Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと漫画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2016*05*01(Sun)
火の粉 第5話 感想
素晴らしい出来栄えに感嘆としてました~!なんってヒョーマニズム!
武内の用意周到な行動と巻き込まれていく家族の無防備さが
何とも現代社会のリアルを丁寧に切り取っている気がして、違和感がない違和感。
また、裁判官という職業に対しても誠実な視点が垣間見られ、とても面白い。

これは原作が素晴らしいんでしょうねぇ。
緊張感の作り方も丁寧で力入っている。
繰り返すが、前クール「ナオミとカナコ」を見ていなかったら、スリルもたっぷりだったかもしれない。
あの超絶スリルを味わってしまったので、この程度ではなんともなく
その分、丁寧な人物描写を楽しめている。



いよいよ佳境に入った第5話。
一点の澱みも無い武内のカミングアウトが薄ら寒い恐怖である。
言葉が通じない無力感に苛まれる感じが、絶妙だ。

「人の厚意を無下にすることが、どれだけの罪か。
 それに比べれば、的場さん一家を殺した事など小さな、小さな罪だ」

何とも強い自尊心というか、自己肯定。
彼の生育環境を問い質してみたくなる。
彼の厚意というものは、正確には好意ではないんですよね。
相手を想ってすることではなく、自分が満たされるためにする行為。

だけど、人間本質に於いて、100%善意の厚意ってあるだろうかと考えると
決してそんなことはなく、人は多かれ少なかれ、自分がした行為で相手が喜んでくれる顔を見て
それで喜びを得るものだ。
その反動で、相手が行為を鬱陶しく思われていたら、そこで加減を知る訳で。

それを感じ取る能力の欠如が、武内さんの怖いところなんですよね。
むしろ、行為自体の整合性は吟味せず、行為の受容だけが焦点だ。

それを教える人がいないまま大人になっちゃった感じ。
虫とか平気で潰していた少年のまま大人になった感じ。

武内は精神異常者とも言えるかもしれない。

裁判は一事不再理で、つまり、刑事事件の裁判について
確定した判決がある場合には、その事件について再度、実体審理をすることは許さないとする刑事訴訟法上の原則、
憲法39条がある。
でもこれだけの新たな証拠が出たら、的場家の親族が別裁判を起こすことは可能な気がした。
しかし、その場合でも、なんか精神鑑定とか行われて
結局、無罪で終わりそうな気がするこの不平等さが怖い・・・。


見ていれば意味も分かっていたタイトルについても
「火の粉」の意味を視聴者にも具体的に分かるワンカットを入れたことでシリアス感も増した流れも良かった。
ドラマが訴えたいことの透明性も出ていたし、ここで入れるそのタイミングも見事だった。

「対岸の火事だった。どんな事件を扱っても私にとっては他人事だった。
 それが、自分の周りに火が点いて、初めて真剣に事件と向き合っている」

梶間家の主・勲が言う台詞。
タイトルを仄めかす感じのニュアンスもニクイですけど
裁判官としての根源を自分で問うてる感じの哲学がたまらない。

一応、裁判官っていうのは中立であるべきですから、それで良いと思うんですよね。
死刑を言い渡す重責は誰だって嫌ですし。
最終的に決行する法務大臣でさえ躊躇するってどこかで聞いたことありますし。

死刑にするのが怖かったという梶間さんは別に変ではなかったし
この裁判は検察側が有力な証拠を何も出せなかったんだから、普通に無罪であっていると私だって思う。
そのことについて、あの判決は自信があったのかと周りが問い質すのはなんか可笑しい。
無罪と無実を混同している気がした。


だがそれが、逆に、我が身として受け止めていない他人事だったという解釈もまた
裁判官のリアルを映し出している気がした。
そうか、そういう見方もありますよね。
そういう驕りや上から目線になって、判決を下していた傲慢さみたいな指摘も、奥深いです。
裁判官なんて、所詮みんなエリートだろうしねぇ。

今回の件でそこに思い至った勲が思い悩むクダリも良いし
時既に遅いという無情さも良い。

この作品は、訴えかけているものも重たく多いです。



しかし、その判決が全ての始まりとなったのは事実。
池本の妻が道端で「責任取りなさいよ!あんたのせいよ!」とヒステリックに騒ぎ立てるシーンは
中々面白かった。

化粧っけがなく、猫背で、論理的な筋道を立てられない、感情的な供述。
人はそんなものに説得はされない。
でも彼女の言っていることは真実なんですよね~。
この皮肉が、ムカツク程に上質だ。

夫(息子)と義母がとにかく馬鹿すぎるキャラクターなのも
上手い説得力を生みだしていて、こういう人間観察視点が、絶妙すぎるんですよ。

仕事も決まらない情けない男のくせに、騙されてたと分かった妻によくあんな暴言を浴びせたものだ。
だが、勲だって、母の介護を妻に押し付け、感謝の気持ちも述べないで
「私は仕事をやっていた!家族を支えていたんだ!」なんて、身勝手もよいところの男のエゴ。
しかも、介護を手伝うという名目で仕事を辞めただなんて、都合のよい言い訳にも利用して。
サイテ―だ。

自分の妻(義母)に、よくもまあ無礼なことを言えたものだ。
それでいて、俺が家族を護るだなんて、だからお前じゃ護れねぇんだよ、と突っ込んだ。
何もしない典型である。


その堕落を思うと、果たして武内さんの厚意は本当に罪なのか?多少疑問にさえ思わせてくる。
いやもう、罪ですけども。
この流れがもう、すごいと言いたい。
法律を犯していないからと言って、勲に罪はないか?
裁判官としての判断なんかよりも、こっちの方が余程罪と思わせられる。

現代社会の家族像の典型とも言えなくないか。

近隣に引っ越してきたからといって、警戒するのも可笑しいと思っている内に入り込まれる無防備さも
家族崩壊の絆の薄さも
なんだか、どれも特別感はないように思える。
本当に家族と向き合っていますかと、静かに問い掛けられて(嘲笑われて)いるようだ。



そんな勲が先についに真実へと辿り着く。
武内家へ忍びこみ、スーツケースを開けてしまう。
ってか不法侵入やん。

そうして開けたスーツケースの中身。
ここも暈して、衣類とか出てくるかなと思ったら、マネキンみたいな人の手ーっっ。
人の手ーっっ。

バラバラ死体かーっっ。


時々映り込む裁判所での勲と武内の対峙と無音。
武内の飄々とした告白。
いつもの生活に戻りましょうと言われ、食卓で笑い合う、この無味乾燥なカットの不気味さ。
不気味な日常が蝕んでしまった感じが巧みな演出で描かれてました。

畳み掛けるように翌朝、当時の武内担当弁護士が殺害。
勲には共感性は全くないまま、物語はついに佳境へと入った・・・。
ぎゃあぁあぁぁぁ・・・・・。
抜かりねぇ。


ユースケさんの、滑舌の悪い台詞とかが、逆に血も涙もない感じで良いんだよなぁ。
確かに下手くそなんだけど
これを演技多彩にやられたら、こういう不気味さは出て来なかったと思う。
喜びの表と、狂気の裏を、そりゃ見事に演じられるベテラン俳優さんは他にもいるだろう。
だけど、このお人好しで、だけど感情が籠もらない感じ?
そのさじ加減が、日中に不意に雲が射すような不気味さを持っていると思った。
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