Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2016*09*23(Fri)
東京喰種 第3巻 感想
衝撃だったー!両極端な主張が真っ向からぶつかり合う生命倫理はいっそ究極である。
かなりハードな命題を臨場感たっぷりに見せられました。
それ言っちゃおしまいでしょという大人の諦観で見過ごす生命の宿命を
嫌という程この漫画は抉りだしてくる。
読後感の鬱な気分はハンパないが、すっごいものを読んだ・・・!って気分である。

前巻までの温いジャブはなんだったんだろうか。
一巻は導入部だし人物設定とか世界観の説明とか色々あるから解説調になってしまうのはどの漫画も同じだが
正直二巻がどうもスピードダウンした気がして
もっと他にエピソードあったんじゃないかとか
もっと展開早めてもよかったんじゃないかとか
色々間延びした感じがとろくさく感じていた。

だがそれらが全て嵐の前の静けさであったかのように、三巻で一気に物語が白熱した・・・!
全てはこの前振りだったのかとようやく認識する。
(文句言ってゴメンナサイ)


この3巻分のボリュームを2巻程度に纏め上げられていたら
もっと熟成した重さを感じていたかもしれない。
それでも三巻で捕食者と駆除者を正面衝突させた惨劇は大きな節目となりそうだった。

生きるために食べるという一番根底の部分を罪かと問いかける。
命は尊いから奪うのは間違いだと主張する。
この問いに、はて、答えなんか出せるのか?とある意味不安にさえなってくるほど
そのままの命題で衝突させてきた。

前巻から捜査官として国というか公的な社会保障(保護?)が見えてきましたけど
まさかこれがヒナミの一件からこんな形で正面衝突させてくるとは。

何より好感持てるのは、使い古した正義感を一方向から押し付け合うような話ではないということだ。
主人公カネキの主観はどうしても入るから、多少こちら側、つまり捕食する方に意識が寄りがちで展開するが
相手側、つまり駆除する側の正当性の方が汎用性が高い言い回しを用いていて
正直この命題なら駆除側が正義のヒーローとして別漫画が描けそうなレベルである。
そういうハイレベルの倫理観の衝突を見せてくるから
ギリギリの攻防戦がより切迫感を炙り出してくる。


前巻で捜査官が一人トーカちゃんに殺される。
だからこそ、仲間を殺された捜査官は、弔いの意味も込めて
捜査に邁進することを誓う。

こんなの良くある刑事ものとか、ヒーローものの定番じゃないか。
だがそれが、この漫画では敵側というから、面白い。
それも適当ではなく、しっかりと捜査官の苦悩も描いてくるから
読者としてはいっそ不思議な矛盾の中に取り残される。

「草場さんが殺されていい理由なんてない・・・
 正義を貫こうとした男、大切な人を奪われた子供たち、誰かを護ろうと戦った人々
 何故彼らが命を落とさねばならない?」

だよなぁ、だよねぇ、ホントそう思うし、そこに疑問なんて普通は抱かない。

だけど、捕食者は人を食べなければ飢えに苦しみ死んでしまうのだ。
世の肉食動物だって、それこそ昆虫や細菌に至るまで、喰わなきゃ死ぬ。
止められない欲求というものを、殺人快楽みたいなサイコパスではなく
誰もが良く知る食欲という欲望に准えて描いてくるから、もう堪らない。だからもうミソ!
すんごいリアリティ連れて訴えかけてくる。

人殺しという究極の暴走を、食欲という生物の際限まで突き詰めた原始的な欲求と対峙させる
この構図が、もうものすごいと思った。
それは第一巻から感じていたことだが、その主張を社会的な構図にまで持ち込ませるから
要求の高尚さが他とは違う。
そもそも、動物が動物を殺すのは、縄張りだったり自己保身だったり
色々あるけど、その究極って、食事じゃないか、と、そう主張されてもいるようだ。
食事=殺害なんですよね。とどのつまり。

それを訴えているからこそ、より、生物同士の戦いが、生き残りというサバイバルゲームから
もっと崇高で源泉的なものに変化する。
何故食欲なのか、どうして食欲だったのか。
なにやら色々合点が行きました。

そうなると、ライオンが悪いのか牛が悪いのかという、食物連鎖的な命題が浮かび上がってきて
その倫理観が対立するラストは、壮絶。

どちらかに肩入れした押し付けの正義感でない描き方がより悲愴感と絶望感も露わしていて
相容れない悲劇に愕然でした。
すごい!すっごかったよ・・・!


