Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2012*12*16(Sun)
踊る大捜査線THE FINAL 新たなる希望/ちょっと真面目に
折角なので最後にちょっと真面目に感想を。作品が提唱するものについて思ったことをちょっと。
別の意味でディープです。(ちょっと長い。そしてシツコイ)


今回の映画って客観視してみると
結構徹底的な要素を多分に散りばめたものになっていましたね。
ファイナルだからこそ多少あからさまでもいいかと踏んだのかも。

至る所に乱立する表裏一体と言わんばかりの矛盾や観念が
結果的に一つの形は生みだしているものの愚直な結論を導き出してはいない。
踊るの一大カラーであった階層社会を軸に
各支点からの手の内を曝け出しこれでもかこれでもかって不透明感を増し
観客を煙に巻いている。

透明度を増し終盤に向けて収束していったドラマとは真逆ですよねー。
あの頃訴えていたものが実に穢れなく綺麗だったかを暗喩しているかのよう。
逆にこの混沌さが、夢が現実にかなり近づいたものとも言えるのかな。
単純に末端の権限を唱えていた当初とは明らかに違う。
そこに製作者の意図があるんだろう。


そもそも踊るって周知のようにピラミッド型の階段的組織構造の理想を唱ってきた。
トップダウンを否定しているのではなく
「リーダーが優秀なら階級社会も悪くないよ」<OD2
だから「室井さん。アンタは穢れず上へ行け」だし「ただ上へ行くのじゃ意味がない」だし。

でも別に末端にいる青島くんがただ無邪気に自由への理想論を唱えていた訳ではなく
「これ持ってたら人助けられないってんならこんなもん要らないっすよ!」
「何で下に情報が降りてこないんすか!」って言う様に
階級的な立場に基づいた観念が弊害となる事態の回避だけを求めてきた。
彼の目的は飽くまで“困っている人を助けたい”だから。

じゃあそんな青島くんが中間管理職になったらどうなるのかって踏み込んだのが
OD3からで
でもこれって室井さんの立場を少しでも理解したいという
青島くんの想いの表れだったのかなという妄想が広がる訳ですが
そうなった時の青島くんが実に愉快な肉付けをされている。


ファイナルは押収物の紛失・押収品での発砲・身内の不祥事といった事実を
抹消しようとするところから始まる。
今回の映画のテーマは誰が見てもどう見ても「隠蔽」だ。
(思えば踊る全般の壮大なテーマも隠蔽だ)

その隠蔽の目的は自己利益だったり自己保身だったりする訳ですが
「階級社会」が映画の縦軸として官僚(悪)VS所轄(善)となっているなら
横軸にこの「隠蔽」があって個人(悪)VS組織(善)が存在している。
面白いのは
前者なら「善」に入る青島くんが後者では「悪」に分類されるんですよね。(一時期的に)
もう単なる平たい正義VS悪の構図じゃない訳です。
これは「隠蔽」という切り口に着眼したから浮き彫りになった特徴。

青島くんは単純な薄っぺらい正義のヒーローではなく彼にも悪い部分がある。
だったら官僚サイドにだって彼らなりの言い分が合って
一概に悪とは言えないんじゃないとした所が
実にカラフルだと私は思った。

もちろん誰もが知る通り、青島くんには「真ん中に自分だけの法律」ってのがあって
「他の規則は平気で破るくせに自分の法律だけは破れない」らしい。by和久さん
つまり彼を敢えて擁護するならば
中間管理職になったから隠蔽という「悪」の部分が出てきたのではなく
秋SPの室井さんとの擦れ違いなんて正にそうだったけど
仲間を、誰かを、何かを守るためならルールだって敗れちゃう。
それが彼の正義だ。

ただOD3以降の面白い肉付けというのは
上に立つ立場になったら自分一人の問題じゃなくなっているんですよね。
部下を守るという責任が発生してしまう。
無茶やって「じゃあ責任取るよ!」って辞職すれば済む話じゃなくなった。
ということは「身内を守るための行為」という別の意識が
青島くんにも付与されてくることになる。

仲間意識を強調すれば自ずと身内意識が芽生えてくるものだし
それはやがて身内贔屓に繋がるのは必然だ。

だったら現時点で上層部がやっていることと青島くんはどう違うのか?

この不鮮明な部分をより強調するために
今回青島くんにも敢えて同じ「隠蔽」騒動を付加させ同じ行動を取らせている。
その上で双方がどういう行動に出るか?どういう結論を導き出すのか?

自己利益や自己保身のためだけだったら論外だが
上層部が隠蔽するのは身内を庇っている部分もある訳です。
それは正に今の青島くんと何ら変わりはない。
青島くんがずっとやってきたことと紙一重の事でしかない。

このギリギリの混濁加減が実に面白いよ!

