Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2017*05*27(Sat)
帰ってきた家売るオンナSP 感想
「し、幸せそうですね」「幸せってなんだ!」冒頭スコーンとやられた庭野にもう笑いが止まらない。
帰ってきたよ~このノリ~!楽しい!嬉しい!

連ドラから3年後の彼らを描いた二時間スペシャル。
個人的にサンチー不動産で活躍している二人を一時的に応援頼む形で再会っていうのが
一番自然で一番楽しそうって思っていたら、正にその通りな設定だったので
それだけでワクワクでした。

中身も変わらない世界観での物語で、変に悪ノリしてこなかったのも良い。
開始二十分はもうスピード感もあって一気に世界を取り戻してくれた。
イモト演じる白洲美加もまた健在にしてくれたのは、粋な心遣いである。
お馴染みのメンバーが出揃ったテイコー不動産新宿営業所。
内装まで懐かしかった。

そして、そうそう、いたよな、こんなマスコットキャラ。
そうか相撲って住もうと掛けていたのか、と今頃ハッとした馬鹿がここにいる。


ただ、屋代課長が一人蚊帳の外だったのが悲しい・・・。
彼の凄さが全くなかったような・・・(笑)
個人的に仲村トオルさんをここまで駄目男にしているこのドラマの贅沢っぷりは清々しく
出来れば彼も交えての活躍を見たかったかな~。

北川景子ちゃんの無表情顔もやっぱりハマってる!
下手に演技をさせないところがもうぴったりで、やっぱり笑えるし味だわ~~~。
目を見開いてパソコン、ガン見しているだけでウケる人って早々居ないよ。

イモトさんが演じる白洲美加が産後復帰しているのも面白かったけど
すんげー勘違い発言&自惚れ発言もこれでもかと投下。
これはこれで笑えた。
最後にやっぱりサンチーに利用されているのも、良いポジション。

個人的には足立王子が今回の功労賞でしょう!
内容的にもだが、それよりなんかパワーアップしているような、ノリノリの演技が素晴らしかった!
大袈裟な顔芸とかw
優雅な動作に加えたイケメン風なのに、突如ガラが悪くなる言葉遣いとかw

足立王子の豹変に、その度にニヤついた。
やべぇ、このキャラいい・・・w まじイイよ・・・!



さて。内容的には。
まあまあ満足。ちょっと精彩を欠いた印象があったことと、連ドラを知らないでSP見ちゃった人には
このドラマの良さは伝わらなかっただろうな~っていうプロットがちょっと惜しかったが
連ドラファンからしたらもう美味しい展開てんこもりの、ツボも心得てある、無難なSPって感じでした。

息の合った役者さんたちの板に付いた演技とか
テンポ良く進む物語とか
派手さはないんだけど、どこかしんみりしちゃう人の世だとか。


不満なのは脚本じゃなくて演出面かもしれない。
なんかちょっと中盤中弛みした印象がある。
サンチーのGO!を聞けただけでうひゃぁぁ!な私ですが
それを挿入するくっそたまらないタイミングとか、ちょっとズレていた気がしたんですが。

その上、物件も三件扱った豪華版だったにも関わらず――
定年後の独居老人→家族と和解出来ずアパート経営
天才子役→芸能界辞めたけど家は見つからず
母子家庭→収入が少なく家は横取り
・・・と、どれも消化不良な結末ときたら、少々ドラマ時代のカタルシス不足だったと言っても言い過ぎではないだろう。

サンチーが売買した相手は皆幸せになれるというジンクスみたいなのが
不動産=人生というテーマに沿い、ドラマティックに魅せられるのに、そこが足りなかった。
家を売る売らない以前に、彼らの人生にどれも決着付けないって、どういうことだ?


とか言いつつ、個人的にグッと来たのは三件のうち父息子の子役ネタ。

母親に先立たれた子供が大人ぶっていくうちに何かが違うと思っていてもそれが出せなくなって
八方ふさがりになっているのが、ちょっと泣けた。
全力でぶつかって「お父さん」って泣き付いた和解シーンはほろりとさせられた~。
抱きつくタイミングなど、煽りが上手い。


娘を勘当した父親が、かつての暴言の報いを得たように孤独な老後に終わる話は
娘に謝らせない威厳も、娘と和解させないあっさり加減も
世知辛い社会を切り取っていて変に夢を見せて来ないから私は好きだ。
出会いと別れを繰り返す人生の交差点か。

でもこの父親が打ちのめされたのは寂しさだけではないと思うが。
その辺は巧妙にズラし、娘と和解も再会もさせないサンチーの潔さがなんとも沁みる。

サンチーの言葉にしない家と人の理解は、相変わらず小気味良かった。
シングルマザーが先約になりそうな物件を、奪い取って犬の家に売却とかかなりキツイ現実を入れてくるところとかも
彼女らしいし、このドラマらしさも充分で
後味悪いのも、奪い取るだけの理由がサンチーにはあるわけで、そういう流れは良かった。

のに、なんか尻つぼみである。
不動産が齎す幸せや不動産の魅力、そこに准える人生というものが
あまり前面に出て来なかったからか。
ドラマ時代はもっと、不動産の魅力解説書か!って感じで、不動産ありきで
そこにベストマッチングする人生の郷愁を描いてくれていたような。


その上、サンチーと課長の結婚を期待させておいて
「俺と!・・・俺と!」
「結婚、しますか」
「えっ」

最後までヘタレな屋代ちゃん・・・v
まさかの逆プロポーズ/////
そこで先に言っちゃうのかよw

これはこれで笑えましたw
さんちーがそれを察しているっていうところがツンデレである。

それでもドラマ時代は恋愛にはちょっと奥手で不器用で乙女な部分もあった彼女に
そこを分かって上げられる課長・・というテンプレが全く無視されてしまったのが残念で。

折角、最後の定年じぃちゃんが、人生の最後に寂しさを覚えて勘当した娘との再会を願ったというネタがあるのに
そこを踏まえて、一人強がるサンチーと、寂しくないふりをするサンチー。
そんな流れを経ての、屋代課長のプロポーズと来たら
それなりに含みのあるエンディングだったのにぃ。ってか、きゅん死出来たのに。

だったら庭野に「しっかりサンチーを自分のものにしてください」とか言わせないで
「課長がそんなだったら俺が奪いにきます」ぐらい言わせてくれれば
別な意味で悶えたのに。

この中途半端ぶり。
これ、もしかして続編考えてます?


大きな物件、営業成績などに重点を置いていた連ドラ時代とは少し視点を変え
今回はミニマムな物件に拘らせて、足立王子も庭野もまた人を背負っていく営業マンとなっていった。
営業マンたちの成長は見れた、のかな?
それも発展途上だった。

だって結局家は紹介出来なかった訳だし。彼らの未来は示されなかった訳だし。


このドラマの良さは伝わらなかっただろうな~っていうのがファンとしては悔しいですが
お馴染みのキャラのその後を味わいました!