また、今巻で面白いなと思ったのはトーカちゃんの不完全性。
ここまで実はヒロインにしてはあまり可愛さや魅力が感じられず、どういうポジなのかもあまり良く読み取れなかった。
ドジっ子でもサドッ子でもいいけど
なんかキャラが薄いというか、何かを必死に抱えているのは分かるのだが
共感できないんですよね。

だが、今回、「彼女もまた間違えた」というカネキの理解で
色々合点がいき、すごく納得が出来ました。
今まで彼女は先輩喰種として、ある意味完成体だと思っていたからどこか歪だったのだ。

だから「私は人殺しよ」って堂々と言い切るその態度も
共感というよりは、じゃあ勝手にすれば?って思わせられちゃう意地が見えて
ツンデレみたいな可愛さもない。

トーカちゃんはトーカちゃんで色々悟ってしまった部分はあるんだろうけど
やっぱりそれはどこか歪は悲観的思考であって、達観ではなかった。
ヒナミのために何をしてあげれば良いかと考えて、復讐と安寧しか浮かばなかった時点で
やはり経験者というよりは怯えた未成熟性があった。

そういう脆さの他に不完全さが見えた時、なんか彼女にも温もりが灯った感じで
どうにもならない現実に足掻く瑞々しい命が見えました。


届かなかったヒナミへの救済に、ヒナミが失踪。
それを追い掛け、その隙を突かれて、トーカVS捜査官・真戸。

・・・あのさぁ・・ビジュアル!ビジュアル!!
もうちょっと読者のシンパシーを得られるようなキャラデザなかったんだろうか・・・(笑)
でも一応敵役だからこれでいいのか?
ちょっとヤバイ感じでイっちゃってるオッサン。
妖怪に近いわっ。

しかし、中身は男前。
マジカッコイイ!
蛇のように隙のない不気味な千里眼で、トーカを追い詰めるだけでなく
戦闘能力も馬鹿みたいに高い。

「学習してないなラビット。相変わらず直情的で思考が短絡。果てしなく愚かで・・・それゆえ命を落とす」

分析能力も冷静だが、この真戸さんの台詞で
ああ、そうかトーカちゃんはそういう存在だったんだなとこっちが学習。
1.2巻と、どこか物足りなく愛嬌もなかった彼女のコンセプトは、つまりはこれだったんだな。
なんか上から目線のツンデレ台詞が多いから、つい勘違いしてしまっていた。
まるで野生の動物宛らに、身の危険を及ぼすものを切り裂いて生き抜いてきた
そういう文化的動物とはまた一線を画した存在だったんだろう。


そして、ここでのトーカちゃんと真戸さんのやり取りがまた、絶望的に対極的で
見事な論戦だった。

「一体貴様らは何故罪を犯してまで行きながら得ようとする?」

合わせて、カネキと亜門さんのバトル中のやり取りも並行で描かれ
より深みを増してくる。

「己の欲望のままに喰らう。残された者の気持ち、悲しみ、お前たちはそれを想像したことがあるか」

そもそも人間(捜査官)だって食物を摂取しなければ生きていけない動物なのに
そこに至らず、そこを見事に意識していない盲目差が残酷だ。
故に糾弾してくる言葉が非常に重たい。
それってつまり、人は食べ物に対し、命というものを意識してないってことである。

どこに彼らが殺される理由があったと、感情移入して涙を流す亜門さんの勝手な絶望は
まるで身勝手な論理のように聞こえながら、でも、多くの漫画やドラマで描かれてきた
普通のロジックであるという、この面白い矛盾はいっそ、他漫画への皮肉にすら思えた。


この矛盾を真っ向から突き付けられたカネキくん。
矛盾だと気付けるのは、つまり自分が元人間だったからで
つまりは気付けるのは自分だけなんだと、己の役割に気付く。

そのシーンがもう衝撃的で・・・!
なんかこっちまでぐわーってきた。
人は誰かに肯定され理解されることで自己肯定感を掴んでいく。
ここまで自分を否定し続けて迷ってきたカネキが何か糸口を掴んだ感じは
生きていくそのものに思えて、そうか、全てはこのための伏線だったのかと思えたほど。

異生物と人間との融合で中間に立たされてしまった人物が主人公となり
物語の核を成すというのは、定石なわけで、そこに目新しさは感じないが
ここまで「何故」という個人と集合の問いを散々に突き付けてきたから、
カネキくんの行きついた結論というか光明の限界は、存在意義として、ガツンと感じられた。


