Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2012*03*19(Mon)
秘密 薪さんと青木8(9巻)
前回から続いています・・・・

次は青木side
青木は電話をかけた後に部屋の状況分析や死体捜索を行っているから
多分家に入ってすぐ血まみれの室内に驚き
赤子の泣き声の傍で更に不安を煽られ思わず助けを求めたんだよね。

現場に出る仕事じゃないとはいえ
一応警察官なのだから現場検証してから電話してもおかしくないのに
何一つ動くことが出来なかった。
それは青木の困惑を如実に表していると思う。

その助けを求めた相手はまず婚約者の雪子さん。
でも繋がらない。
これで更にパニクってしまった。

薪さんに向けてようやく発した第一声が「まだ狂っていないんですね」

ようやく外界とコンタクト取れたことにホッとし
躊躇いがちに縋る心境が良く分かる。
自分だけが置き去りにされてお化け屋敷に取り残された様なものなのだ。
心細くても仕方ない。
しかも青木はみんなに愛されて育ち
恐らくはこんな風に世間や周りや状況から突き放されたことなど
一度も無かったのではないだろうか。
恐かったと思う。

薪さんに促され(というか当然の質問を返され)ようやく辺りを見回す青木。
そしたらホッとしたのも束の間
記憶の中にある世界と酷似した世界が今現実にも目の前に広がってた。
これは恐い。

何がどう恐いのかっていうのは後でまた述べるけど
自分があやふやになる感じで超恐いんだ。
確かなものが何もなくなってしまって自分さえ信じられない。
いや自分が一番信じられない感じ・・・?

この時青木の頭の中で目まぐるしく色んな物が駈け廻ったことだろう。
とにかく記憶の中の映像と酷似した状況から
その不安を払拭させるために
これは嘘だという事実を見つけて逃れたいために
返って青木の思考を活性化させ理性的に行動させている。
しかし現実と記憶に何の差も出ない。結末は同じ。
現実と夢の区別がどんどん曖昧になっていく。

不安を増幅させて電話口へ。
事情をまくし立てた。
するとそこから聞こえてきたのはそんな曖昧な自分を分かってくれる声。
「ちゃんと聞くから」

これでとうとう青木の中で張り詰め抑えていた不安が爆発してしまった。
誰も助けが来ない中で大丈夫って言われるほど安心なことってない。
力になってくれる声ほど心強いものってない。
ましてやあの薪さんの声だもんね。
この一手が青木の中で後の“妄信”への決め手になったのも無理はないって。

ここでついに青木が泣きだしてしまったこととか
取り縋る不安や緊張が良く表されていて
見ているこちら側でも薪さんが完璧なる神にさえ見えてくる。
「切らないで下さい」
だからここの青木の懇願も痛いほど理解出来る。

どうしようどうしようって焦って困惑していく中で
今一番の難点は今この場に誰も居ないって事だ。
誰も見ていない。
誰も分からない。

説明しても分かってくれるかどうかも分からないのに。
そんな中で縋った相手の方から
「もしかしてコピーキャットのことを言っているのか?」

すっごいよねぇ・・・。<薪さん
多くを語る前に分かってくれる。
たった三つの言葉しか言っていないのに全部を察してくれた。
頭の回転が速いのと物事の先を読む力がハンパない。

これがどれほど嬉しいか。どれほど安心するか。
だって今誰もここに居ないんだもの。
果ては警察まで来ちゃって
誰が自分を信じてくれるというのか。

何より今、自分が一番自分を信じられないのに。

そんな時頼りになる人が味方してくれて
しかも大丈夫って言ってくれたら涙の一つも出てくるよ。
「僕がちゃんと聞くから」
んーもうやっさしーなぁ。
優しさがもーめちゃめちゃ身に浸みる・・・・・
あ~もう薪さんっっ!!!



で、話は飛んで葬儀会場。

姉の脳が取りだされた事を知り青木はようやく被害者側の立場に立った。
自分が今まで取りだすことについてむしろ好意的に思っていた事や
そのことで楽しんだり喜んだりしていた自分をようやく客観的見れた訳だ。
被害者視点なら主観的とも言えるが
とにかく今までとは逆の発想が出来た。

ここでの青木の負荷に二つの断片が内包されていて
それが青木の心境により濃密さを与えていると思う。

1つめ。
かけがえのない大切な人を失った時、何が一番辛いのかというと
その人が燃やされる瞬間である。
祖父母とか親戚とか親ではなく・・・・・もっと身近で大切な人を失った時感じるのは
その完全な消失の瞬間だ。
肉体が消えて完全に存在が消えるという意味では無い。
燃やされて脳が・・・記憶がこの世から消えてしまうことだ。
この世からその人の想いが燃やされてしまうことだ。