サンチーを呼ばなきゃならないほどヤバかった営業所にサンチーが来て、嵐のように去っていく。
さんちーだよ、やっぱ、さんちーだよ。
しんみりさせる間もなく、視聴者にとっても嵐のような一件でした。
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2017*04*10(Mon)
ドラマスペシャル警部補・碓氷弘一~殺しのエチュード~感想
面白かった~!ユースケさんダークな中年男が似合う似合う!
こういうちょっと抑えた雰囲気と怖さ、彼がやると味があるっていうか独特の雰囲気が出ますよね。
ちょっと滑舌悪いことなんか気にならないくらい憑いているものが見える画だった。

また、ユースケさんと滝藤賢一さんのコンビが良かった~!
二人共演技派という一定の箔があるので並ぶと圧巻!
ちょっと荒々しい滝藤さんはもう文句ないレベルなので、凄い緊張感が滲んでいたように思います。

背格好も近く、痩せ型の二人なのでシルエット的にもちょっと・・・//////
カッコ良かった!



警部補・碓氷弘一~殺しのエチュード~
警察小説の第一人者と言われる今野敏の人気シリーズ。
監督/波多野貴文 主演ユースケ・サンタマリア


簡単なあらすじ
ライブに集まる人波の中で一人の女性が刺殺され、目撃者によって石狩という男が取り押さえられる。
翌日、駅に向かう人波の中で女性の刺殺事件が発生し、同じく目撃者によって野間という男が取り押さえられる。
偶然居合わせた碓氷が野間を緊急逮捕したのだが、前日の事件と合わせ、二人共否認。

ネット掲示板に「まだエチュードに過ぎない。本番はこれからだ」

真実はどこにあって犯人は誰なのか?っていう物語。


ドラマの出だしは、碓氷の誤認逮捕だったのか?という焦点に絞られ
あんな大勢の目の前で逮捕、目撃者も多数いたのだから
まさか間違えているとは思わない先入観と正義感を、「善意のヒーロー」としていたのが面白い。

誰もが刺した瞬間を見ていないのに、一人が「コイツが刺した」と叫べば
集団心理が働いて誰もがちょっと役に立ちたい心理に誘導され、そいつが犯人だと思ってしまうこの怖さが
実はそのまま真犯人の動機にも繋がるのだが
その切り口はとても繊細で丁寧だった。

そして、自分がやったと正義感を出していったのに、それを否定されると辱められる、この心理。

記憶は自己都合で操作されるという台詞もあって
とても社会性の強い人間心理を突いてくるなと思った。

何か明確な事実があってイコール犯罪となるのではなく
こうすれば人がこう動くから、犯罪が完成するっていうツールがそもそもユニークですよね。
誘導されて善意で行動したつもりが一人の冤罪を作り上げるリスクは
ちょっとおぼろげな怖さもあると思った。


碓氷が自分のその思考と記憶と思い込みのズレに気付くまでで一つのカタルシスがあったと思う。

で、気付いた後は今度は目的が見えない。
ミステリー的な誘導はとても緻密。
それだけで前半は充分集中出来る出来栄え。
そういうデリケートな部分を緻密に練り上げているのが尽く光っているドラマだと思う。


殺された被害女性二人ではなく
集団に捕まえられた被疑者の方に接点があるのでは?という視点の転換で
やったやらないの水掛け論も、それこそ痴漢冤罪の代表格で
実際ドラマもやがて発端となった痴漢事件へと繋がっていく。

その辺りからは縦型社会の上からの圧力へと理由がシフトし
その利権が絡んだかのような正義と、やはり対極にある構造が真犯人に繋がっていき
まさかの選挙妨害がクライマックス。

ちょーっとその逮捕の瞬間はもうちょっと何かドラマティックに描かれても良かったんじゃとは思うが
その分、上司に立て付き啖呵を切るラストは爽快感と後味の悪さもあって
ここに持ってくるまでの無駄のない、四方から攻める脚本に二時間たっぷり楽しまされました。
とっても良かった。


犯人は桐山という痴漢冤罪になった男。
本当に痴漢をした男・野間は有名議員の甥。
自己保身のために議員が野間の痴漢の罪を桐山に決定づけさせて
その人生をめちゃめちゃにされた桐山が野間と議員に復讐するために起こした事件でした。

しかもその時所轄の捜査に議員からの依頼で圧力を掛けたのが
碓氷を今回送りこんだ警視庁参事官という・・・。
事件経過を見守る・・監視するために利用してたんですね。

でも証拠もなく何も御咎めを受けない。

一番悪い人間が逮捕されず、冤罪で追い詰められた人間が犯罪に手を染め
更に人生を狂わせるラストの辛辣さは私好みでもあり
軽く差し込まれた母親の涙が実に痛々しい。
なんて悲しい悲劇か。

だからこそ、桐山の女性殺害などの動機はいっそ、誰でも良かったなどというチープなもので充分なのだと思えた。
その分、彼の破滅に追い込まれた悔恨がありありと浮かび上がる。


そんな物語を、これまた圧巻の役者陣が演じてらして、隅から隅まで隙はない。

自らの希望で捜査一課から総務部・ 装備課へと異動した警部補・碓氷弘一。
警視庁総務部装備課主任をユースケ・サンタマリアさん。

歳取ったな~とは思うけど、そのやつれた様子が実に冴えない中年キャラにマッチしている。
抑えた暗い演技が人間の含みを視聴者に感じさせ、いい感じなのだ。
声のトーンなども棘がなく、重い。


その相棒役・藤森紗英に相武紗季さん。
科警研研究員で犯罪心理学を学んだプロファイリングの専門家という設定だが
そういう理系キャリア風には感じないちょっと風変わりな女の子だった。
少しトロい口調に統一されていて、好き嫌いが分かれそう。
あまり頭良くは見えない。
でも碓氷とのコンビにはかなりマッチしていてアレルギーがない感じに仕上がっていたのが好印象。
毒がない感じというのか。とにかく中々おっとりした感じが凄く良かったのだ。

なのにあけすけにズケズケ言っちゃう感じとか、台詞のチョイスも上手かった。



警視庁捜査一課5係・刑事で碓氷と同期という高木を滝藤賢一 さん。
彼のトリッキーな演技力は周知されたるものですが、今回の尖った感じも実に上手い。
カッカして乱暴な感じも幼稚な風には感じさせず、早口な台詞も笑えた。
この人、実は良い人なんじゃって、どことなく思わせてしまう説得性がある・・・。


そんな彼と碓氷が徐々に協力体制に求心力が高まっていく流れも実はかなり見事で!
初めは辞めた碓氷に理解を示さず陰口を叩いていたのに
ぶつかり合い、憎み合い、でも
「長年現場を走りまわってきたお前なら分かるだろう!もう一度信じろ」
・・・って辺りから、慣れ合いではないのに、目的のためにチームが結成されていく感じの演出が
実はかなりグッと燃えた。

「ばぁか、お前。装備課が無茶しやがって」
「・・・」←この無言の表情vv

こういう楽しさはミステリー以外でも絶対必要だと思う。絶対。

警視庁捜査一課5係の係長役の佐野史郎の落ち付いた中でのひょうきんな役も見応えあったし。
役者陣には申し分ないクオリティだった。


唯一不満を言うとしたら
さっき少し書いたけど、こうまでして盛り上げてきたクライマックスが逮捕の瞬間なのか
それとも、碓氷が上司に
「待てって言ってんだよ!土下座しろよ、それでも足りねぇぞ・・!」」と啖呵切るシーンなのか。
確かに無音で演技力だけで見せ切ったこのシーンは
こいつがラスボスか、という迫力もあって味わいたっぷりである。

