Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2016*03*19(Sat)
ナオミとカナコ 最終回 感想
すっごかったー!大満足!見た後のこの放心状態。
終わった直後は心臓バクバクしてて、これでどう寝ろと!手汗ハンパないんですけど!!


主旨をブレずに綺麗に閉めたラストにも大満足です。これほど瑞々しい直向きな精神ドラマがあっただろうか。
なんかもう胸が締め付けられて何も言えない・・・。
人が、現代社会の中で流されて惰性で生きていくのではなく
主体性を持って自分の力で逞しく命を開花させていく原始的な自己実現が
このうえなく人間が原始的に美しいドラマでした。

また、ドラマは自己実現のためなら他人を蹴散らせても良いのかと言う
社会性の面からすればとても辛酸な現実を提唱していて
それも興味深かったです。

そもそも、個人が生きるということと、社会で生きるということは、必ずしも合致しないのだ。
その辺の神話を殺人というモチーフに因って分かり易く崩壊させ
その上で、どこまでも傲慢に生きる彼女たちの生命の開花を、決して汚らしくも厭らしくも見せず
むしろ神々しいまでの清々しさで描いてきた点に、感服です。


自己利益だけのために動く彼女たちだけが報われる社会でいいのか?

そういう命題も突き付けられる。
確かにこの先の人生を思えば、打算的なことばかり思い浮かぶし
何より、達郎の家族は元より、ナオミとカナコ自身の家族も巻き込み悲しませる結末だ。

幸せは、そこまでして追求するものなのか?という重たい問いは一方で、
とても野生的な本能を見せていて
彼女たちだけが幸せになるのが嫌なら、自分も戦えば良いのである。
家族や周りを考えもせず、自分達だけ幸せになる為に海外逃亡を考えるその身勝手さに腹がたつのなら
自分も戦えばいい。

物語は、そうやって貪欲に戦った者だけが美酒を手に出来ると言っているようだった。

他人を押し退けて、突き落として、それでも目の前の綱を手に取れるか。
果たしてそれは、一人の命を犠牲にしてまで完遂されるべきものか?
考えてみれば、譲り合うとか助け合うとか、そういう社会コミュニティとは対極にある生き方を示唆していた。

それが悪いとは、最後まで思えなかったのが、面白いところだ。
というか、視聴者に(読者に)そう思わせたら、原作者の勝ちなんだろうなと。


後半、共感が得られないように、彼女たちの独善的な行動をピックアップするような流れに変わる。
だからといって戦う彼女たちに
戦いもしないで静観している自分に文句をいう資格は無いんだろうなと、ちょっと思わされた。

カナコの「達郎さんと別の方法で別れられていたら」という言葉は、このドラマの最後の理性なのかもしれない。
ナオミの母はダンナの暴力に耐え、やっと自分のやりたい事をやれる人生を手に入れた。
さり気なく挿入されたそれこそが、本来あるべき生き方だというのなら
DV被害者の迫害は、泣き寝入りして時を待てということか。

DVシェルターの可能性は序盤に潰していたので、何気に訴えていることは耳が痛い。
このドラマに於いて、シェルターに逃げ込むことは、家族を犠牲にするという意味で
殺人を犯すことと同義であるというのが上手い伏線である。

例え殺人をしなかったとしても、カナコは達郎から逃げ切れなかっただろう。
そして、耐えきれなかっただろう。


したり顔で簡単に殺人は駄目なんて口に出来ない重さを
殺人なんていうアンモラルな題材を対比させているアイディアが、とにかくとにかく、奇抜だった。



演出面でも、子供騙しな音楽に挿入カットなど、ベタすぎるのに、めっちゃ乗せられましたぁぁぁ。
スリルハンパねぇ。
彼女たちに感情移入するほどに、目を背けたくなる。
私、絶対犯罪には向かないんだなと心底思いました・・・(こんな綱渡りできない・・・)

特に斬新な手法を使われている訳でも、目新しい奇抜さがある訳でもないんですよね。
むしろ王道で古風。
なのに、センスの問題なのか、カットの長さやカメラワークやタメなんかが、もうストレートに爆発。
乗せられて乗せられてw

そのベタな手法は最終回も健在。
迫りくる警察の手と、出国審査の通過を合わせて、煽る煽る!
成田と思わせて羽田から出国っていうネタも面白い!
そうかー!今は羽田も国際線ですもんね~!←昭和の人間なので

これでもかってほど煽ってくるから、もういっそ笑っちゃう。すげぇ変な汗掻いたよ・・・・。

そこに被さる、陽子姉さんの絶叫!!

何その脚本ー!!サイコー!
もうね、このドラマで吉田羊さんの女優としての才能を確信致しました。
ここまでもちょこちょこ見掛けた女優さんでしたが、存在感や迫力という意味ではここを抜く物は無い。
恐怖の象徴、社会の砦として、主役二人よりも圧倒的でした。


尚、細かいことを言えば切りがないのも、このドラマの特徴。
警察の任意同行時点でのあの取り調べはないだろう・・・ムカついた~。

また、李さんの外人設定は、こう繋がるのかと終盤に来て納得しましたが
(アメリカと韓国以外の国へ行ってしまえば、帰国は叶わずとも、もう自由)
それよりも、「とてもとても水が綺麗なところです」という言葉に
故郷への愛着と、ナオミとカナコの未来が呼応していて、なんだか泣きたくなりました。

どうせ逃げ切れないのだからという視点で見ていたため
その儚さに余計酔った・・・。


そんな追手の手強さを潜り抜け、ついにナオミとカナコは出国審査通過。
でも飛行機は飛び立つ前。

あぁあ~・・・ここまでか。

爽やかに自分たちに迫る追手に気付かず、未来を夢見て歩く二人の姿が、何とも言えない余韻を残していて
胸が詰まりました。
やっぱり、殺人を犯したら、社会の中では犯罪であり、逃げ切れるものではないんですよね。
自己実現だと全ての利己を肯定してしまったら、法治国家が崩壊してしまう。

でもドラマはそこを映さず、ここで幕切れ。

その先の二人の第二の戦いは、また別のお話という訳ですね。
そこからどう自らを護るために必死に戦っていくのか。とても未来が勇ましく、躍動に満ちています。
納得です。
ラストも、大変気に入りました。

このラストを、悲劇の末の同情で見るか闘争の対価としての共感で見るかに因って
また視聴者の観点も変わりそうである。



・・・・と思っていたら、原作ではなんと逃げ切れた設定とのお話。
そうなのかー!

