Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2016*05*18(Wed)
寄生獣 第6巻(文庫版) 感想
まさか田宮良子ネタがこんな・・・こんっな結末に使われるとは思いもしなかった。
すっばらしかった!です!
母親をキーワードに、シンイチの抑圧を描いているなとは思ってたのですが
シンイチの母への愛情と田宮良子の母親像を、重ね合わせていたとは想定外。
むしろシンイチにとって彼女は、強奪されたピースの抑圧や憤怒の象徴なのだと思っていた。

子供を護りながら、シンイチの目の前で息絶えた母親の田村玲子。
時が遡り、まるで今シンイチの母もここで死んだかのようにシンクロさせるシンイチの感情。
ようやく終わりが来て、ようやく泣くことが出来て。

母親である最後を見せられたことで、シンイチの中の母親神話?が矛盾なく終焉を迎えたということか。
終わらせてくれた・・・それはつまり終わらせられなかったのは
シンイチの中では終わってなかったってことで
その理由ってやっぱり、母親への盲目的な少年の寓話?が捨てきれず
そんな男の母親への身勝手な妄想の押し付けである拙さを感じさせつつも
母であることに還る姿を見せられたことで理解した田村玲子、=寄生獣の心情だと思うし。

種族が違っても、母親は子供を護るもの。
そのための死なら、受け容れられるという生物的活動なら、根拠を持てるのか。シンイチの中で。

だが、そんな理屈を飛び越え、走馬灯のように回想し、母親を見送ることが出来たシンイチが
ようやく長い長い悪夢を終えて涙見せるシーンが
まさか、田村玲子によって誘われるとは。

寄生獣によって殺され、寄生獣によって救われる。
シンイチにとって、寄生獣は生と死の象徴となりましたね。

うわーうわー。
見事なクライマックスに息を呑みました~。



第6巻。
なんとか後藤から逃げ切ったシンイチとは逆に、探偵さん一家皆殺し。
食事場を荒らされ、報復というよりは危険人物と認識されてしまった。
小さな傲慢から深入りした自業自得だよというには余りに悲しい、過酷な運命がここにある。

しかし、人間は家族を攻撃されると、強かな情が湧き出でる。
正に、シンイチのように。
この作者さんの家族と言う者に対するポジティブな視点が、今巻の特徴でした。

恐らくそれを、寄生獣戦の勝利根拠にしようとしているのかな。
今回はそんな寄生獣のせいで運命を狂わされてしまった人たちの幾つかの終わりを見せられ
読後感はかなり高い。
色々気の毒な人間描写が詰まっている。


ここから、田宮良子・・・田村玲子もまた、グループ内で異質として、排除の対象となることから
パラサイト側の連携が少し乱れているのを感じさせる。
それが、田村玲子に言わせれば
「人間は自分の頭以外にもうひとつ巨大な脳を持っている」ということなんでしょうが
私としては、その後の台詞
「問題は探偵よね。昨日までとはまったく性質の異なる存在になっている筈だわ」
の方が、寄生獣の懸念すべき盲点であり、それを見過ごしている弱点なんだなと思った。

人間が家族というコロニーを形成し、そこに投じる執念の強さを、侮っている。
正にそれが、部外者からみた人間形成の分析であり評価なのかもしれないとする所に
この作者さんの人間観察視点の温もりがある。

合わせて、探偵・倉森の一家が殺されたことで探偵に芽生える憎悪と執念。
シンイチが父親に家を出るよう告げるシーンを合わせることで
よりその効果が増してましたよね。
必死な息子の声色に何かを感じ取った父親。
拙い言葉だったのに、父親は息子の途方もない言い分を信じる。

自己を攻撃されて防御として反発するだけの寄生獣とは、少し違うというのを
田村玲子やシンイチ、そして倉森という家族を三つも出して描いているところからしても
それは言える。
非常に濃密で説得力も高い。

同時に、母親を通じて描かれたクライマックスは勿論、父親との絆も、ちゃんと描いていることが抜かりないよな~。


んで。
狙われた田村玲子。
街中を異形の姿で大暴走。
だから、どうしてこの人の作品はこう、少し、コミカルな味付けになるんだろうか・・・。
奇妙でおぞましい異生物であるにも関わらず、どこか愛着を持たせられる。

5巻のピシュンピシュンと走る後藤とかさ、なんかもうツッコミ対象ですよねぇ?