が、刑事ドラマって先入観としてどうしても逮捕の瞬間に山場を見てしまいますしねぇ。
その上、本当のクライマックスがしっかりと敵役を打ち倒すシーンではなかったために
どっちつかずになって、散漫してしまったのが少々勿体ない。

というのも、選挙の当確となった中継現場が妙に閑散としているのがなんか尻つぼみで。
参事官も同席するこの緊張の三つ巴戦をもっと焦燥感たっぷりに描けそうなのに。

だとしたら、恐らく狙いはその後のラスボス・参事官に
「彼をこんなにしたのは警察なんですよ」と言っちゃいけないこと言っちゃうシーンがメインだと思うんだが
確かにそこはすごい迫力があって良かったんですが。
なんか集中力が二分しちゃったな、という印象なのだ。

言っちゃった後「はぁ・・クビですかね・・・」って言う言い方は可愛かったが。
こういうとこ、愛嬌が残ってていいんだよな~。ほんと上手いというか。<ユースケさん

もっとスッキリと纏めてくれた方が気持ち良かったかなという勿体なさがある。


それと!
カメラワークには一言言いたい!
序盤、捜査一課の不協和音をカメラで演出したかったのだろう、くるくる回りながらの長回しで
一気に撮ったシーンで
しかもフラフラとわざと視界を揺らす手法で延々と撮られたシーンは酔って吐きそうになりました。
いい加減制止してくれ。
不穏な空気感をそんな小手先の手法でしか洗わせないのかよ!下手くそ!

だが、一貫した色素を抑えた画面は硬派さと頑固さもあって、ラストシーンにも相応しく
その他の部分については最高でした。
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2017*03*27(Mon)
二夜連続ドラマスペシャル「そして誰もいなくなった」第一夜/二夜感想
めちゃめちゃ力入ってた!途中までは!
隅々まで高度なクオリティを結集した渋いドラマに仕上がっていて
見応えは充分どころか完璧すぎる。第一夜だけでこの完成度。素晴らしい!
取ってつけたような空とか背景に幾分手抜きな部分が見えたりしたものの、役者陣が一流で結集していて
恐いくらいに迫力があった。

冒頭で渡瀬恒彦さんの最後の遺作となったことをご紹介。
キャストは柳葉敏郎、大地真央、余貴美子、國村隼、藤真利子、橋爪功、津川雅彦・・・。
もうドラマ帝王ラッシュじゃないか。
こってりにも程がある。
気を抜く隙がない上に、二時間ドラマの底力を見せ付けた。金も掛けた。
テレビ朝日さんの本気を見た。

25日の第一夜の番組平均視聴率は15.7%、26日の第二夜は13.1%を記録。
当然の結果だろう。あらゆる意味で。
そして視聴者を一気にお通夜状態にしたに違いない第二夜。さすがテレ朝スタッフ。


物語は誰もが知る不朽の名作が原案。
1939年に刊行されたアガサ・クリスティの長編推理小説である。
孤島から出られなくなった10人の男女が1人ずつ殺されていく クローズド・サークルの代表作品だ。

勿論私ですら読んだことがある定番中の定番で
それをよく日本を舞台に組み立て治してあるなと感心した。
確かに物語的に多少の違和感はある。
今どきそんな手紙くらいで孤島に出向いたりしないし、スマホの時代に合わせることもなかったような。
キーワードとなる唄の歌詞や舞台となる洋館もイメージは大正か昭和な分、時系列だけ浮いている。
夕食が終わる頃スピーカーで店内放送。怪し過ぎる天の声。
わざとらしく置かれた人形と、招待者のアナグラム。

非現実にも程がある。
もう金田一(漫画)の世界じゃないか。いやちがう、金田一がこっちを模倣してるんだ。
・・・などと、訳のわからないことに笑っていられたのも、だが最初の10分くらいまでだ。

海外では馴染みの薄い、日本らしいおどろおどろしさを画面から漂わせ始めた辺りから
もう余計なことは考えられなくなった。
ホラーテイストが心臓に悪い。
肉の塊とか、そんな顔で切らないでください。

いやいや、実にいい!

誰もが怪しく見える素振りやセリフも上手いし無駄がないし
何より役者さんがほんとに上手い。
表情がみんなハマっている。
照明の暗さとか独特で、画面の一環した少しの色素の薄さなども恐い恐い。
音響効果も王道で、引っ張る引っ張る。
プロの仕事だ。
雰囲気もあって、あっというまにこの非現実でリアリティの薄い世界に引き込まれました。


脚本の勿体ぶらずにさくさくと進めてくる潔さも好感度高かった。
特に会話を愉しむ余韻もそこそこに、さっさと発生する第一の殺人。

この最初の被害者が、向井理さんだったのだが
この人、顔は好きだし声も好きだし、でも演技はいまいちという印象だったのだが
中々どうして、いいじゃないか。ベテラン俳優さんに触発されたのか。
或いはこの人、優等生キャラではなく、こういうちょっと悪ぶったヤンキー系が似合うんじゃないか?
台詞回しとかも棒読みじゃない感じにリズム感があったし、油が乗っている感じだった。


人が一人死んだことで、旅行モードは一変。
その辺の不気味さも演出が上手い。
みんなで死体を運ぶシーンとか。
そうそう、こうやって丁寧に弔っていくから、余計ラストのホラーが完成するんですよね。

一人死んで、人形が一つ減って。
孤立した空間でどんどん追い詰められていく緊張感は絶品。
この辺の設定の良さは、そりゃ原作が素晴らしいからなのだが
でも役者さんのリアクションも絶対大きい。この面子ならではだって。

ベテラン俳優陣を揃えると、画ヅラはこうも違うのかという感嘆がある。

貫禄あったのはやはり橋爪さんか。
ベテラン俳優さんに感想なんておこがましいのだが、肝の小さくでも読めない表情が不気味だったな~。
彼の大人しく、でも少ない台詞故の、声の抑揚とか、聞いているこっちが痺れる。
存在感なさそうで、しっかりとある立ち位置が前半の緊張感を底上げしていたと思えた。

あと、ギバさんと國村さんのコンビが意外にウマがあってて良い。
静かな声の質とキャラの濃さが似合っているっていうのかな。
ここのコンビの妙は絶対ドラマの質に影響していると思った。
「さすがデカのだんな」「その言い方やめろ」の繰り返されるやりとりも、嫌味なくていい。

主演は仲間由紀恵ちゃんということだが
彼女の存在感は微妙。でも後半に期待。第一夜はただただ可愛かっただけ。


過去に犯した罪を各々長々と挟んで来ない脚本もこちらの集中力を持続させた。
10人もいますからね。全員やってたらダラダラしてしまったと思う。
そこに充ててきた内容もまあまあかな。
誰もが自分は悪くないと思うような、でも何処かにしこりとなってしまっているようなネタだった。
特に奇抜なものはなかったような。
次に誰が殺されるかという意味でも引っ張り方が上手すぎてハラハラしてた。

これはクオリティ高いぞ。明日第二夜見る。


>第二夜

・・・んじゃこりゃああ!!!

