無しにされた人である。
この60年間さぞ真実を知りたかったことだろう。
でもこの人にとって真実ってなんだったんだろう。

60年も前にめちゃめちゃにされ
60年後にまた崩される。
この人の人生は罪に始まり罪に終わるのだ。
たった一つの罪がこんなにも誰かの人生を左右してしまうなんて。
当事者だしと言われればそうかもしれないけど。

彼女は罪の告白如何に関わらず
罪そのものに人生を壊されたと言える。
知らずにいれば悲しみにくれたまま悲劇の人生で終わっていて
知ってしまった今は憎しみに染まる犯罪者となった。
例えば真実を知らずにいれば
息子亡き後生きてきた人生までもが
何だったのかとかまでは思わなかったかもしれないけど。
でも真実を知りたい欲求が満たされないまま終わるのは
しんどいだろう。

この人にとっての“真実”というより
この人にとっての人生って何だったのだろうと思う。
きっと彼女自身この60年その問いを毎日繰り返してきた筈だ。

つまり彼女は
秘密を知らされなかったために苦しんできた側の人間である。


彼女自身は
真実を見る前に仇を取った。
それは事件の真実など彼女にとって何の意味もなく
起きた事実だけが全てなのだという意思でもある。
梨田の犯した罪だけが重要であり
これから知らされる事件の真実など
何の価値もないという姿勢を露わにしている。

実際その後知らされた真実は
また酷だった。
ささやかな淡い夢なだけに
酷だった。

最期まで自分を想っていた息子。
どうして助けてやれなかったのか
自分を責めただろう。
最期に自分の知らない所で自分を呼んでいた。
何十年も前の
自分ではどうする事も出来なかったその悲劇を
今ここで知らされて
彼女の気持ちは如何ばかりだったろう。

“知る”ことに何の価値があったのかとまで思ってしまう。

自分の無力さとか時の無常さとか
色々胸に突き刺さったと思う。
取り返しのつかない重い時の壁が
私自身の過去をも彷彿とさせて
どうして助けてやれなかったのか強く強く後悔する。
つらいよな。
自分のせいではなくても
自分を責める後悔が後から後から止まらない。

そんな彼女に人殺しの罪など痛くも痒くもない。

この意味では
罪を告白することや真実に良い面など無くて
過去にはもう触れない方が良いのではと思ってしまう。



ここで薪さんが一縷の望みを掛けて口にしたのは
贖罪の言葉だった。
これは起爆剤となった梨田の弁護ではなく
罪を犯した者が少しでもそれを悔いていれば
遺族も気が楽になるかと思って言った
彼なりの思いやりだ。
薪さんはいつだって弱者の傷痕に敏感だ。

でも彼女は言う。
「では今度はその悔いている映像を見せて貰えるのか」

光浦あかねは映像を見る前から
梨田がどんなに悔いていても許すつもりもなかった。
だから息子が最期に自分を呼んでいただろう夢を見せられれば
尚更殺人を行ってきて正解だと思えた筈だ。
それくらい遺族の傷痕は深い。
遺族に犯罪者の声など何の価値もない。

それを本当は薪さんだって充分知っている筈なのだ。
それでも敢えてそれを口にしたのは
光浦あかねに救いを与えたかったからだ。
せめてラクになって欲しかったんだ。
傷ついた者に鋭敏に同調出来る薪さんならではの
優しさだ。

しかしその恩情が届かなかったばかりか
薪さんに過去の告白がもたらす無情を付きつけた。
彼女にとって真実は意味が無く
知らされなかった事実だけが重いのだと暗に言う。


まあ彼女にとってこれが良かったか悪かったかは分からないけど
罪は
これだけ誰かの人生を変えてしまうという力があるもので
これだけ誰かが何処かで苦しんでいる性質のものだということを
薪さんに改めてあてがった。

そしてそれは過去を知らされたというよりは
隠し続けられたことによる憎しみの増長のように見えた。
何十年も掛けて
息子を奪われ
信頼していた人には裏切られていて
夫もこの世を去り
自分も90歳まで生き
たった独り残された、
もう今更今生に何の未練があるというのかという
もう誰もいなくなってしまった現在における
彼女の魂の叫びが
彼女の全てのように見えた。