もうこの世の中に二人の思い出が自分の中にしかなくなってしまうってことなんだ。

自分の中にあるだけの思い出なんて無いのと一緒だ。
言葉にしなかった想いが相手に届かないのと同じで
自分が知っているだけの記憶なんて幻と一緒だ。
嘘か真実かなんてどこで見分けるのか?
自分しか知らない事なんて証明しようがない。そんなの真実じゃない。
誰も知らない。
誰も信じて貰えなくなる。
嘘だって言われたって反論するだけの証拠もない。
夢だったって言われても仕方ないくらい儚いものになる。

こっちの世界にMRIは実現していないけど
脳を取りだされるのは焼却されるのとほぼ同意だと思う。
脳を取りだされた後の肉体なんて
自分を知っている記憶を持たない唯の抜け殻だ。
別人と同じだ。
大切なものはみんな頭に詰まってた。

それを取りだされるって
それが無いって
悲しいなんてもんじゃないよ。

その脳が全てなんじゃないか。

それを取りだされて抜け殻だけで葬式なんて馬鹿にしてるよな(>_<)

順風満帆であっただろう青木にとって
人生で初の自分ではどうにもならない事態だったと思う。
頑張るだけでは勝ち取れない未来もあることを知っただろう。
この世に理不尽な扱いなど普通に起きることを知っただろう。
一つの命を奪った責が自分にあるという罪悪感は
努力だけでは解けないしこりを残した筈だ。
そういう人生の裏側にようやく触れた瞬間だった。

ここで絹子の言葉がとても効果的に重く響き渡っているのも
深みを増している。
今の青木にはそれに反論できるだけの理由を持たない。
怒りを向ける資格もないと打ちひしがれたと思う。

そして青木は他人の人権を損害するような側面を持つMRIに
忸怩たる思いを抱き強く自分を責め始める。
MRIのその面に対するそういう思いはとても貴重な財産だ。
本当は他人が触れてはいけない領域なのだ。

しかしここから抜け出すためにその罪に再び手を染めるっていう考えに至るのも
また良く分かる。

そこには二つの意図がある。
一つは薪さんに縋りたい思い。
もう一つは真実を見て理由を知りたい欲求。

二つとも良く分かる。
薪さんの傍に居てこの恐怖から逃れたい救済。
そして何故こんな目にあわなきゃならなかったのかなんてのは
被害者遺族にしてみれば当然の感覚だ。

そのために
今そのせいで苦しみ、恥ずべき行為だと悔やんでいるのに
また元凶であるそれに手を伸ばす。
他人にとっては理解できなくても
青木にとっては無理のない結論だった。

同時に私が感じたのは
青木にとって秘密(記憶)とは
丁重に保管するべき貴重品なのではなく
人にくっついていく単なる付属品程度の認識なのかもしれないってことだ。
人間の本質は別の部分にあるという身心二元論っていうか。
少なくとも経験則ではないんだね。
だからプライバシーという言葉にそれほど拒絶反応が出ないのかもしれない。



とにかくそんな崖っぷちに追い込まれて青木はその決断を下した。
そこに至るまでに罪悪感や後悔や倫理といった多くの負荷が青木の心を支配し
青木なりに苦しんだ末の結論である。

そしてここでいう青木の苦しみのもう一つの断面が
事件現場でMRIでかつで見た映像と同じことを再現されたという皮肉だ。
<事件の概要1>でも書いたけど
これは単なる偶然の一致の筈だ。

でもそれが結果的に青木を大いに追い詰めた。これはほんっっとに恐いんだ。
ハンパないんだって。
だから寝ても覚めても・・・っていうクダリは
ものっっすごく共感した。
それはまるで2年前の私だからだ。

起きている間は理性が働いて厭な記憶や考えを何とかして振り払う。
記憶を心の奥に押し込む。
だけど寝ている間は無意識だから
無防備に自制が効かなくて夢に見るんだ。
昼間一生懸命抑えていたその厭な記憶を再現されるんだ。

夢の中でも同じ事が繰り返される。
毎夜毎夜繰り返される。
逃げようとして泣き叫んで飛び起きる。
でも目覚めた世界はその厭な事が現実になった後の世界。
もう事が起こった後の世界で
結局夢の中でも現実の中でも
悪夢は続いていくんだ。

朝日はいつも涙で滲み多大な疲労感を蓄積してまた一日が始まっていく。
悪夢の現実が始まっていく。
現実から逃れたくて眠りにつくのに
夢の中で毎夜悪夢が繰り返される。
最早眠りも安全な場所ではない。
逃げ場はない。

あれ・・・?何か4巻の薪さんみたいなこと言っている・・・?