そもそも、出国審査を通過したら、そこからは海外という認識なので警察は手が出せないのだと知った。
だから日本の法律が課せられないから、税も課せられない(免税)。
国外逃亡って、飛行機乗って、現地の土を踏んでからっていう小学生みたいな認識でしたので
勉強になりました・・・。


そしてそれを踏まえると、それはそれで面白い。
つまり、このドラマは彼女たちの自己実現を最後まで完遂させたということになる。

このドラマは無力の個人の戦いの記録であるからして、その意味では結末は関係ない。
描かない方が、テーマ性の輪郭がはっきりする。
だが、敢えて結末まで描くことで
今度は、社会の未成熟さを痛烈に批判してもいるように感じ、面白いと思った。


彼女たちのしたことは犯罪で、彼女たち視点で見てきたから、犯人だと分かっているが
警察目線でいえば単なる容疑者。
旦那が行方不明で、防犯カメラに大きなバックを二人で運んでいるのが映っていただけの状況証拠だ。

ラストのラストに、遺体が発見された。
そんなに簡単に見つかる場所だったのかよー!という突っ込みはさておき
捜査から、本人断定も、全て彼女たちの出国当日のお話。

普通、そんなに間に合わない。

遺体の身元確認も行われていない時点で、逃亡の危険性があると踏んでいるからといって
逮捕状はおりないだろう、普通。

つまり、限りなく黒に近いグレーであり、グレーである以上、日本法治は無罪なのだ。
悔しくても、ムカついても、二人は逃げ切ることが出来る。
疑わしきは罰せずがこの国のルールである以上、ルールを押し付けるのなら、こちらもルールで動くべきだ。

ずさんで稚拙な殺人計画だったからこそ、捕まってしまったらあまりにも普通過ぎるとも言える。
逃げ切ってこそ、問い掛けるものが大きいとも言えるドラマである。


また、警察は失踪人すら死体が出ない限り動かないという事情がナオミを動かしたように
達郎の失踪に関し、警察が後手に回ったのも、中々に痛烈な刑事批判も感じる。

結局この原作者さんは何が言いたかったかに於いて
自由を手に入れるために個人が成すべきことと、自己防衛の境目が、多分、見る人によって
物凄く幅広いスパンで心揺さぶるんだろうなぁと思う。
物語の最後に、自分で自分を護り、果てに関わった他人によって助けられたということは
作者さんにしては神話を加えたという気がしてならない。


私はこのスリルに耐えきれなかったので、もう二度と見る気はないが(ってか見れない)
だから私的お気に入りにランクインはしないけど
スリルが大丈夫な人には見ることをおススメするドラマでした。
ここまでしたんだからこそ、テキスト染みた結末じゃない法治国家を越えたラストも受け容れられる。
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2016*03*11(Fri)
ナオミとカナコ 第9話 感想
あ~も~色んな強引さはあれど完璧だったんじゃないだろうか。
これまでの様々な伏線が成長し、真実を周囲が知っていく過程とその設定。
見事に描き切っていて嘆息しました。
大満足です。ここまで凶悪なスリルに怖じ気付かず(笑)見続けていて良かったー!


ついに陽子姉さんが真実に辿り着く回。
圧巻だったのは、ここまで屈強な敵として硬派に冷血な義姉を演じていた陽子姉さんの激しい感情を持ってしても
開き直ったカナコの執念には敵わなかったこと。
カナコの抱いた憎悪や苦悩は、生温い家族愛など解かれたところで、溶けだすものではない。

静かな決意も漲らせ、ついに覚醒したカナコの本性が、激昂する陽子姉さんの前で
引けを取らずに、むしろ背筋が凍る寒さをもって対峙していて
も~~~、見事でした・・・!

DVで削られたカナコの時間なぞ
「それでもあたしにとって大事な弟だったのよ!」なーんていう軽い兄弟愛や
「両親を悲しませたくない」などという平凡な家族愛如きなど
足元にも及ばない。

そんな内なる声すら聞こえるほどの鉄壁の覚悟で
その漲る感情を大きな目玉だけで匂わすカナコを撮る、このカメラの角度!!

アップの具合といい、カットインするタイミングといい、照明のレベルといい
プロの技術力の高さを堪能致しました。

通常のドラマでは、殺人を犯した人間に
「でもその人にだって愛する家族がいる」なんて説得するのはテンプレで
使い方に因っては、最大級の説教になる訳ですが
このドラマにおけるその希薄さと言ったらっっ。

家族愛?それが何?
カナコが耐えてきた苦悶は、そんなもんじゃないでしょ、あんたに何が分かんの。
そんな表情が、凍りつくように画面に映る。

縄張り意識というような、私が私の世界を護ることに何の遠慮がいるだろうかという
酷く原始的な人間の命さえ感じます。

このドラマはテーマが明確で、最後までブレずに来ていることも私的高評価です。
描きたいことがとても明確でシンプルな構造であることも素晴らしかった。



でもまあ、細かく見ていくと、ボロは確かにあるんですよね。
言いたいことをすっきりとさせるため、笑っちゃうほど他が雑だ。
だけど、わざとらしいストーリーも、それさえもカバーしてしまう キャスティング、脚本、演出が素晴らしい。