ありえない。
叫んだ。マジ叫んだ。第一夜のあの素晴らしさは何処へ行ったんだ。
前半と後半の途中までは面白かった。
正確には当事者となる10人サイドの方は圧巻の出来たっだ。
自家発電がなくなりランプという古風な映像になったことで、前半よりホラーテイストが増し
恐い恐い。

引っ張る尺の長さや音楽が絶妙で、日本的なホラーの恐さがたっぷりで
残された面子の堅い表情の具合も絶妙。
どんどん減っていく背筋の寒さというものもじっくりと伝えてくる間の取り方で文句なかった。

ギバさんと國村さんの残された者に宿る迫力というか、山場の緊張感はもう言葉もないくらいだった。
皆が相手を疑っていて、でも、仲間意識もあるアンバランスさが画面から滲み出ていた。
すごい画だった。

最後の仲間由紀恵ちゃん演じる白峰の恐怖が軸となるが
第一夜では多少心配もしたが、ここも悪くなかった。
脆さとか愚かさとか、そういったものがあって衝動的に首つりに走りそうな気配をきちんと感じさせていた。

「もう貴方しかいないじゃない・・っ」
「待て、俺はその時一緒に居たろう!」

ラストの海岸での一騎打ち。
仲間ちゃんとギバさんの海辺のやり取りもギスギスしてて良かった。


・・・のに、原作にはない刑事が出てきた辺りから様子がおかしくなった。
沢村一樹さんが悪かったわけではない(と思う)。

沢村さん演じる刑事はともかく、その周りに付いてくる男と女、これが邪魔。
リアクションもこれまでのドラマの質を目減りさせる下手さ加減でげんなりした。
もっと違う台詞あるでしょう。
もっと違う反応あるでしょう。
何この安っぽい若者向けドラマみたいな台詞とリアクション。
声の質や高さ、トーンにスピードまで拘っていた第一夜のベテランさんたちとの落差が激しい。
途端に陳腐なドラマに成り下がってしまった。

とにかく、あんなに洗練されていた精度高い台詞が一気に幼稚になり、無駄な尺が多すぎる。


そもそもこの解決編要らない。ここで台無しなった。
原作レイプと言われても文句出せないと思うぞ。

なんで時間軸を現代にしたのかと思っていたけど、そこは納得。そうかこのためか。
でも小型カメラは駄目だろう。
しかも幾つ仕込んだんだよw多すぎて失笑だ。

時系列で再現はご法度。残された遺体と物証で犯人を知るべきだ。
この脚本家の人、この作品の良さをまるでわかっていない。
カメラの映像で犯罪の復元とか、まるで作品を大切にしていない。
何故孤島で10人が死んだのか?最大のミステリーが台無しじゃないか。
どうして・・!っていう謎がゾクゾクさせる余韻を作るのに、映像で残っているとか、なにそれ。

しかも犯人がただの愉快犯に成り下がっている・・・・。
告白ビデオが一番萎えたよ、何この証言。
被害者の選出は長くなるから割愛、どんなトリックを使って殺したかの説明も無し。
青酸カリを混入する仕掛けも言わず、最後の方は運頼み。

人形を用いた理由もばっさり。
順番に殺したと思わせて実は逆っていうのをもっと捻ってくるかと思ったのに。
本当にただ一人真犯人が逃れていただけかよ。
トリックも何もない。

一応、途中で殺された人間の誰かがダミーであることは予想の範囲だが
だからこそ、そこのトリックのおどろおどろしさだの怨念染みた憎しみなんかがドラマの色合いを作ってこなくて
どうすんのか。
最後に、でも待てよ、じゃあ○○をしたのは誰だったんだ・・?みたいな謎を残してナンボでしょう。
センスないなぁ。

だったら解決編飛ばせよ。
そこが重要なんだよ!

重要だからこそ敢えて触れなかったのだろうが、裏目に出ましたね。


判事のキャラも平たく、なんか台詞回しも下手だし、彼の想いもまるで伝わらない内容だし
冷めた~~~~~。
迫りくる死から生じる狂気だの鬼気迫る怨念だの、そういう様子も全くなく。
犯行に於けるどうしようもない遣り切れなさや、苦しみや悲しみなんかがまるでない。

勿体ない。非常に勿体ない。あれだけ重厚かつ硬派なクオリティを出せたのに、この自滅。
シンプルな快楽殺人でもいいけど、もっと何かあっただろう。


ただ、民放のスペシャルドラマとして考えれば、かなりの出来だったのは確かだった。
演出面の凝り具合は抜きんでていたし、事件編はここ数年で最高クラスと言っていい。
10人の俳優さん方も素晴らしかった。
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2016*12*04(Sun)
ドラマスペシャル検事の本懐 感想
がっつりとドラマを堪能した~って気分です。とてもしっかりとしたドラマで見応えありました。
最近ちゃちいドラマしか見てなかったから余計大満足。
今クールにぶっこんでくるとは毛色が違いましたよ。

何より役者陣が素晴らしかったです。
演技合戦と言わんばかりの才能乱舞で、技術力を結集していて圧倒されたし、終始統一感がありました。
変に若手とか事務所とかの柵のない人選だからこそ画面から出る迫力が違う。
上川さんの舞台俳優宛らのクライマックスの発奮は流石という貫禄。
それを目減りさせない演出と画質。その世界観。

もう言うことないですよ!
笑わない上川さんのずっしりとくる演技が全てを牛耳っていて
些細な物語の違和感など些細なことだ。


『検事の本懐』
柚月裕子の短編推理小説集。

上川隆也さんが硬骨のヒーロー・佐方貞人を演じるシリーズ第3弾で
弁護士になる前の検事時代のお話らしい。

ぶっちゃけ、もう時間が立ち過ぎて前の話とか設定とか忘れているので、その辺はどうでもいい。
そこそこ面白いドラマだった記憶がある~程度の感覚で見てみたら、やっぱり面白かった。

ただヒロインが変わったことには気が付いた。
これがまた、違和感ある棒読み演技で。
今回の相方、検察事務官・加東栞役を演じたのは本仮屋ユイカさん。
このドラマの難点のひとつだが、何故毎回ヒロインだけが奇抜なんだろう・・・。
彼女の演技だけが下手くそで、台詞もなんか変で、浮いていた。
それだけが心残りである。


ヒロインは駄目だが、他の役者さんと配置はもう完璧。
まず、佐方とは同期でライバル検事の庄司真生役で松下由樹さん。

二大巨頭となる配役が上川さんと松下さんとくる、この重厚な布陣。
フレッシュさはまるでないわ、地味だわ、華もないんだが、ベテラン二人の頭角は画面に並ぶだけで
台詞なくとも世界観が伝わっちゃう。
すんげー。
この抜擢した人、センスに感動。


そして、今回のゲスト役者さんたち。
これがまた凄かった。ハマってて!

別ドラマで何度かお見かけしたことはあるものの、名前は存じ上げなかった俳優さんで
重要参考人の葛巻利幸役で手塚とおるさん。
おどおどした性格と、権力に屈しちゃう脆弱性、正義が悪かに揺れる感じが
なんかもうぴったり!あの目の大きい表情とか!