だから、ここで負けてしまう訳にはいかない。

「せめて戦っている瞬間は、身体の中の喰種を受け容れるしかない」

そうして食欲を受け容れることで、獣のような闘争本能が解放される。
なんかそういう内なる潜在能力の開花に説得力があり過ぎて、いっそコワイ。
その食欲の暴走に止まらなくなり、自己制御できなくなるカネキ。
これも分かる。人って腹が減ると、どうにもならなくなるもんな・・・・。

答えを少し見つけ出したからこそ、ここで人殺しになるわけにもいかない訳で
必死に制御不能な力に抗う感じは少年漫画の初期王道って感じ。


そこで、トーカ戦の方で合わせてヒナミに言わせる言葉がまた、切なさを助長させてくる。

「わたしも、考えたんだ・・・このひとに仕返しすればこのモヤモヤも消えてくれるのかなって・・・
 でも違った・・・復讐なんてどうでもよかった・・・・わたし、かなしいだけなの
 おとうさんとおかあさんにあいたくて・・・かなしいだけだった・・・」

それはまるで、捜査官の理念への問いでもあるようで
彼らもまた喰種を狩るだけで平和は護れるのかと突き付けたようにも見えた。


このカネキとヒナミのそのそれぞれの結論が、この無残な戦いの中で導かれていって
ものすごいインパクトありました。

そして、真戸さん、戦死。
うわあぁぁぁぁ・・・・・・。

それに号泣する亜門さん。
うおおぅぅぅぅ・・・・・。

また一つ、ここに消えない憎悪を生んでしまっただけのようにも見える絶望的な展開の中
カネキとヒナミが訴えた答えは決して真戸さんにも亜門さんにも届かなかったけど
最後の強かな光のように思わせられる。
そうしてぶつかるだけの不器用な戦いが、なんとも痛い余韻である・・・。


・・・その余韻のままに描かれた、真戸&亜門の出会い編!!
これ反則でしょっっ。
余韻を更に抉ってきて、かなりしんどい。

新人の亜門くんにプロとしての知識を叩き込んだ真戸さん。
真戸さん、良い人じゃないか・・・・。それこそ、ただ正義を貫こうとしただけの普通の人間じゃないか。
亜門さんも、尊敬していた人を失ってまで、何故正義を貫くのかという哲学をこれから課せられる。
重たい・・・みんなが重たい・・・・。


こういうの、割と好みである。
こういうどうしようもない現実にもがき、だが打ちのめされ、そこから答えを導き出していく物語
かなり好きである。
しっかりとした展開をしてくれたので、この先ももう少し読み進めて行こうと言う気にさせられた。
でもこれ・・・・答えなんか出せないよな。
生物倫理に、捕食に上も下もあるか。喰うか喰われるかの命を賭けたサバイバルだろう。
多大な期待をして、安易な理想論で流されて終わってしまっては非常に裏切られた気になりそうだ。
どうしようかな・・・。


あ、興味深かったのは使用武器の特性。
「クインケは喰種の赫子から作るものだからなァァ」

これ、面白いアイディアだ。
なんか、とことん辛いネタを突きつめるのが上手い漫画だ。
弔いの意味の対極にある、死者への冒涜とも取れるその具現化が、武器にされてしまう、この不条理。
死者を冒涜しているのはむしろお前らだろうと見せ付けてくるかのような、精神的圧力が
凄まじい武器だ。

ってか、どういう原理で赫子だけ取り出せるんだ・・・。


唯一難点を挙げるとしたら、漫画技巧が独特で、それになれていないせいか
少し唐突感を感じてしまうところだ。
キャラの感情が丁寧に誘導されていく感じじゃないため、ああ、そうだったのね、と後で納得していく感じである。
どうせなら、キャラクターと一緒にシンクロして状況の緊張感とか世の無情感とかを感じていく骨格の方が
私は好きだし、テーマの奥行きも出ると思うのですが、どうだろう。

感受性が薄いのはキャラクターにも言えて
実はあまり萌えというか、入れ込みたいキャラが居ないことも難点。
今の時点でカネキやトーカちゃんの他の日常だとか、こうなってほしい妄想とか
こちらの空想を掻き立てられない。
もっと色んな顔が見たいという基本的な興味がキャラクターには湧かないところが勿体なくもある。

これはもう少し漫画の描き方として、なんか工夫があっても良さそうなところだよなと思う。
単なる個人的な好みというだけではない部分の課題だと思う。
表情や仕草、ちょっとした書き込みなんかで、色々付与できるファクターだと思うのですが、どうだろう。

その他、背景などはしっかりと描き込まれているし、勢いも感じられるし
そういう意味では期待大な印象でした。
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