しかし、勝敗は明らかだった。
田村玲子の「三人いれば勝てると思ったのか?」から豹変する渋さは、中々本性を露わしている。
草野を倒すのに、沢山の肉片をバラまいたことで、死角を作った。
・・・これ、どこかで応用されそう。

二体に分裂し、一方を仲間に埋め込ませて時間を稼がせ、三体の連携を崩す。
中々に知能的でスマートな攻撃方法で、さすが田村玲子。

そんな田村玲子が爽快に帰宅すれば、赤ん坊が拉致誘拐。
「人間の方がよっぽど手強いじゃないか・・・」

この台詞も、既に意味深ですが
この極めて単純な手さえ寄生獣は気付かないんだなぁという、社会性のなさとか、未成熟さとかを感じさせた。
弱点部分の誘拐なんて、人間にとっては王道路線なのだが。

そして、手強いと感じることから
赤ん坊が、田村玲子にとって、弱点であると認めていることでもある。
それを用いたラストは圧巻。


探偵・倉森さんがここから人間らしく感情を爆発させる一家の主としての男を見せるシーンは格好良い。
誰に何も告げられずシンイチから聞いた平間刑事を呼び、そこで、発狂するように「ぐわわあああ!」と叫ぶ描写は
上手いなぁ。
小さなシーンですが、もどかしく、でも無力な彼の心が詰まってました。
こういう形で鬱憤表現するっていうのが、ニクイんだよ・・・。

言葉じゃない、台詞じゃない。


基本、私は母親愛が崇高で至高という考えが大嫌い。
母親というだけで無償の愛を注ぐ存在であると評する世間の風潮に苛々どころか辟易しているのですが
その母親というモチーフを使い、シンイチとの奇妙な縁を描き切った今作クライマックス、田村玲子の死は
充分に説得力もあり、納得させられるだけのインパクトがあった。
こういうのなら好きだ。

それまで不気味に大学講義なんか聞いてたりもしたが
彼女の存在哲学は、中々根源を付いてて面白かった。
その上で、「ここで終わりにするなら、それもそうかと思うだけだ」と言い残し
だけど、子供だけは護るし、子供を傷つけることはしなかった。
「おまえは不思議だ・・・」と何度も呟いていたけど
そこに親だから、人だからという理屈を付けないことが、余計、本能的な何かを描いているようでもある。

むしろそっちで正しいんじゃないだろうか、なんて私なんかは思ってしまいますが。

親だから愛しているのではなく、産んだから育てたのだ。
護る義務があるから、傷つけなかった。
彼女にとって、赤ん坊を使う理由が想定されなかったんでしょうね。
理屈がないことには、動かない。
衝動で本能のままに生きる寄生獣でありながら、そこに確かな理屈が根付いているという解釈が
面白いです。

むしろ人間が造り出した、社会的理屈の方が、なんぼか言い訳めいている。

「我々は人間に比べその行動・考え方が合理的であり、単純明快であることから
 一糸乱れぬ組織作りも容易いと思っていたんだが・・・・・とんでもない」

単純な目的の共有だけが規律を制する訳ではないという作者さんの風刺が、ちょっと皮肉っぽくていい。
社会とはなんたるか?を少し考えさせられました。
ルールを敷き、我々人間社会は一定の組織を作っているようで、それは利益目的の企業とはやはり違う。
社会の統一性って何だろうと思う。

そこに、見た目は普通の異物が混入する。
あれ、それって、通常社会と何が違うの、と思う。

色々深読みすると、この漫画の言っていることは奥が深くて鋭利だ。

田村玲子の言い分は本作全体に於ける明確な骨格の象徴でもあった気がして
ここまでかなりの太柱を担ってきてました。
あっぱれ!です!