そんな彼を過酷な取り調べで自殺に追い込むほど無常な男、特捜部の主任検事・輪泉琢也役で、正名僕蔵さん。
登場時から彼の少し高めのヒステリックな感じは何でだろうと思っていたら
そうか、そういうことだったんですね。
彼の問答無用の、強引な捜査で追い詰められて自殺されてしまう。

まあ、だったら彼を処分しろよと思うんだが
そこはともかく、台詞や威圧的な態度だけでなく、この声!
なるほど、確かにメンタル壊しそう。
そう思わせられるだけの見事なチョイス。


そして今回は佐方の父の話も並行して描かれるのだが
そっちサイドで重要人物であった、佐方の父が顧問弁護士を務めていた広島の建設会社小田川建設の元従業員の
清水亮子役で、黒田福美さん。
年老いた女性の末期の雰囲気がとても胸に浸みる名演技だった。

そういうベテラン勢で占められたドラマだっただけに、最後まで緊張感も続き
圧巻の壮年期の大人たちの物語が綴られていた。
時の無常感とか無情さとかも出ていて、凄く良かったです。

人生を賭けてやり遂げたその幾つかの命は、なんかもう、言葉が出ません。
生き抜いてきた大人ならではの世界観でした。



・・・と、演技力に圧倒されて、些細なことはもう流れちゃったのですが
それじゃレビューにならないので、少しだけ物語について。

いやいやいや、これだけの技術力の結集を見せ付けられ結晶化した物語であるのだから
脚本までしっかりとしたものだったら、叫んでいたかもしれん。
相変わらず理屈で考えると詰めの甘いドラマであった。勿体ない。

逆に言えば、詰めが甘くとも、ここまでドラマを仕上げることは出来るのだという証明でもあると言っておきたい。


内容は佐方さんと庄司さんが東京地検特捜部の応援に行く所から物語は始まる。
扱われる題材は贈収賄事件。
収賄疑惑、闇金ルート、使途不明金・・・・その額三億。
誰がどうやって、何のために裏金を受け取り使用したか?というのが争点。

東京地検はその疑惑の渦中にいた重要参考人、事業団の経理担当役員・園部勝也が自殺してしまったことで
捜査の糸口が途絶えていたという状況。

その自殺に追い込んだのが、上記した主任検事・輪泉琢也の強引で横暴で決めつけた取り調べのせいであって
そんな風に地検が既定路線で捜査を行い、自分たちの筋書きに容疑者たちを自白させていくことに
当然のように佐方は反発。
・・・・・という、内部軋轢の物語。

同時に、佐方の父親が獄中死したことも時間軸を遡らせながら描いていく。


問題は、その父親の事件が今の贈収賄に何ら関係性が持たされていないことだ。
最後まで信念は曲げるなと言い残し死んだ父の遺志を継いだように
佐方もまた、上からの圧力には屈しない。


中盤までは複数の軸と主題を描いているのにも関わらず混乱はさせられず
丁寧に精査された脚本で、物語に引き込まれた。
どうなっちゃうのか?それだけが気になって、ガン見である。

葛巻が佐方を信じて逃亡を止め出所するまでの理由が
佐方を取り調べた別人男性を母親の死に目に合わせるために嘘を吐いて逃がせてくれたエピ。
それを持って、男が佐方を説得するのだが
そこまでに1時間を掛けている、じっくりと佐方の魅力と才能に迫る構造も、申し分なかった。

ここで人情的な人との繋がりの重さを描き、ラストで、あのフリーライターに「人情的なのは大っきらい」とか
言わせちゃう脚本も好きだ。

また、最後に、クビになっちゃう筋書きは面白く、佐方抜きで事件が解決するラストシーンは
ちょっと風変わりで面白かった。
既定路線で英雄譚見せられてもつまらないし。

画面も前編暗めトーンで一環性があったし、人間臭く撮っているのも特徴的でした。
ちょっとした煙草のシーンとか。
年老いた肌の色褪せた感じとか。凄く雰囲気あった。


でも最後の決め手となるのが
菓子折りの紙袋に文庫本が入っていたか否か?
重さで分かるとか、うう~ん・・・。
偶然座った席で袋が入れ替わったというところまではかなり面白いアイディアなのに
それは、嵌められた訳でもなく、単なる勘違いとか・・・。

更に最終的に証言となったのは、愛人が持っていICレコーダー。

女は強かだな。・・・とかいう以前に、なんか弱い。ネタがちゃちい!!
女がこっそり録音していたとかならともかく。


ただそこに、父親の横領疑惑が重ねられ、彼は恩返しのために疑われることを厭わず金を配達し
別件で罪を裁けなかった自責の念から自ら実刑を受けた。
その不器用な生き方と、そうまでして護った女性の人生の灯し火が、綺麗な余韻だったと思えた。
これでそこそこクライマックスのインパクトが保たれていた。

佐方父のバックグラウンドの重みが判明して
「人は、絶望しても笑うんです」

最後の言葉は、中々に重たく、そこに重ねられる女性の懸命に生き抜いた人生の終わりが重なって
「もう思い残すことはありません。私は幸せでした」

社長さんは女性妻には出来なかったし、女性は夫に死なれ娘だけを一人で育てた。
佐方父はそんな二人の間を保ち横領疑惑を掛けられ獄中死した。

結局誰も幸せでなかったような気がする三つの人生が、最後に交差させたのは沁みる。
それでも懸命に生き抜いた命だけが感覚として伝わり
そこに佐方父の貫きたかった本懐と、佐方息子の曲げられなかった本懐が相乗効果で高まって
確かに不器用な男たちの戦う背中を伝えたかったのかなとか思う。


この余韻と、横領事件の方がまったくリンクしなかったのが、勿体ない。
別に無理にリンクさせることはないんですが
ただ、あまりにも別物って感じで終わって、ただ単に父と息子の信念への覚悟が伝わっただけで
そこから発展しなかったので。

家族のために嘘を強要され、それを引き受けた葛巻の決意も
「もうどうしていいか、分からないんです・・・」
崩れ落ちる彼のその胸中を、なんか、もう少しピックアップしても良かった気が。
もっと言っちゃえば、息子のお祝いエピとか、完全スル―じゃないか。
要らなかった気がする。若しくはもう少し最後にワンカット。


ずっしりと重いストーリーだったことは確かで細部まで凝ってくれたら迫力もあっただろうなと思います。
ラストが散漫としちゃって、折角のクライマックスも台無しとまでは言いませんが、使いこなせなかったかな~。
でもそこそこ面白かったです。満足。
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2016*09*25(Sun)
宮部みゆきサスペンス「模倣犯」 感想
ラスト橋爪功さんの演技にすべて持っていかれた・・・!老成の迫力。派手な役ではないのに若手を圧倒していた。
クライマックスで分かる模倣の意味もある意味台無しのレベルである。
悪の連鎖を断ち切ったのに残る遣り切れない苦しみは、胸が突き刺さる程苛烈な余韻を残していて
それが観る者の誰でも持つ過去の傷痕を抉り、衝動だけが残った。
序盤ではなく、敢えて収束後に見せる転げ回るような喪失の苦しみが壮絶。
この奪われた苦しみに比べたら模倣の意味も逆転もパッションな事件もどうでも良くなる。
凄い作品だった。


テレビ東京ドラマスペシャル 宮部みゆきサスペンス「模倣犯」
2016年9月21日22日放送
監督/松田秀知 脚本/森下直
 


原作未読。映画未視聴。
テレビ東京本社の六本木移転を記念したプロジェクト「六本木3丁目移転プロジェクト」の
ドラマスペシャル第1弾として制作されたらしい。二夜連続放送。