それは紛れもなく過去を知らされなかったことで生んでしまった
悲劇である。


そんなに気軽に扱えるものではないものを
自分は沢山持っている。
抱えてしまっているというどうしようもない後悔。
それを充分知っている上に
また固辞された。
こんな仕打ちってないだろう。

4巻SPの「そんな自分勝手が許されるだろうか」っていうのは
許されるわけがないって分かっている気持ちの裏返しだ。
それを更に責める様なこの結末(>_<)



もう一つの見方が羨望である。

「この手で守るべきものがまだ何かありますか」
この極限の台詞に
薪さんは何も言いかえせなかった。

何故こんな愚かなことをと一般論で問うても
そんな表面的な言葉が
地獄を見た人間には薄っぺらく届かないものであることを
誰より薪さんが一番知っているからだ。
彼女の言葉の方が何倍も説得力があることを
薪さんが一番知っている。
だから共感してしまった。

この、説得されてしまうという薪さんの心境を思うと
また心愛い。


大体、彼女を引き止めるものが何も無かったと言う環境は
考えてみれば薪さんの状況とも酷似している。

後に明かされるけど
天涯孤独という話だし
一番大切だった人を殺してしまって
今更今生に留まる理由が希薄なのは
薪さんが一番理解出来たのかもしれない。
だから一線を超えてしまった彼女に
共感・・・・いやもっと・・・・羨ましく?思えた可能性もある。

彼女のように生きられたらラクだろうにと
彼女の選択を最もだと
肯定したようにも見える。


自分ではもう過去を手離す判断はできない。
前記事では4巻SPではどっちに転んでもおかしくない状況と言ったけど
基本薪さんの真の願いは
秘密との心中だ。
隠し続けたい・誰にも見せない・死後も知られたくない、というのが
本当の薪さんの願いである。
自分のためではなく誰かのために
そうしていくと決意した。

そんな非道なことを自分だけ優遇される状況が
如何に傲慢なことかと感じる潔癖な罪悪感と
周囲への波及効果への配慮で
自己矛盾が生じている。
ばらしてしまいたい自分と知られたくない自分が葛藤している。
ついでに自分の意思などそれらの前では完全に沈黙していることが
複雑さを更に高めている。

潔癖で純真で誰よりも優しいからこそ
薪さんは苦しむんだね。
もっとラクに生きられる方法は幾らでもあるだろうに・・・・(>_<)

それがここで反論できない姿にすべて表れている。


そこへ躊躇いもなく真っ直ぐに自分の人生に決着を付けた
光浦あかねの決断。

彼女は復讐とか怨恨とか仇討とかそういうドロドロした感情よりも
全てを終わらせに来た感を強く感じた。
自分に真っ直ぐだった。

一番守りたかったものが守れなかった人間に
名誉だとか体裁だとか人生の幸せだとか
世間の杓子定規に括られた一般論なんて
何の価値もない。
そんなこと私も良く知っている。

だからここの光浦あかねの静かな闘志は
法を犯した間違えた行為なのに
とても強く真っ直ぐに見えた。
きっと薪さんの目にもそう映ったと思う。

だとすれば
もしかしたら彼女の姿は
過去に狂わされた悲劇の人ではなく
自分で過去から抜け出した解放に見えたかもしれない。
自分の欲望のままに生きた姿は
さぞ甘い魅惑に見えたと思う。


薪さんが自分の運命から逃げようだなんて姑息なことを
これっぽっちも思っていなくても
目の前で見せられた事実と
この、ほんの少しの羨望は
薪さんの中に僅かな不貞を感じさせたと思う。

本当は不貞なんかじゃなく一般的には当然の感情なんだけどね。
潔癖な薪さん自身がそうは思わないから。



過去を抱えきれなくて逃げた者。
過去を守るために死んだ者。
過去を知らされて傷を負った者。

三様の最悪な末路が描かれて
どれもが結局その罪によって人生を変えられた。
特に
過去の公開で狂っていく尚と葵、光浦あかねの末路は
薪さんに乗り越えられない大きな壁を付きつけたと思う。
軽率に秘密を暴露した梨田の判断は
自戒を促したと思う。