製作者としては青島くんを穢れ無きヒーローに仕立て上げることも出来た筈だ。
最後なんだし。
なのに単純なヒーローのままファンの理想を貫くことはせず
青島くんにもわざわざ今回のテーマでもある「隠蔽」を付加しているんだもん。
そのため何故上層部が悪なのかの理屈付けが
単なる「隠蔽」というシンボル的な括りではない仕上がりになった。

この隠蔽騒動。
最初は湾岸署のコメディっぷりを示す(笑えない)ネタか
隠蔽というワードから青島くんが上層部の異変に気付くというストーリー的誘導か
と、ばかり思ったんですけど
こうもあからさまだと
もうこれ、絶対ワザとでしょう。
製作サイドは敢えて青島くんにも「隠蔽」要素を付加したんだ。

結果、彼が多面性を有したことで
ラストの演説でいうところの「正しいって難しいっす」がより説得力を帯びてきたし
またこの「難しい」には鳥飼の行動の是非も含まれていると思うと
より重たいです。



そもそも青島くんや所轄メンバーは最初から隠蔽自体を否定している訳でもない。
神田署長がゴルフだのハワイだの好き勝手やっていた時もしょ~がね~な~って感じで
見逃していた。
規則や規範を破るという視点ではむしろ所轄の方が問題児だ。
でもそれが腐敗しているとは描かれておらず
むしろ親近感さえ湧く作りになっていた。

誰もが感じる社会のヒエラルキーの課題の側面を含んでいたからだ。
社会に於ける誰もが知っている鬱屈を投影してくれていたんだ。

故にOD3で青島くんが係長に昇進した時
もちろん大概のファンが期待したものは
上に立つ者としての苦悩やズレや正義への疑問なんかを
青島くんに悩んで欲しかった事だけど
製作者サイドは青島くんにそういう意味ではまるで苦悶させなかった。

何故なら青島くんは
正義と現実との狭間で揺れ動いているのではなく
正義そのものの曖昧さにに迷い立ち止まりながら進んでいる人だからだ。
これが正しいって知っているんじゃなく
どっちが正しいんだろうって悩む人だ。
自分の中にある柱と現実との整合性に悩むヒーローだった。

そんな事情から世間ではOD3って(青島くんの出世について)評価が低いみたいですが
まあ私はそんなに嫌いではない。



だからこそ、ここで印象深いのは鳥飼の存在なんだよ~。
果たして鳥飼に保身はなかったのか?
もしそうならこの映画の中で彼だけが
社会に支配的な観念を貫けた人物だったということになる。
鳥飼の存在が、この映画で示した当初の判然としない命題を
皮肉な形で一つの真逆の結末を導き出している。

そこもまた性格悪いというか辛口の答えだなあと思う訳です。

OD3では双方の利益を救いだし交渉で階段的組織構造を円滑にした鳥飼の手腕は
打算的とも言えるが、踊るテーマの理想論の一角だったように見える。
そこに正義はなくても彼だけが腐敗していなかった。

思えば鳥飼っていずれ室井さんが辿りつきそうな着地点を持っている人物だし
久世は青島くんがやりそうな被害者の救済に暴走した。
彼らは室井&青島の光と影だったのかも。

その証拠に、今回も
室井さんがトップになるまで成し遂げられない筈の青島くんとの約束を
こうもあっさり叶えてしまう。(実現というよりは扉を開いた程度だけど)
室井さんにとってもこれは実に皮肉とも取れる。

その意味で鳥飼は上層部と室井さんとの三つ巴戦における
一人勝ちだったのではって気がするよ。


更に小池。
公式ツイッターによれば第二の殺人は鳥飼の犯行。
だから久世を見張っていても殺人は実行されてしまった。
ならば、あの取り調べで小池は自分の犯行だと自供したのは何故か?

前回小池は裏切られたのかなーと考えたと書きましたが
あれ?やっぱこれもお芝居の内なのか?
いずれ久世は指紋を残したことで浮上する人物だし
久世の線と使われた拳銃の元手を探ればいずれ小池も浮上してくる。
やっぱりここまでは計画の内だったのかも。

だとしたら「お前らが捜査を打ち切ったからだ!」は
犯行を自分だと見せかけて午前2時を回るまでは鳥飼にまで目がいかないように
庇ったってことか?
その方がしっくりくる。

鳥飼も最後は告発文で自白する訳だし
やはりこの3者に自己保身はなかったように見える。


自己犠牲に陶酔し自虐行為をすることで
かつて救えなかった償いをする・・・・・とまではいかなくとも
利益や保身を顧みずただ上層部の腐敗した悪を潰そうと手段を選ばない彼らの報復は
隠蔽を繰り返し、身代わりを探し、室井&青島に責任をとらせ、体裁を整える上層部に比べれば
確かに久世が言う様に実に「正義の戦い」だろう。