まず、防犯カメラ。
ついに見られましたね。

仮に事件性があると睨んだって、本部のサーバーに残っているプライベート情報を
簡単に一般人に公開するかなぁ?
そんなセキュリティ会社、嫌です。

やっぱり警察の令状取ってからじゃないと。

勿論これは刑事ドラマではありませんので、捜査の部分は割と手抜きでも良いのですが
ただ、監視カメラ映像だけは、唯一で最大のネック、決め手であったので
ここを適当にされると、ドラマ全体のスリルが軽減してしまう。

ここだけはもっと、凝った作りにして欲しかったです。

また、銀行監視カメラの方でも
お金を引き出すときに林さん、利き手使っちゃってたことについて、その件について絡んだ話なかったことが
また不自然。
視聴者を追い込むだけの意味ない演出だったのなら、残念だ。


その林さん。
林さんなんでいちいちスーツ着るんだ!!
今回・・・いやドラマ一番の突っ込み所はここでしょう!

飛行機に乗る時はスーツを着る決まりとでもインプットされたのだろうか(爆笑)

ここ、無知という名の無防備さが、信じられない程の苛々を募らせた。私に。
悪意のない顔をさせているから余計、人を無自覚に傷つける典型。
勝手に戻ってくるから、林さんのせいで計画が台無しである。
無防備に空港に30分も前にいるから台無しである。

そういう人物設定が絶妙に上手いのだが
手放しで喜べないのは、やはりそれを中国人、或いは無教育者というファクターで見せているということ。

李社長もそうだが、通常社会概念を越えた哲学を述べるのに
土俵が違う人間を使うのは良いんですけど、こういう少しバカにしたり浅く見た使い方ってどうなのか。
いっそ、林さんに苛々させるところまで巧妙に計算しつくされたような造りに
最後まで疑問が残る。



無言電話。これでまさかの元カノ発覚。
ここはさすがに唐突過ぎた感は否めませんが、一番違和感なのは、達郎のキャラ設定。
そもそも達郎は結婚に愛を求めるタイプではなく
結婚という社会システム通じてステータスを得たい男である方がしっくりくるのに
昔に女がいた=性的な興味もあった、とスライドすることに無理がある。・・・んだよなぁ。

相手の家柄とかにも凝って、それで内々に暴力を振るうとした方がスッキリした。


ただ、達郎がDV夫であることを、陽子さんがどう納得するかを考えると
例えば警察連行後に、カナコが暴力を訴えたとしても、言い逃れにしか聞こえないし
何より、あの見事なクライマックス対決に結び付けるには
警察の介入なしに陽子さんが勘付く必要性があったので・・・まあ、妥当な線か。

第三者の被害者の存在は、確かに物語の説得力を上げていた。

でも、達郎がDVをしていたことはあっさり信じた陽子姉さん。
銀行横領はあれだけゴネたのに、やけにあっさりな気もする。

出来たら、もう少し前から、陽子さんに達郎の人間性について言及するシーンなどを含め
また、元カノがいても可笑しくないシチュエーション設定
更に、時々、達郎は感情が高ぶると物に当たることもある等、目にしていた・・とか
そんな状況設定した上でこの展開になったら良かったのに。

時間が無くてカットされた、とかだろうか。


とりあえず。以前見掛けたカナコの顔の痣。監視カメラの深夜大荷物を二人で運ぶ映像。
車で明け方帰ったゴルフバックは空であることまで映っていて
とうとう陽子姉さんは、真実に辻褄を合せる。


「なんのことか分かりません」

どう問い詰めても、決して口を割ろうとしないカナコ。
潔さも清々しく、これまでの鬱憤が晴れていくようだった。

李社長の言葉が、この間から重要なキーワードとなっていますが
「吐いた嘘を本当にするだけの覚悟がなければ」
自己実現に対する突き抜けた覚悟を試される流れも鳥肌が立つ。

己を幸せにするために戦う女と、己の世界で邁進する女の対決。
このドラマ最大級のクライマックスだ。


そんなカナコに放った陽子姉さんの台詞が、また凶悪的。

「自殺させてあげる」

両親をこれ以上悲しませたくないからという理由で、カナコに詰め寄るシーンはちょっと狂気染みている。

DVを知ったら、この姉さんなら理性的判断が出来ると踏んでいたのだが
とんだ誤算でした。
まさか、そうくるか。
やっぱ同じ血が流れてんのね、と過ぎったのは一瞬。

家族を護りたいというのなら、もしここでカナコが息子、つまり甥を身ごもった身と告げたら
陽子姉さんはカナコをどうしただろう・・・。

でもそういう展開にはならなかったけど。



一方、林さんと会っていたことを黙っていたことで、決裂していたナオミとの友情。

「嘘を吐かれたぐらいで、友情が揺らぐのか。それでも信じられないのなら、損得で考えるね」

李社長の台詞。面白い命題でした。
なるほどと思ったり。
人が人であるための戦いを描いた本作で、生きていくスキルを打算的に台詞にしたようでもある。

まだ蒼い無垢な彼女たちが、事件を通して大人に成長していく瑞々しさが眩しい。
そして、そんな決意を持って、共に生きる決意をするまでのナオミとカナコの心情もまた
分かり易かったです。


「人間、忘れてしまった方がいいこともたくさんあるのよ」

同じく、今度は認知症のオバサンの台詞。
ナオミたちDV被害者は忘れることは出来ないが、この事件のことをいつか過去に出来たら。
嘘を吐き続けるという重たい枷ではなく、これが単なる扉だと言っているようでもあったし
或いは、些細な諍いで友情を一つ失うことの代償を問うているようでもあった。

また、陽子姉さんにしてみれば、無闇に首を突っ込んだから
知りたくもない真実が吹き出した。
もし、横領が分かった時点で、身内の恥と手を引いていれば、少なくとも矜持は護られた訳である。