耐えきれす吐き出した梨田の行為の波紋を想えば
彼の無神経さや浅はかさが
私達にだって理解出来た。

生きても死んでも解放されない。
言っても黙っても許されない。
誰にも言えない。
誰も分かってもくれない。

結局どうすることもできなくなる薪さんの苦しみが
深く深く沈んでいく。
どうしたらいいのか途方に暮れて
ただただ苦しむ薪さんの姿が痛々しい。

薪さんの抱えているものの大きさとか、
特に何故泣くほど辛いのに抱え込み続けるのかとか。
4巻SPでの涙が非常によく伝わってきた。
自分のことじゃない苦しさで
自分を哀れに思う淋しさで
重たくて泣いている本当の意味が改めて実感できた。


5巻は薪さんの抱えているものの意味と前記事で書いた孤立が
とても良く引き立てられている物語で
その見事さはすんごいんだけど
とにかく薪さんの孤立が辛い巻だった。

ラスト。
何も言えず独り押し黙る薪さんが本当にとても痛い。
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COMMENT


もくずさま、今晩は。

もくずさまの考察を読ませて頂いてから、
5巻を読み直しました。

>過去の公開で狂っていく尚と葵、光浦あかねの末路は
>薪さんに乗り越えられない大きな壁を付きつけたと思う。
>軽率に秘密を暴露した梨田の判断は
>自戒を促したと思う。

事件がこうして、薪さんに帰っていくことに、
薪さんに絡められていることに、
言われてやっと、やっと気付きました。
ホント、『秘密』が好きって言えるのかっていうレベルの
浅はかさです。

知ってしまうと、がんじがらめで身動きができない
薪さんが本当に痛々しいです。
もくずさまのように、薪さんの心に寄り添える人が
傍にいれば、薪さんも少しは救われるのでしょうか。
薪さんにせめて夜くらい、安らかな眠りが訪れてくれることを
願ってやみません。

5巻は微妙に思うシーンがあるので、なかなか
読み返さなかったんですが、いい機会でした。
2012/04/06  | URL | ゆずき #- [edit]


本当に5巻は辛いですよね(T_T)・・・ってか4巻が酷すぎるんですよね。
私も何度も読み直しては苦しくなります(>_<)

あまりに悲しい展開なので
感想も巧く書けず文章も至らない所が多々あり読みづらかったでしょう。
ごめんなさいっ!
書きなおそうと思っても辛すぎて上手に筆が進まないんです。
普段も下手くそな文章ですが
いやはや思った以上に5巻の感想は難産です(T_T)
今書いている分も含めて
こんなに時間を掛けてしまったのは初めて(-"-)

ここの薪さんは本当に独りぼっちという雰囲気でしたね。
分かち合える人が必要だなと
痛烈に感じました。



>がんじがらめ
本当にそうですよね。
どうすることも出来なくて立ち尽くす薪さんの心境が
もう見てられなかったです。

それも全部薪さんとは無関係の理由なんですもん。
いつの日か薪さんには安らかな夜が訪れて欲しいと
私も強く思います。



>微妙に思うシーン
やっぱり修羅場のことですかね?
2012/04/08  | URL | もくず #- [edit]


5巻は4巻の影響を色濃く受けたまま
薪さんを取り巻く環境が酷すぎて本当に苦しくなりますよね。

そのせいかこの記事も多々読み辛い部分もあったでしょう?
何か苦しくなっちゃって巧くまとまりませんでした(T_T)
今書いている分も含めて本当に5巻の感想は難産です。
辛すぎるー!

書きなおそうとしても途中でしんどくなっちゃうんですよね・・・・(>_<)

取り留めもない文章にパチありがとですw
もうお情けくれたのかなと思っております・・・!(笑)

でも言いたい事だけは伝わっていたようで
ほっとしております(^^)
良かった(^^ゞ


>鈴木さんを失った両親
うわーっっ!!!
言われてハッとしました!そーだ!
そこまで考えが至りませんでした。

薪さんは老婆の決断に鈴木家の怨念を見たかもしれませんね。
確かにここでの彼女の想いは
「二度と敷居をまたぐな」と吐き捨てられた
あの雨の日に感じたであろう母親の愛情と重なります。
それによって薪さんは自分の行いを改めて責めたかもしれないです。

そこまでは気付かなかったっっ!

そう考えるとラストの塞ぎこむ後ろ姿は
益々重みが増して見えます。


5巻は本当に薪さんにとってはしんどい展開なのに
それでも誰かのために身を削って一生懸命で
素敵なんだけど
なんだか切ないですね(>_<)
2012/04/08  | URL | もくず #- [edit]
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秘密にする?

    
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