実は宮部みゆき作品は割と好きな方で、模倣犯は一度原作で読んでみたいと予てより思っていた作品。
つい疎遠になってしまっていて早十数年。そんな矢先のドラマ化。
内容を知りたい好奇心に勝てず、思いきって視聴。
いやはや、凄かった・・・!
物語がというよりは、劇場型に持っていくシチュとラストの終わらない不気味さがである。


ドラマの舞台は、テレ東としてはしっかりとしたロケ地で、丁寧に造られているという印象だ。
近代的な公園の現場、下町風情の故郷、山深い別荘地、主人公の住む古ぼけた工場、豆腐屋。
印象の異なるマッチしたロケ地が選定されていて、映像にも説得力がある。

台詞や思考、回想に昭和テイストを思わせるのは、この作品当時の時代を象徴しているのか。
価値観や登場人物観が古めかしいのに、冒頭きゃりーちゃんの映像っていうのは
後になって振り返れば違和感があるのかもしれない。

それでも凄惨な世界観を彩る背景として、壊さない美術背景で
原作を丁寧に熟読したのだろうと思わせられたし
本当に丁寧に大事に作ってみましたというスタッフの意気込みを感じさせられた。


出演者さんたちも違和感はないキャスティングである。
多少拙い人はいたが、全体的に、特に大御所の存在感は絶大だったため、ストーリーに素直に溶け込める。
俳優さんの底力を見せられた布陣。

◆主演、滋子役・中谷美紀さん。
主婦あがりの能力欠如な粗暴さが呆れるほど体現的で
クライマックスの綱渡りの賭けの際どさが熾烈に出ていた。
その分、前半は苛々させられることも多々あるが、それも演技力だろう。
この人は日常ほのぼのお気楽キャラよりも
後半の追い詰められた後のシビアな舞台で青筋立っているようなギスギスした雰囲気が似合う気がする。

◆ピースの網川浩一役・坂口健太郎さん。
一番重要な役どころですが、生々しく気持ち悪い感じはマッチしていると思った。
彼の笑顔と狂気の落差がドラマの肝となるが、それは少しあざと過ぎる気はした。
不気味さが露骨?というか。
最初の登場時点で、既に変人ナルシストオーラ全開でしたけど。
他人には好青年、でも、内なる狂気に呑み込まれている人。
そういう意味なら、可憐なビジュアルで、変貌後にもっと崩れる感じが欲しかったかも。
でもそれって逆にリアリティあったかも?

◆実行犯、ヒロミ役・山本裕典さん。
前半のダミーとしての犯人であったヒロミは、「ケケケ」の言い方が独特であり特徴的だったが、なーんか平凡。
良くあるイカれた犯人像だろうこれ。ベタだな・・・。だからこそ前半はなんらメリハリがない。
操り人形だったのだとしても、もっとラスボス感出ていても良かったかな。
こちらへのフェイクとして。
また、カズに説得されて絆される車のシーン。
ブレーキが効かない、カズごめんって言うシーンは結構キてしまったが
それでももっと切迫感あった方が絶望感出たと思った。

◆疑われて道連れにされてしまうカズ役・満島真之介さん。
少し知能が弱いという設定だからこそ、ピュアな感じを出したかったのだろう、悪くなかった。
平凡だったヒロミにカズが加わるタッグとしたことで、犯人像に足りないスパイスを補足した感じにもなっていて
死人に口なしとばかりに死後犯行を擦り付けられる後半の振り幅になってたのは面白かった。
難しい役どころであろうに、ヒロミを説得する別荘のシーン。
なんか健気で必死な感じ、声のトーンや抑揚が凄く良かったです。
変に感情移入しすぎてドラマティックに演じられると逆に萎えてしまう難しいシーンだったと思う。
さじ加減が適度だったと思えた。

◆同居する塚田真一役・濱田龍臣さん。
・・・・・こう言っちゃなんだが、宮部作品に必ずいそうなキャラ。(気のせい?)
女性の心を擽るような少年を出そうとして世相を何か作者が掴みきれていない感じの。
良く思うんだが、この作者さん、萌えという感覚を多分知らない。
だけど成長途中の色気ある瑞々しいキャラクターを編み出してみたい思考錯誤?
どこか足りなく、間違えている作者さんの妄想のズレにいつも微妙な感覚を抱く。・・・いえ、これは偏見ですけども。

そこはともかく。
棒読みなんだが濱田龍臣さんの拙い感じは凄く良かった。
平たい喜怒哀楽がどこか危うい感じを残していて、悪に引き摺りこまれる縁に立ちながら堪えている雰囲気を纏う。
ラストは彼だけが明るい方へと成長を遂げる。
唯一の救いであり、それはこの爽やかな彼とのイメージにも合っていた。

◆そしてそしてっっ。何と言ってもこのドラマの立役者。豆腐屋の有馬義男役・橋爪功さん。
もうこのドラマは彼に始まり彼に終わった・・!すんごい圧巻の存在感である。
一夜目は被害者の一部である地味なじぃちゃんだったのだが、その平凡さの非凡さが後半に連れ徐々に花開く。
特に二夜めの存在感は圧巻。
正直、タイトルにもなっている模倣の意味が小説のクライマックスであろうに
彼の、豆腐屋さんの苦悩で、ドラマの箔が最後に逆転した。
切々と静かに満ちるように余韻を引き摺り、もう全てが彼の想いに集約していた。
折角終わらせた悪夢の物語も、最初に巻き戻しである。

勿論それこそが言いたかったことなのだとすれば、このドラマは大成功である。
終わらない悲しみまで描き切り、一度発した殺人の取り返しのつかない重さを訴えてくる。
その何とも言えない苦い余韻。

ただ、それで良かったのか。
悲劇の後も続いていく日常の中で、豆腐屋が閉店することで、その日常の断裂は充分伝えられたのではないか。

同じように豆腐を買いに戻ってくる滋子の能天気な笑顔の奥で、ひっそりと消えて行く全てを奪われた孤独な老人。
世の流れに彼もまた消えて行くこの無常さ。
その何とも言えない余韻は、一方で、ドラマがここまで描いてきた結論を
最初から覆す。
四時間も付き合わせて振り出しか・・・。

え、それでいいのか・・・この嘆きがいらなくないか・・・・模倣犯とライターの影がまるでない。
滋子の逆転劇も、模倣犯の鮮烈な自己顕示も、派手な時代も、なんか、消えて行く。
そのくらい、「返してくれ」と泣き崩れるじぃちゃんの嘆きは、衝撃的なインパクトを残していた。



実際の物語。
粗筋は・・・公園で女性の切断された腕が見つかったところから発する連続殺人事件。
腕と一緒に身元が分かるようなもの(定期入れなど)を残すが
テレビ局に、遺留品はまちこのものだが、その腕の持ち主はまちこではないと一報が入る。
そこからマスコミが騒ぎだすことで世論が誘導され真実が有耶無耶になっていくという話。(主観)


構成は重厚で、スタッフ努力は伝わるのですがこの内容なら二時間サスペンスに纏められそうだった。
四時間の長丁場にするだけの説得力があったかどうかは少々疑問です。
原作には重厚感があるのなら、もっとエピを掘り下げるべきという疑問が残った。
そう思わせるのは、序盤、無駄なエピが多いことと、必要な説明がなされないこと。