何かがあって、人は大きく擦れてくる。
それが、殺人事件だというところが、このドラマの面白さだ。


ずさんな素人計画が、林さんの安易な感情に因って崩壊し
また、ナオミ自身の警戒の薄さから盗聴器を付けられて、自滅。
その中でそれでも一人、堂々と白を切るカナコ。

護りたいものは何なのか。
未来か自己実現か。戦う姿は、理由などどうでも良く、強かな命の強さを思わせる。


翌朝。
カナコのマンションに、逃亡する決意をしたナオミが訪れる。
分かっちゃいたけど、くわぁぁー!ってなった。

ってか、荷づくりもそこそこに、逃げるなら夜のうちに自宅を出ろって突っ込み入れたが。

何だろう・・・些細な諍い、裏切り。
そんなことが人間関係に与える影響など、本当はもっと希薄なのかもしれない。
もっと深い所で繋がっていて、大切なものは別にあって
そして、目指す世界はもっと広い。

頑張れ、二人共!


・・・・そこに警察到着。
この水の指し方も絶妙。
ホンっとストーリーの流れが上手い。
警察を怖いというか憎らしいと思ったのは久々だ。

でも翌朝まで待っている二人の悠長さに、イラッときたのも事実で、共感を阻害する。
目を瞑りたくなるような粗雑さはあれど
だけど、それを上回る圧倒的なテーマ性と、ブレない方向性、そして役者さんたちの熱演で
高評価。です。


次回。
『逮捕か逃亡か』
うえぇっ!??マジで?逃げ切るラストもありなんすか?!

公共電波に乗せるんですから、殺人擁護な結末にはならないと思ってたので驚きです。
そうか。ここまできたら
『そして、その後彼女二人の姿を見た者はいない』・・・・とかとか、そんなラストでもむしろOK。

もがき、苦しみ、ようやく手にした自分の未来を、足掻いて、汚れて、野生のように生き残る。
そんな、強かな生きる原動力を見せられたようなドラマでもありました。
だからその切欠が殺人っていうことろが、なんとも言えない味を醸し出しているのであって。
面白い。
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2016*03*05(Sat)
ナオミとカナコ 第8話 感想
ぴったりと足並みを揃えてきていたナオミとカナコの歯車も狂い始めた第8話。
カナコにちっとも共感できなくなったので、ただひたすらナオミが可哀想だった。
台詞もほぼないので、演じる方も大変だろうなぁと思いますが
カナコが何を考えているのか、真意が暈されているので、緊張感が擦りきれないのだ。

ここまであれほどスリルを追求し、削ぎ落してきたドラマだけに
スリルを失くしちゃったら唯の温い事件モノである。

なんで、カナコの本音をはっきりと見せないんだろうか。
少なくとも視聴者にはある程度見せないと、間延びしちゃって気が逸れる。
緊張感とは、事態を把握しているから芽生えるものであり、分からないことなら誰も緊張しないのである。
ダレました。
せめてカナコが、林さんに対し、どう思っているのかは、はっきりしてくれ。

・・や、まあ、冷静に見ますと
同じ空気感を持つ彼に、平和や安穏を感じて林さんにカナコが惹かれていたのは分かる。

その上で、確かに幸せを掴むために手を伸ばした賭け事だったのに
何故か幸せには永遠に手を伸ばせなくなってしまった境界に、言葉も無く泣くカナコ。

分かる・・!すっげぇ、分かる!
その覚悟の果ての残酷さが浸みます。
この辺の頑張った筈の努力が筋違いだったという惨さとか、めちゃめちゃ設定として面白い。

でも、それを丁寧に紡ぐような脚本じゃないから、のっぺりしちゃってるんですよね。
カナコの台詞をほぼゼロで伝えようとしている神経が、まず間違いでしょ。


そもそも、その、なんでカナコが林さんに強く迷惑だと言えないのかが疑問なんだが。

何かしらのシンパシーを感じていたのは事実だとしても
恋心を抱かれて、女として仄かに嬉しいのも事実だとしても
人を殺すって、そんな簡単な話じゃないでしょ。

その殺害行為に、赤の他人であるナオミを巻き込んでおきながら
今更何故揺れる?

「あたしがどんなに必死に林さん探していたか知ってるでしょ?!」
いやまったくだ、と思った。


そこの辺りの説明が少し不足しているように感じる。

ナオミには、「実はね・・・」って告げるべきだった。
林さんに会ったこと、妊娠したこと。
そして、幸せのために冒険した筈のこの賭けが、何故か私達を幸せからより遠ざけてしまったこと。


共犯関係というよりは、共闘したんだから、どちらかが隠し事をすれば、この危ない橋は渡りきれない。
他人を巻き込んだ時点で、もっと真摯にナオミのことを考えるのが筋でしょう。
ましてやナオミは今も奔走していて
それは果たして自己保身なのか?というと、厳密には違って
何もかも、カナコのためだったのに。

自分らの置かれている状況をまるで理解してないように見えて
バカなの?と何度突っ込んだことか。


だからといって、じゃあナオミに感情移入した話だったかと問われると、実は割とそうでもなくて
なんでだろう・・・・彼女の飄々とした演技のせいか。
それとも、ナオミのメンタルシーンが少ないからか。

仕事ほっぽり出して叱られたシーンでは、悔しそうでしたが
殺人を犯したイレギュラーとは、つまりそういうことなんだよということを示してもいて
全てナオミの自己責任に見えてしまう。
ってか、仕事はちゃんとやろうぜ。

もっと、ナオミの心理に沿う脚本で、彼女に共感出来る流れだったら、最後のシーンも盛り上がり
私がここまでしたのに、仕事も無駄にして費やしたのにって想いが、切々と伝わった気がします。