でも本当にそんな感じなんだ。
もうどっちが本物でどっちが夢なのかなんて全然分かんなくなっていくんだよ。
分かるのはこの悪夢に絶対終わりはないってことだけだ。
もう事は起きてしまった後なのだから。
こっちが真実なのだから。

まあ、私は寝ている間に何か口走ってもそれは全然構わないからな(笑)
その分薪さんより気は楽だ。


そんな悪夢を初めて知った青木が
そこから逃れたくて何かに縋りたくなる気持ちは痛いほど分かる。
恐くて恐くて堪らない気持ちもすごくよく分かる。
そこで狂っていない何か・・・誰かを求めて
思い付いたものが薪さんだったとしても
何の不思議もないと思う。

もしかしたらその現実と夢の境目を見つけたくて
敢えてMRIの世界に挑んだのかもしれない。



奇妙なのは仕事やMRIに対し恥ずべきことと感じていたのに
その頂点に立つ薪さんを同様にみっともないとは思わなかったことだ。
仕事に嬉々として向かう自分を恥じても
それを先頭に率いる薪さんの姿勢まで恥ずかしいとは思わなかったことだ。
果ては救いの神として求め始めるまでに
崇拝している。

じゃあここで最初に青木が感じた後悔って何だったのか。
MRIで人のプライバシーを侵害してきた行為そのものではなく
それを当然の様に思っていた自分の態度を恥じたのか。

だとしたら自分の罪とはやはり一過性の一行為であって
それを悔い改めれば自分は救われると考えていそうだ。
自身が穢れてしまった故の天罰だとは思っていないんだね。

やはり青木は秘密と個人の尊厳は別物という視点で世の中を判断している。
「秘密はどうでもいい」という台詞が
この点に於いても
青木には導き出せることになるね。


――――――ただ・・・・青木は気付いていないけど
ここで気付くべきは
その夢中で求めた相手は
「狂っていない誰か」ではなく
「同じ世界を知っている誰か」であった。
薪さんは狂っていない場所から青木に手を差し伸べてくれたのではなく
同じ苦しみを知っているから
助けてあげたいと思ったのだ。

その僅かな違いが後に大きな隔たりへと発展していってしまった。
薪さんに再び殺人を犯させるほど大きな事態を引き起こしてしまった。

傷を知らない青木がそんなことまで気が付けるとまでは期待していないが
自分の“存在”に責任を負おうとしている薪さんと比べ
青木は随分と都合の良い主義で動いていることは否めない。
けど結局そういう人間が一番幸せに生きられる。


以上なんか少し青木を批難しているように見えるかもしれませんが
そういう意図は持ってないです。

青木には何も知らないまま生きていって欲しい。
何故ならそれが薪さんの夢だから。
薪さんが出来ることならそう生きたかったという道だからだ。
薪さんの夢くらい壊したくない。

自分が叶えられなかった道を最後まで歩いていって欲しいと願う。
どうか幸せであれと。
本当にそう願う。
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COMMENT


あ~・・・・この展開はかなりエッジが効いていますものねぇ。
9巻冒頭から誰かが死ぬことを仄めかされていなかったら
私もショックが強すぎたと思います(>_<)
悲劇ってこんな風にある日突然起こってしまうんだもんね・・・・やりきれないですよね。



>信じられるのが薪さん

それって普段から薪さんしか見えていないってことにもなりますよね。
真っ先に薪さんを思い浮かべるのは不思議はないですけどw

その後も第九メンバーのことはチラリとも過ぎっていない所が悔しいです。
他に頼るものが思い付かないから
どんどん引きずってしまったんだと思います。

みんな色々考えてくれているのにそれが見えない青木が悲しい。
それで薪さんにおぶさってちゃ世話ないよ!(笑)

今まで共に働いてきた人達なのにね(T_T)
そりゃ仕事ですし仲間とか友達とかそういう慣れ合いではないのかもしれませんが
でももう事件として成立してしまっているのだから
青木個人の問題ではなくなっている。
ここで薪さんだけに縋るのはおかしいですよね。



>ただの証拠品

あ~うん。私もそう思いました。
兄弟仲も良いという話ですし
自分のせいっていう負い目も加わり
人の死がこんなに軽くていいのかって
ようやく疑問を持てたのかも。
つまり秘密は証拠品ではなく命そのものっていうか。

ただ父親を亡くした時に秘密の重さには気付いたでしょーに。



>薪さんに疑問

そうそう!そこなんですよ!これが恐いところですね~。
こんなに後悔していても
その頂点に立つ人物や
同じ様に嬉々として捜査してきた仲間を
卑下したりはしていない。

自分だけを責めたのね。それは汚れ無くて良いですよね。

でもここで青木が姉に詫びたことって結局何だったのか
深く考えるとちょっと恐くなります(笑)
2012/04/16  | URL | もくず #- [edit]
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秘密にする?

    
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