一夜めは正直散漫としていて、事件が次々起こるのは目まぐるしいのだが
それをナビゲートする滋子に共感性がなく
ラストには真犯人のコンダクターがバラされ、滋子も被害者ぶっていて萎えてしまい
もういいかな・・・と思ってしまった。

事件の意図を主人公に絡ませないから、どうしてもそういう主観になってしまう。
原作を知っていたらまた違った感想を抱けるのだろう。
だが未読のまっさらな頭で観ると、沢山のファクターが散漫したまま、接点も焦点も暈したままの展開は
まるで、細切れのパーツをばらまいただけのような錯覚である。
事件が個別だと言いたいのではなく、パーツ同士を繋ぐ誘導がない。

滋子と義理の母親のシーンなど、無駄なカットも多かった。
専業主婦を否定し「嫁は子供を産んでこそ嫁」という時代錯誤な発言も、昭和を感じさせる辛辣な台詞で
世相は伝わるのだが、それが後半生きたとは思えない。
後半、夫に離婚を突き付けられ、夫の理解を得られない孤立無援の主人公という
それこそ背水の陣となるギリギリの設定での人間の強さを表現したかったのだろうが
その確執に、別に昭和色はいらないし、姑も必要なかった。
それは別にこんなシーンでなくても充分表わせたと思う。

それは後半にも言えて、被害者詐欺のシーンとかなんだったんだ。要らないだろう。


その尺を、もっと重要な真一との感覚の違いや距離感を伝える分に宛てて欲しかった。
或いは実行犯となるヒロミの苦悩とか。核なる部分がとことん中途半端だ。

姉の幽霊が見えるとかいきなり言われても、小学生なら怖いかなとは思うものの
それが動機となるのは根拠が薄い。
姉が表れるようになるまでのヒロミの家庭環境こそが重要事項だろうに
そこはスル―ってどういうことか。
同時に、救ってくれたヒロミのピースへの盲目的な信頼度も説明不足な気がした。
そういう基本設定が、そういう状況なんですよっていう前提条件だけになっていると
結局のところ、殺人という衝動に走るだけの重さも
比例してピースの恐さも、何も伝わらない。


滋子と真一の距離感も微妙。
滋子が血も繋がらない真一を預かると言い出す突飛さはこの際目を瞑っても良いが
その後、滋子が真一を本当はどう思っているのか、共感して同情しているのか
そこにある感情は肯定なのか否定なのか。
そもそもそこから滋子のスタンスが垣間見えない。

よって、真一と滋子の繋がりが本作に何かしらの影響を与えたとは思えず
なんかやっぱり補足が足りないというか。

失踪女性がかつての取材で出会った少女たちと知って、いきなり記事を書きたいと直談判。
再燃しちゃった熱き想いはいっそもうそれでいいけど
その後、事件に対する滋子のスタンスも曖昧過ぎる。
事件に対して憤っている熱い正義感があるのか、損ねた夢に生きたいだけなのか。
真実を知りたいだけなのか、事実を公表するべき使命感があるのか。
本当は熱い正義感があるのに、それが伝えられなくてもどかしいのか。

・・・・もうそういう基本スタンスが一切見えずに、なあなあで進んでいくなら
いっそ俯瞰視点で物語を構成してほしかった。
滋子もまた主人公でありながらドラマが客観視点で進むのであれば、これで良いのかもしれない。
中途半端に滋子視点で物語が進むから
滋子の主観が見えないストーリーはいっそ軸がないのと同じ浮遊感に付き纏われる。
滋子の理解は丁寧に描写してくれないと、ドラマ自体がコマ切れなのだ。

結局、台詞はいいんだけど、シチュが弱い。
一見人間的な良い台詞が挿入されようと、そこに至るまでの軌跡がないから
なんか台詞だけが飛んでいる。
シーンごとの滑らかな誘導がなくて、ぶつ切り状態。
つまりキャラクターの心情が突発的すぎて、こちらの感情が追い付かない。

悲劇における凄惨さとか、悪いがまったく伝わらなかった。見た目が派手なだけ。
各被害家族の苦悩とかも抽象的すぎる。

そのくせ、ジャーナリストなのに、犯人からの電話を豆腐屋で受け取って
煽られて挑発。
「次に男が死んだらお前のせいだ」と言われて、男が死んだから自分のせいだと街をふらふら。
はあぁあ????
付いていけない。

仮にもジャーナリストなら、その挑発で自責を負うってちょっと普通の感覚として疑問だ。
この線が、クライマックスにも引用されることから、とても重要な伏線だと思われるが
だったらもっと説得力と普遍的要素ある罪悪感を用意して欲しい。
「女ばかり狙って男を狙わない臆病者」だなんて煽り文句を言う前に
ジャーナリストの端くれなら他に言うことあるだろう・・・。

ジャーナリストに対する確固たる信念がある訳でもない、所詮主婦のお遊びな感覚も疑問。
そこに憤りを感じるアンタの方がおこがましいわという感覚だ。
キャラクター描写が稚拙すぎて、誘導が下手すぎである。



二夜め。
そういう前半の拙さが、なんと、後半に入ってギアを上げる。
特に複数の家族に焦点を当て、家族との在り方を描いてきた前半と違って
後半はメディアとの戦いだ。
こっちの方がよっぽど面白かった。

ネット社会は恐ろしいなんて、今でこそ陳腐なありふれた文句であるが
そんなことよりも、報道の自由に隠れるジャーナリズム批判ともとれる、二極構図が面白い。

実行犯が主犯であると主張する雑誌側と
煽りたて、背後に潜むもう一人の存在を仄めかし彼らもまた被害者であると訴える一般論。
その矛先が最後に殺人を煽った滋子へと向かい
実行犯が死んでしまったことへの怒りを集約して、追い詰めて行く。

真実など簡単に誘導できるジャーナリズムの愚かさとか、脆弱性を想わせつつ
ここまで来ると、滋子が主婦あがりで虚ろな存在であったことさえ
ジャーナリストの実態の希薄さを伝えてもいるような気さえしてくる。
ここで大した素材であることを視聴者に植え付けないために
だから前半あんなお馬鹿で平たいキャラな滋子で通してきたのかと思ったくらいだ。

一気に引き込まれてしまった。


また、そんな滋子を、外から追うような流れへとドラマの視点もシフトする。
滋子の感情がストーリーに影響を与えないので
滋子が何をしでかすかという面白味や、事件がどう決着付くのかという期待などが
摩擦なく調和していて、勢いを感じられた。
うん、やっぱりこの方が正解である。

そんな風に滋子の本音を暈したまま、傾れ込んでいくクライマックスは
どう出るかが視聴者としても読めないからこそ、実に緊張感溢れたサドンデスとなった。
テレビの生中継という緊張感だけではない、緊迫性が画面から出ていて
もう画面に喰いつくように見た。


反論もしないまま惨敗したような滋子に最後に何か言いたいことはないかと問うアナウンサー。
そっと手に持つ外国雑誌。(書籍?にしてはデカイ)

「つまりパクっちゃったんですよ~」
「違う!全部僕のオリジナルだ!!」

言っちゃったー!!!

滋子にしては嫌味の一つだったこの台詞。
小説家になりたかったという滋子の設定もこのためか。
彼女でなければ出なかった、プロとしてのプライドを逆なでする嫌味に、ざまあみろと思わせられたのも束の間
まさかの自白だー!