完璧に見えた計画もどこかで綻びがくる・・・というよりは
二人の歯車のズレが稚拙すぎて脱力である。

カナコがナオミに報告を躊躇う理由が、不鮮明過ぎる上に幼稚なのが致命的でした。

私のために日本に来てくれた・・・とは思っても、でも視聴者的には林さんに同情する余地は見えないし
ナオミに告げればナオミも困らせる、という類のものでもない。

また、カナコが林さんに惚れちゃったのかどうかも曖昧にしてて
その上で誕生日を祝って貰う花束を受け取ったり、部屋を何度も訪れたり
行動に一貫性がなく、故に共感も持てない。
その上、ラストは、そんな自分の境遇を憂いて、何浸っちゃってんの?
意味分かんないぞ。
ポロポロと泣いたって、その涙に同情は湧かない。

二人のシンパシーをもっとロマンティックに描いてくれたら、もうちょっと何か感じたかもしれない。


もう、旦那は殺してしまったのだ。
時間は動き始めているんだよっ!
同情とは、必死な人間の無慈悲な結末に起こるものであって、甘えている人間には出ないのではないだろうか。

もっと、カナコ自身の理由が、やむを得ないような、身を切るような末の決断だったとかなら
最後の擦れ違いはすっげー胸を鷲掴みにされたと思う。
ここはもう少しネタを煮詰めて欲しかったです。


その意味で、ナオミサイドとしても、カナコサイドとしても、グッとくるような流れは堰き止められ
中途半端な女の口喧嘩を見せられ、ちょっと残念だった。

そんなダラダラとした理由を長々と続けるもんだから
中身が薄い薄い。
ちっとも話が進まなかったことも、微妙だ。
なんだろう・・・・脚本を無理矢理引き延ばされたのだろうか。



追い詰める側の陽子姉さんの辛子色のコートが欲しくなってきた。
・・・あれ、思考がズレた、いや、もうそのくらいしか見るとこなくて・・・(ーー;)

部屋をアポなし訪問は、お化け屋敷レベルに心臓に悪い。
あれだ、貞子が来る~と思うカタルシスとはちょっと違う。

水を頂戴、と突然言われたら、普通もう少し訝しむぞ。
しかも背を向けんな!

と言う訳で簡単に付けられた盗聴器。出た、盗聴器。
いつかはこの線を突いてくると思っていました!
もっと早くこのアイテムが何故出て来なかったのか不思議でしょうがない。
探偵さん、お役立ち。

夜間に煙草を吸って車で待機の探偵さん。青白い画面。古い・・・(爆笑)
ここだけ急に昭和臭。



・・・・で、残りは次回へ持ち越し。
ええぇぇぇー???延長してこの程度なのか。
カナコと林さんのダラダラとした間をもう少し縮めて、話を進めてくれた方が、もっと迫力あったと思いました。
個人的には陽子姉さんには文句一つないです、申し分ない。
追い込む怖さも迫力も存在感も、完璧に近いです。
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2016*02*27(Sat)
ナオミとカナコ 第7話 感想
こんな展開になるなんてー!!
正に世の中は卓上で起きているゲームじゃないんだなという人間の面白さが詰まっていました。
まるでだから人生は数奇なのだと言っているようでもあるし
だからどんなに計画しても不確定要素を排除できないと言う人間の限界を言っているようでもある。


二人の素人考えのなずさんな犯行計画が、返って他人の介入の余地をふんだんに残していることを
貪欲に利用した作風が面白い。脂が乗ってきた。
こういう凡ミス連打は、普通の刑事ドラマじゃ有り得ないし、萎えるだけだが
犯人側視点で畳み掛けるヤバさは、申し分ないくらいのスリルだ。
無関係な人間を巻き込むことで予想外の方向へ転がっていく展開は、とてもスムーズでリズミカルだった。


ただ、スリルを堪能するだけのドラマなんですよね、これ・・・。(ーー;)

盛り上げる音楽ももうベタベタな選曲。ほんわか心に満ちる抑えどころ音楽も平凡。
笑っちゃうくらいお馴染みのテーマが流れるからもう笑っちゃう。←?

もう少し個性的な音楽作れなかったのか。
いや、もう、そこすら個性?


なのに余計な概念はほとんど省いた、整頓された脚本で
次々と、何かと甘く危なっかしい素人計画の綻びを抜かりなく指摘してきて
そんな女二人が見てられなくて
もう笑っていいのかハラハラして良いのか分かんねーよー!!

こんっっなアドレナリンが絞り取られるドラマは金輪際みたくない・・・。
脳内ぐちゃぐちゃです。多分、ゼッタイ、寿命一年縮まってる。



陽子姉さん大暴走の回。(主に推理の面で)
クールなキャラにおける突飛な「これよー!」は笑うところなのか。
それともマジか。

追いかける側のキーワードは、銀行の監視カメラとマンションの監視カメラの二点だ。
達郎の当日の足取りと交友関係を洗う。

当日の足取りと言えば、追われる側からすれば、決定打は同じく
銀行引き落とし時とマンションの深夜の映像だ。
陽子姉さんの狙い所は的確だ。


しかし、マンションの管理組合には個人情報プライバシーを盾に、映像公開断られちゃう。
まあ妥当である。
人が消えたというだけで、ホイホイマンション管理人が映像見せられたら、他住人は堪らない。
高級マンションほど、完全なるプライバシー保護がネックである。
現在アップル社が国の依頼を断っているあの事件が脳裏を過ぎる。(笑)


しかしここはドラマ。
やはりここは警察が正式に動いてから・・・・と思っていたら
陽子姉さん、探偵を雇うことに。

なるほど、そう来たか。

ここで探偵さんらしい目線で、達郎に女の存在を臭わされる。
達郎を知っている人間ならその発想はないから、ここで探偵役の投入は大きい。


探偵会社に警察OBがいて、融通が効いたという理由で、マンション映像もあっさり開示。
ちょっと有り得ない気がする。

だってこの警察だって正式捜査ではないでしょうに。
この辺の脚本的な詰めの甘さは、ちょっと短絡的だ。

だが、開示されたのは、まさか深夜に犯行を行っているとは思わないからこそ
日中、達郎が外出したとされる時間。
誰も映っていない。(当然だ)
このズレが面白いし、ハラハラ感を高めていく。