室井&青島が長年努力してきた体制への糾弾も結局
具体策を未だに打ち出せていない以上
トップの首まで手を伸ばせた鳥飼の方が明らかに「正義」に近い。

鳥飼にとっては室井&青島を消すことはただ上層部への「見せしめ」で
告発文に付随する明瞭な不正証拠の一つだ。
それでも敢えて室井&青島コンビをセレクトした事を考えると
邪魔な存在だったと考えるのも一理ありそう。

そうして着実に駒を進めていく鳥飼の先にあるものは
実に洗練された階級機構である。
打算的で誰も損はしない理想社会がそこにある。
が、そこには臨機応変に変化する閉鎖空間があるだけで
普遍的な正義はない。

鳥飼のしていることはルールがなければ成り立たない交渉だし
ルールが合ったら正義が通せないのなら階級構造自体、無意味だし
規律違反を正当化するならイデオロギーのない社会は健全な社会とは言えない。

ならばこの理想構造はやっぱり
室井さんが目指していた階級社会とはまたかけ離れたものである。

今回結果的に室井さんの目指す警察機構を後押ししただけで
鳥飼が目指していたものは室井さんとは相対するものであったという事実。
鳥飼にとっても二重の意味で今回の計画は皮肉な結果になってしまった。
(結果オーライと考えるのならまあ納得の範疇だろうけど)

それでも唯一人欲に塗れずイデオロギーを通し抜いた鳥飼は
やり方は強引でも何処か綺麗な部分の残る人物像に見える。
「隠蔽」をただ一人行わなかった人物として
潔癖を通し抜いただけの人に見える。

室井さんが引き継がなければ「正義の行い」ですらないのに
結果的には一番正義に貢献した人物である。
鳥飼と青島の正義の境目は大変不透明なものでありながら
行き着く先は天と地ほどの差が出る結末としているのがニヤリとくる。
味わい深いなー。

逆に振り回された上層部と青島くんがどっちもどっちというか
人は誰でもみんな腹黒さは同じなんじゃないかという人間味溢れる人物像に描かれているのが
ちょっと滑稽でもある。



こんな風に何度か観覧していくと何となく後から色んなことを感じてきてしまった。

物語の始まりで不透明な正義感を前面に押し出し観客を戸惑わせ
ラストには対照的な結末提示する。

その辺の混沌とさせられている正義像が実にユニークじゃん。
正にそれは正義を貫くにはどうすればよいかではなく
正義はどれだろうって悩む青島像そのものだ。

考えてみれば踊るはドラマ時代から犯罪者と青島くん(正義)は紙一重だった。
正しいことはどれなのか15年青島くんと一緒に考察した。
そこに答えは無くて常にどうするのがいいのか試行錯誤しつつ
縦社会とかルールとかそういう切り口では捉えられない現実を示し
人を助け続けることが時に切なく難しく傷ついた。
間違いながら選び続けた結果がこの着地点なのだろう。

間違いながらこの先も進んでいくとしたいつもの青島くんの後姿が
今は逞しい。



製作者サイドによるとファイナルの舞台は当初海外を舞台にしたお話だったとか。
(止めて正解だが。湾岸署が海外って何の冗談だよ)
でも3.11が起きて政治や企業や国が国民に対して情報の隠蔽や隠匿ばかりで
そんな事態を憂いて大幅に脚本を変更したとのこと。

今回鳥飼も情報を盾に上層部へ切り込んだ。
青島&室井は何の権限も命令もないまま誰かのために走った。
もしかしたら相反したこの両者こそが
製作サイドの一番言いたかったメッセージなのかも?
真逆の結末を迎えた表裏一体の室井&鳥飼双方が
踊るの示すヒーロー像だったのかなぁ?

ある意味、見事に現代社会を切りとった破片になっているのかもしれない。
それぞれの立場から唱えるそれぞれの正義を有耶無耶に押し出しながら
煙に巻いた向こう側でドヤ顔している製作者サイドが見えるようだ。

まあでも同じ信念を持つ室井&青島が同じ方向を向いていられたエンディングを以って
15年の集大成とし締めくくったということは
絶対変わらない同じ想いがあるということが
二人にとっての新たな希望に成り得る意味合いも持っているし
「正しいって何だろう」って15年考察を続けた踊るスタッフによる
最後の結論なのだろうね。
15年ファンを続けた自分としてもこの着地点は結構好きだなー。(正確には私は14年)

・・・・・・なーんてな。


ちなみに今回の事件のあと「正しい事をしていきたい」と気を持ち直した青島くんが
ちゃんと責任とってビールを自腹で全部買い取っているのが
爽やかな後味だった。
こんなじゃダメだって分かったところでやり直せばいいんだよって言っているみたいだ。


<過去記事>
ファイナル1回目感想 ←室井&青島しか見えていないひたすらテンションの高い感想記事
ファイナル2回目感想 ←ちょっと冷静に見た物語感想
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