煽られたピースが著作権を主張するとまでは滋子にしても想像を越えた自白に
こっちもやったー!って心が湧き立つ。

証拠もなく、調子に乗った自己顕示欲強い男なだけに
警察も手も足も出ない不気味さの一角が、こんな形で白昼堂々と崩れるなんて!
前半からメディアの存在を匂わしていたのはこのためか。
だからテレビ中継だったのか。

色々とファクターが一気に繋がって、しかも、完璧だった男の自信が
まさか自分の性で足元を掬われる、この最高の一手。
ゾクゾクしました。

挿入されるテレビクルーたち、警察関係者たちの衝撃の表情を一瞬にして挿入する演出も見事。
カタルシスが煽られた。
爽快感だけでない、何とも核心的な心理的誘導を、じわじわと追い詰めていく滋子の声のトーンや
カメラインの角度など、もう最高だった。


そしてもう一つ。
模倣犯ってそういう意味かー!おおー!
でも、その後楽屋で、滋子は提示したその本は偽物であることを告げる。
模倣犯はこっちかー!

偽の証言で誘導なんて、確かに並みの度胸じゃ出来ない賭けで、それがまた観る者のカタルシスを深める。
そこには一切の人間感情の醍醐味だとか、深い心理描写なんかなくて
劇場型のパフォーマンスだ。
でも狡猾で神経質なまでに計画を立てたであろう、犯人の一角が
こんなもので、こんな見え透いた嘘で崩れるところがまた、皮肉でもあって、対比が極端だなと思った。


その真犯人、ピース。
「本当の悪の物語ですから。
 悪とは理不尽に理由もなく善良な人間の頭の上に突然打ち下される肉体的精神的な暴力。
 打ちおろされた人間が何でこんな目に合うのか分からず理解できないから苦しむ」

「理解とは打ちおろす側に観客が回ることなんですよ」

この発想が凄くそそられた。
成程なとなんとなく思った。
犯人にもそれなりの理由があるだろうと考えていく内に、やがて一つの辻褄を合せて
その瞬間、怒りや憤りを共感する。
そういうのは、分からなくもない。

勿論、そこから飛躍して、相手の鬱憤や悔恨に呑み込まれ、こちらが打ちおろす側に回るかどうかは
また乖離しすぎている気はするが
それでも協調性という言葉が馴染みの日本人には有り得そうな論理だった。
それを加害者の身内への二次被害への警鐘として主張していく本作は
止まない連鎖を確かに見せ付けてくる。

そういう独自の理論を声高らかに称賛する犯人ピースの狂気は
後編に入って早々に見られるが
バラされたことで、滋子との対話はなんか不気味な感じが出ていて会話の質が前半とまた
ガラリと変わる。
傍に近寄るたび、なんか不気味なオーラが出ていた。

その変化は面白いんですけど、もっとその変化を視聴者にも伝えるような造りにはできなかったのか
そこはちょっと残念だった。
真犯人が彼だとバラしたからこそ伝わる恐怖は
知らないからこそ視聴者自身が気付いていく恐怖とはまた別である。

また、彼がそうなってしまった出生の秘密は、もうちょっと時間割いて噛み砕いて欲しかった。
ほとんど棒読みというか、説明調で流されたため
彼の奥深い人格形成へ真摯に更けることは出来なかった。


で、その恐怖に、滋子が有馬さんにどうしてそんなに強くあれるのか?という問い。
こういう所でしっかりと社会の土台を支える大人の役割みたいなものが、もうグッとくる。

豆腐屋のじぃちゃんは「腹が立っても日常を繰り返す」と答える。
人は何処かで自分を護る術を持っていて、それは日常だと。
そこには言葉を告げない説得力があって、魅入ってしまったシーンだ。

繰り返される平凡な毎日の連続が、人を冷静にも平穏にもしていく。
それは分かる。
多大な悲しみを負った人間はその悲しみに呑み込まれるけれど時間が癒すと人はいう。
それは時間が癒してくれるのではなくて、長い時間が悲しみと同列に積もることで
大きな中の一つに埋もれることであり、悲しみが矮小になった訳ではないのだ。

橋爪さんのこの包容力は圧巻で言葉が響きました。
その余韻が冷めやらぬまま、犯人に脅される真一の変わりに啖呵も切って
護る大人の寛容。
「真実はブーメランみたいに自分へ帰ってくる」

強い。経験が裏打ちした大人の言葉だ。
みんなそんな馬鹿じゃない、必死に護って戦っているんだっていう、どこかで希望が残る意識こそが
眩しかった。

もう一々最高なのに、そのじぃちゃんが、事故で寝たきりの娘を見舞うラスト。

「まちこは何処?」

何も終わってないし、何も変わっていない現実が急速に襲いかかり
だけど、長い時間をかけてイーブンにされる長い時間とやらも彼の上には既になく。
彼の悲しみだけが都会の夜に木霊するラストはもう積もるのは苦痛だけだ。

公園で、酒を浴び、孫を返してくれと泣き咽ぶ。

ああぁあぁぁ~・・・・彼には救いはないのかよ・・・。
なんたる後味の悪さ。なんたる余韻。なんという時の無常さなんだ。
老いて朽ちていく終末と奪われた悲しみの重さが相まって、そこに彼が若者に残した光が力強く
苛まれる虚しさと無力感は、こちらに残された最後の良心なのか。


橋爪さんの演技が、こういう事件の物悲しさを全身で表しているようで、最高だった。
このシーンを見た後では、模倣犯のひっくり返しも、かすかな希望も霞んでいく。
全てが終わって新しい未来が見える筈が、やっぱり人を殺した先にその先なんかないのだという
何とも辛酸な現実を突き付けた。
殺人犯を捕まえたって、被害者の傷は変わらないという理屈は
復讐なんかしても変わらないというメッセージでもあるだろうか。
これで良かったんだろうか・・・。

被害者に起こる二次的な被害の連鎖は、本当に終わったんだろうか。
そんな一点の染みを残して、幕を閉じる。

タイムリミットが来たかのように、平穏のために店を開け続けると言っていた彼が
闘病のために店を閉めるラストは、壊れた日常そのものだった。

ここに挟む言葉はもうないです・・・・圧倒的な悲痛に言葉なんかなかった・・・・。
これ見れただけで、もう充分だよ・・・。じぃちゃん・・!


一方。
警察の動きも、別荘を別路線から突き止めて鉢合わせるクダリは中々見物だった。
「もうお前にはうんざりだ・・・!」
犯人に投げかけた最後のこの台詞がまた逮捕の爽快感を加速させていた。
確かにな・・!と思ってちょっと吹いてしまった。

全体的に、警察の威信をかけてと言いつつ犯人にもメディアにも後手に回る感じが
日本警察の限界を皮肉に描いている。
滋子の雑誌の立場、テレビ局や世論の立場、警察の立場と三方向から攻めた後半は
それでも見応えがあり
そんな彼らを出し抜いて、一人公開処刑に立ち向かった滋子と共に派手な劇場型の舞台で迎えるクライマックスは
盛り上がった。
前半で諦めずに付き合い続けて心底良かったと思えた秀作である。

でも、どうせやるなら一矢報いてやれと送り出した豆腐屋のじぃちゃんに持っていかれたけどな・・・。
豆腐屋のじぃちゃんの最後の悲痛な叫びに全て持っていかれるんだけどな・・・。
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