一方、銀行ATM映像。
こっちは前回の、内部密通者の彼によって、無断開示。
これも、厳密には規則違反だろうけど、内密に動いているということだから、ここは規約違反は承知の上か。

探偵さんによって、銀行監視カメラも、誰が降ろしているかではなく、誰が付き添っているかが重要と助言。
なるほど、そういう視点なんだ~。
ついでに、二回目の引き出しにナオミが付き添ったあのシーンが、こう繋がるのか~と深く納得。


この辺の一連のシーンは、もう前回から私が、ナオミ&カナコへの同情視点ではなく
スライドさせられた脚本に従い、客観視点で見ているので
危ういばかりの彼女たちの抜かりを、一つずつ伏線回収していく流れに興味が集中。
追い詰める手札が、見ていて面白い。


個人的にこの事件の面白さを補完しているのは
陽子姉さん、弟の交友関係をまるで知らないだろうってことだと思った。
結婚した弟の周りなんて、そんなものか。
思えば、達郎の周りってすごく狭くて、友達なんかいなそうである。くだんねぇ飲み会なんてと唾吐くタイプだしな。
女の存在なんて、もっての外。


ところがだ!

この女絡みの指摘が、まさかこんな展開に転がるとは!!

探偵による、男の失踪には女の影がある指摘。
ナオミが林さんに付き添った銀行ATMの証拠写真。
林さんと達郎が瓜二つだったことを利用した犯行であるが故に
同じ顔を見た李社長が達郎を林さんと逆に勘違いすることで証言される、林さんの上海行き決定打。

なんて上手く絡み合った糸なんだろう!

陽子姉さん視点では、達郎は上海に行ったことが決定的になり
行き先が上海であることと、李さんの故郷が上海であることから
ナオミと達郎の接点を意識する条件が揃い、まさかの不倫疑惑。

いやいやいや。大爆笑。

まさかそっちを疑うか!
そりゃそうだ。これだけ見たら、そうなるか。
でも理詰めでしっかり者に見える陽子姉さんが犯す失態だけに、なんたる大暴走って風に見えるw

いくら女にそそのかされたからって、横領の手口が銀行員としてありえないっていう点についても
女にかどわかされたの一言で納得か。
・・・ってか、陽子姉さんの不倫の認識って・・w

あれですか、昼ドラとか信じちゃうタイプですか。
怖いと思っていたが意外と単純だったことに驚きである。
クールな顔して言うから余計におっかしーったら。


この妙に辻褄が合ってしまった状況が非常に面白く、何気に説得力もあった。
達郎を、自分と同じエリートサラリーマンだと羨望していた筈の価値観が
たかが女の存在でここまで覆されるとは。
陽子姉さん的には、可愛い義理の妹の旦那を親友の顔をして奪った泥棒猫って認識か~。爆笑。

そりゃ、ナオミも想定外だろう。
全く、人生は予期せぬことが起こり得るものである(笑)

いやでも、いっそこれを利用して、殺人罪という最悪の結末を回避するとか、どうだろうか。



更にそんな時、林さん帰国。
うっぎゃー!ややこしいときにややこしいことが!
スリルを畳み掛ける手法は、もうこれでもかと言う感じである。

しかしこの流れも、少し中国の方に配慮が足りない気がして、少々ざわざわするものが残る。
李さんを出すことで、殺人をそそのかすハードルを下げていると第1話感想で指摘しましたが
ここで林さんが戻ってくることで
重要なことを理解できない理解力や俯瞰力の弱さを
中国人であるということと、教育の低さで説明させているような風潮を感じてしまった。

社会的な捜査の詰めの甘さということよりも、こういう心理描写の説明がこの脚本
ちょっと甘すぎだなと思う。


でも、二人がまさか殺人を犯したとは思ってないからこそ、勘違いでどんどん困った方向へ進んで行く。
そこの絶妙な流れは、上手すぎです。

前回の記事で、もったいつけたカメラワークやタメが、わざとらし過ぎて萎えると書きましたが
今回は絶妙な秒数だった。
陽子姉さんが写真を1枚1枚捲る引きや、監視カメラ映像をみんなで覗くカット
色々な、ヤベー!を演出してきますが
それがとても効果的に繋がれていたように思います。

だから心臓に悪いんだってー。


さて、その林さんの想定外のご帰国。
合わせて、カナコの妊娠。
もしや二人ラブラブエンド・フラグ?

それはヤだな~。

勿論、このドラマを見る時は私の倫理観も崩壊してまして
この二人には逃げ切って欲しいし、望む幸せな未来に戦いに歩みださせたい。
自己確立を弱い者を傷めつけることで得るなんて人類の敵である。死んで当然とすら思う。


しかし、林さんのように、恋だけで全てを許されると思うような感情論も苦手。
見る限り、カナコに惚れたから来たように見えた。
惚れてなくとも、「あなたにもう一度逢いたかったから」とか「自分のお酒を呑んで欲しかったから」とか
超自己中心な行動原理を吐きそう。
私の一番嫌なタイプ。

この計画を持ち込まれた時点で、二人が殺害を犯すとまで思う人間はいないが
自分の淡い想いを優先させても良いと判断するだけの根拠もないだろう。
彼女の本気で想うのなら、ケータイを始末し
せめて一年は空白を空けるのは、真の愛情である。