そんな彼女のラストの描き方も、これまた最高で!!!

この見開きで描かれる、平間刑事とシンイチと田村玲子の対峙シーン!!
言葉もトーンもなく、ただ、簡素で平素な長閑な公園風景が、なんともど迫力。
素晴らしい。

ここから始まる数ページは正に神がかってた。


探偵・倉森さんの遺書とも言える渾身の一作・レポートで、ある程度情報を得られた平間刑事。
「広川には知られてないな?!」と問いかけていることからも
そうか、ラスボスは広川ってことなのか?

だが、シンイチがここにいなかったら、田村玲子がパラサイトであると確信を持てなかった。
そりゃそうだ、見た目は普通の人間なんだからな。

「池田くん、君はなぜここにいる?君が以前と同一人物なら私の名前を言える筈だ」
「あなたこそおれの名前を忘れたんですか?・・・平間さん」
「あっちはどうやら人間のようだ・・・撃つなよ」

シンイチが本物であることを、名前を言わせて確かめたシーンも、ニヤリとさせられた。
敏腕刑事さん!
彼の存在はちょっと出じゃなくて、もしかしたら、最後のシンイチを救う理解者、存在になってくれるのか?

んで。
「全員、この一発、よおく見極めろ!すべての責任は私が負う!!」

くぉぉぉ~~!!!
額に向けて一発!

「お見事・・・・正解よ・・・」

かーっけえぇぇ!!!!
どっちも!!

撃たなければパラサイトかどうかはしらばっくれられたら終わりだからこその、この一発!
こんなシーンで描いてくるなんて、痺れたよ!!
それに見合うだけのキャスティングだよ!!


銃弾を大勢の刑事に撃ち込まれ、ただ赤ん坊を護ることだけに専念し、攻撃をしなかった田村玲子は
その赤ん坊をシンイチに託して、絶命する。

それを受け取ったシンイチがまた、赤ん坊とシンイチの母親の死がリンクして
ここにきてようやく涙を流して・・・・

うわーっ。ああぁあぁぁぁ・・・・・。
それをまた、台詞もない、コマだけの連投で表現している、この情景的な抒情性。この憎さ!
静かに繰り返された回想に息を呑みました。
数ページ、無台詞ですよ、効果音すらないんですよ。くっそたまんない。
なんてシーンなんだ!


まさかシンイチの母親が死んだことを、こういう形で涙に繋げてくるとは、思わなかった。
物語の感動や感傷を、シンイチの胸の傷と重ね合わせてくるのも、やられた。

圧巻!
その後の後処理なんて、確かにこの劇的末路に比べたら、残り火のようなもの。
だからこそ、言葉なく、それこそエンドクレジットで流しているような劇場型演出に、言葉もない。



ミギーとシンイチ!
冒頭の一緒に逃げる会話、さいこー!

「ドロボーも上手だぁ!」にはウケた。

一生懸命シンイチを説得しようとして正論ならべていくミギーに
「でもドロボーでしょ?」
「うん」
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それ以降、今巻は二人の会話はそれほどなかったが
やだな、なんかこの流れだと、最後二人別れるとかにならないだろうか・・・。
シンイチの体内に三割残っているからこれからも一緒だエンドだけは、私の涙腺を崩壊させるぞ・・・。

なんかすごく、嫌な予感がしてきた・・・・。

この二人には、そして、宇田さんとジョーには、一緒に添い遂げる未来を用意して欲しいなぁ。
別れるなんていやだ・・・・。


・・・のうらで、村野里美がウザイ。
この女、本当に邪魔なんだが、なんか意味あるキャラなのかなぁ。
どこに魅力あるかも分からないので、ちょっといらない。もう少し好感上げる描き方をすれば、シンイチのヒロインとして
傍にいることで本筋の余韻を補足できたのに。

シンイチが泣いているシーンで、わざわざ近寄っていくずうずうしさに萎え。
何こんなときだけ偉そうに近寄ってくんだ。何様だ。涙に浸らせてやれよ。
シンイチの平和な時代の象徴なんだろうけど。
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