ちょっと林さんにイラっとしました。


あと、そんなカナコにもちょっと苛々と。
なんか、DVに怯えていた頃のカナコの演技は、もうDVをする側の達郎の演技に引き立てられ
もう迫真ものだったのですが
解放された後の馬鹿顔というか、幸せに緩む脱力と未だ怯える傷痕・・・
そして画面に著しく漂う緊迫感に、どうもマッチしていないような気がして
表情も同じに見え、感情表現も上手いと思えなくなった。
倒れるシーンもワザとらしく。

どうしちゃったのか?と考えると
やはり前回推察した通り、後半戦に入ったドラマでは、殺害を犯した人間が言い訳していく内容であるだけに
視聴者の目を少し二人から逸らさせる意味もあったのかなと。


このドラマは、カナコのキャラで成り立っているのだから、何かもう少し変化というか迫力が欲しいです。
演技が誰もが単調になってきた感と
おんなじ使い回しのベタな音楽という演出に、内容としての薄っぺらさが出てしまっているのは否めない。

単純にスリルを追うドラマになってしまった。


逆にそんな中、突如、李社長がくれた中国の御守り。
この人の迫力がようやくドラマに噛み合ってきていると感じた。
一応、敵か味方か分からないように演出されていますけど
カナコをあっさり雇用したことからも、悪意はないと思っている。

ただ、この御守りに、純粋な思慕があるとも思えなかった。
後になって、それは良いことには幸せを、悪いことには成敗を下すものとか、平気で言いそうである。
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2016*02*19(Fri)
ナオミとカナコ 第6話 感想
前回まであれだけ秀逸に精査されていたスリルドラマが途端にチープになってしまった・・・。
なんてことだ。
殺人実行まで完遂し、いよいよ頭脳戦に入る佳境かと超期待していたのに、知能が低い子供のようである。
演出さん変わりました?

開始5分の引っ張り方があざとく、子供向けで、一気に萎えました。
緊張感やスリルは、タメや引っ張ることで出せるものではなく
細かなカットやカメラインによって出される方が緊迫感が持続する。・・・ってプロの方に素人の私が物言いたいくらいだ。

特に何度も静止画面を入れる手法は、集中力にも限りが出る。
このドラマの場合、前半戦で見せてきたように
時間軸をそのままダラダラ垂れ流すよりも
要所要所を抜粋して、スピーディに進めた方が、際どい緊張感が出ていた。

そこにセンスの高さを感じ、気に入っていたのですが
もう今回は、こうすれば最大の修羅場を二人で乗り越えたでしょというスタッフのドヤ顔が透けて見えるくらい
わざとらしい。



冒頭、ナオミもカナコも、それぞれがピンチを切り抜けるというシーン。
ナオミは、斎藤さまのお宅で銀行役員らに木曜の記憶、つまりDV夫が来たかどうかを問いだたされ
カナコは自宅で、陽子姉さんに、あの日の夫の様子について問われる。

まだそこはピンチじゃないだろ。

ピンチは始まったばかりでしょうに、何もう動揺してんの、という馬鹿らしさもある。
ここは切り抜けると視聴者は誰もが思っているのだから、ここでこんな引っ張るのは不自然だ。
何こーんなにタラタラ、タメ取ってんのか。

ネタがそれほど重要パーツではないだけに、もうバカみたいに見えた・・・。


もっと言っちゃえば、このドラマ構成として
事件のリスクを敢えて暈し明示化していない所が、緊張感を不透明にさせている気がする。

例えば、ナオミの方。
斎藤さまの認知症については視聴者も把握しているが
ここでナオミが認知症というカードを使って、どう攻めたい(逃れたい)のかが、イマイチ分からない。

認知症は、バレた方が良いのか、バレない方が良いのか。

老婆にあの日、服部達彦が来たということを証言させたいのなら
認知症はバレない方が良いわけで
だけど終わってみれば、認知症があるので達彦が目を盗んで横領したという結論になった。


どうハラハラしたら良いのか分からない緊張感は、見る側の疑問符が打ち消してしまうわけで
物語の狙いが中途半端である。
ナオミがどう攻めていこうと企てているかは、予め事前に口にさせておいてほしかったなぁ。
そうした方が、ナオミと一緒にこのピンチを切り抜けるスリルを得られた筈である。


逆に、どう転ぶか分からないというハラハラ感を訴えたいシーンだとするのなら
あの引っ張った長すぎる間とナオミのアップ画面は少し見当違いだ。
そもそも視聴者はずっとナオミ&カナコ目線で見て感情移入してしまっているので
ここで客観視点に持って来られても、意識が追い付かない。

だったら、何故こんなに引っ張る?

そもそも、口べたでいつもおどおどしているカナコの方ならまだ納得も出来たものの
ナオミもまた同じように、想定内である認知症という着地点を、引っ張りすぎて
全然ピンチに見えない。

ここはもっと、尺を詰めても良かった。


カナコの方。
こっちは、彼女のおどおどした性格が見事マッチしていて、口籠る緊張感は相変わらず。
更に、追い詰める陽子姉さん役の吉田羊さんの眼力が、細目のツリ目であるだけに鋭く
見ているこっちが怖えぇ。

こんな上司に睨まれたら、大の男でも尻ごみしそうな迫力だ。
良い表情です。素晴らしい。


・・・・・が、そろそろ彼女らに感情移入するのも限界だ。
余りに彼女らがいい加減だと、応援する気も萎えるというものだ。
あの週末の休暇で「月曜からは夫が失踪した妻を演じなきゃ」と言っていたのに
その覚悟が、ナオミにもカナコにも見えないのが致命的である。

銀行監査さえ乗り切れば警察は介入しないので、成功、と考えているようだが
そこから既に甘いのだ。
当事者として、ならばどこが線引なのか?と考えても
少なくとも身内が騒がなくなるまでは、安心できないと考えるのが通常だろう。

さっさと指輪外したり、富山に旅行なんて、怪し過ぎるっての。
一気に幻滅。


更に、夫に失踪された妻、悲劇の妻を支える友人としての心構えもなっていないのが残念。
なんていうか、私ですら考え付きそうな、悲劇のヒロイン的台詞を何故吐かないのか。
台詞のチープさが鼻に吐く。

例えば、夫の実家で現行の監査結果を聞くシーン。
悲劇の妻として、もう少しなんか台詞があっただろう・・・。

「夫はどうなるんですか・・・?」だけで、後の始末ばかり聞いて。

この時点ではまだ失踪が確定した訳ではないのだから、夫の措置に寛大な処置を求める素振りとかさ
失踪なんて寝耳に水の筈なんだから、もっと動揺するとかさ
なんか、行動が冷静すぎるのも変でしょうに。

これで疑問を持たない人間の方が疑問だわ。


失踪について、否定的な意見を述べる陽子姉さんに、反論するのも、考えてみれば可笑しいわけで。

だって自分の旦那が失踪したり、犯罪を犯したなんて聞かされても
普通は愛する旦那を信じて、そんなことないわ、とか、あたしも可笑しいと思いますとか
同調を見せるのが筋。
ATMの写真を見た母親が「これは達郎じゃないわ、別人よ!」と言ったけど
これが普通の反応。

下手にムキになって反論を述べる方が、失踪して喜んでいると疑われても仕方がない。

ナオミについてもそう。陽子姉さんが出した反論を、親友の夫なら、同調する方が通常の在り方。
これでは、何かあると言っているようなものである。


素人っぽさを出したかったのかもしれないが、ちょっと知能的に低すぎましたよね。
銀行マンとして横領するなら、普通銀行を移すという通常概念や
昇進の話が来ている男が失踪するか?という心理から攻めていく陽子姉さんの糸口は
中々鋭く、むしろこっちの視点の方が面白かったです。

監視カメラが付いているのを分かっててATMを使うとは思えないとかね。
尤もだわ。

ただ、「通常逃亡するなら土地勘のあるところでしょ?」
そうか?
土地勘あるとこに逃げたら、居所がバレるじゃないか。


次回はあの超適当に流していたマンションの監視カメラ。
どう言い逃れを追求していくのか、確かにそういう視点では楽しみである。

夫婦間がうまくいってない事は見抜いてる陽子姉さん。
それでヤっちゃったかとカナコを疑うのはアリですが
真実へ突き進む陽子姉さんが事実を知った時、それをどう受け止めるのか。
その根源と突き止めると、この物語は真実を暴く程にどちらにも救いがなく、悲惨なドラマである。
嫌な終わりしか見えない・・・。




一気にドラマのクオリティが下がったかのように見えた第6話でした。

なら、この反逆の稚拙さが失敗なのか?と考えると、実はそうでもない辺りが憎い所である。
これも策略なのではないかという気が最後まで見ていると思えてきたから不思議だ。


富山に里帰りしたナオミとカナコ。
ここで、ナオミの母とカナコが出会うことで、DV被害から逃れた人間の心の解放を
美しい風景と共に切なく描いていたと思う。

DVが、どんなに辛かったか。
逃げだせなかった自分を責め、これからは幸せになる努力をするというナオミの母に
カナコは静かに涙を流す。
ナオミもまた、そんな母を助けてあげられなかったことに、自分を責め
だったら、今度はカナコに対して、頑張れたよねという、満足感さえ抱かせる。


生きるということは戦いだ。
どんなことをしても、幸せになる努力をしていくということが生きるということならば
それは、生命の謳歌であるとも感じた。


例えば彼女たちが手を染めた大冒険が、殺人などではなかったら
ここは爽やかで素晴らしい青春ドラマになっていた筈である。
イジメなどに屈し、逃げていた少年が、何らかのひと夏の冒険を経て、人生に立ち向かいはじめる
アレとプロットはまるで同じである。

同じツールを使って描いた始まりの物語なのに、その切欠が殺人だというだけで
それは否定的な意味合いを持ってしまう。


頑張ろうっていう、一人の人生の生き方を問う話になっていて
どちらも、美しい人間の生きる物語の筈だ。
これからは、やりたいことにもっと精力的になるよってナオミも宣言する富山の壮大な風景。
だけど、彼女たちに明日はない。


それは彼女たちの未来を悲しく縁取る意味を込めた画面だったかもしれないが
選ぶツールの違いというだけで、こんなにも青春群像と差が出るというのが、私には面白く感じた。
努力も戦いも、形や気持ちは同じなのに、選ぶツールだけでこんなにも色が変わる。
法を犯したら、やっぱり、社会では生きられないという当たり前のことが
こんなにも差を付ける。

だったら、青春ものや人生ドラマで描かれるのも、努力や生命力、人の生き様が美しいんじゃなくて
結果(手段)なんじゃないかと穿った見方さえしてしまった。

そういう他ドラマとの差が、実に良い味を出しているドラマだと感じました。


殺人から逃れるための彼女らに、敢えて富山旅行などをさせたのも
実は、これで彼女たちへ恐らく同情している視聴者の熱を冷まそうという
高度なスタッフの狙いだったのではないかとさえ、思われる。

社会ルールを犯した者たちには、幸せの前に制裁が来る。


幸せのためになら、何をしても良いし、どんな努力も怠るべきではないけど
殺人まで自己防衛のためならしてもよいという哲学だけには、してはならない。

そんな直向きな小さな努力が、こんなにも富山の風景と合わさり、瑞々しいのに
人の命を潰した上に成り立っているという事実が、彼女たちの行為を傲慢へと擦り返る。
確かにあの時、生きるためにもがいた筈だった戦いが、いつの間にか自己満足へと擦り変わった
実に恐ろしい回でもあった気がしました。

しかし、彼女たちにあの時、他に何が出来ただろうと振り返ると
DV被害者の重たい社会的救済の限界を突き付けている気もします。
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