Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2012*04*24(Tue)
秘密 CopyCat2(6巻)感想
前回から続いています・・・・
三点目です。
ここで意味深なのはもうひとつ。(ここからはかなり邪念が入ってます)

今も昔も雪子さんが見ているのは薪さんっていうのに気付いたのは
正しいだろう。
でもこの時克洋くんが婚約しなかった事を
青木はどう解釈したのだろうか。

雪子さんの気持ちが自分より薪さんへ向いている不安から
婚約を躊躇ったように見えたのか。

でも後にタッキーは
薪さんが結婚できないから
克洋くんは婚約を見合わせたと考えていた。

そこまでをこの時の青木が察せたとは
思えない。
しかしそこは問題ではない。

肝心なのは克洋くん本人はどうだっただろう?

つまり雪子さんの視線から
薪さんへの気持ちを疑ったと同時に
もう一つ
雪子さんもまた薪さんの立場を思って婚約を躊躇するかもしれないと
克洋くんが不安になった可能性がある。


この3人の関係は当時の描写がないためどうしたって推測の域出ないけど
写真とか未だに飾っている所を見ると
仲は良かったのだろう。
3人一緒に仲良く共に過ごしてきたと考えるのが自然だ。
多分それは思う以上にべったりな密着度だった。

・・・のだとしたら
雪子さんだって充分薪さんのこと好きでしょう?
恋心じゃなくたって好きでしょう?
だったら普通考える。
自分達だけが結婚してしまって良いのか。


薪さんの立場の微妙さは
薪さん本人は敢えて口にすることはなかっただろうけど
克洋くんは当然勘付くだろうし
そんな克洋くんと薪さんを見て
雪子さんも疑問を感じていた可能性は充分ある。

普段余り周りを見れていないと批難される雪子さんだが
かなり近距離に居る存在の異性に対し(しかもあれだけ美形の)
普通の女子として
何で結婚しないんだろ?とか何で彼女作らないのかな?とか
女の子なら空想するに決まっている。
いわゆる妄想ね。

何て言って彼女を口説くのかなとか
プロポーズはどう言うんだろうとか。
そういう妄想から
そう言えば何か結婚に対して積極性がないなとか
何らかの違和感を感じていったとしても
不思議はない。

とすると雪子さんだって
恐らく何らかの第九絡みの立場的な柵を感じとっていた可能性が高い。

雪子さんも
克洋くんと同じ理由で結婚に対して踏ん切りつけられないでいて
その気持ちを克洋くんはあの場で目の当たりにさせられて
あの視線ではっとさせられた可能性だってある。


少なくとも
ここでは青木が
雪子さんの気持ちが薪さんにあることにショックを受けた5巻の自分を思い出して
そういう解釈をしてしまっただけで
実際この時克洋くんも青木と同じ様な気持ちだったかは
また別問題だと思う。

克洋くんは雪子さんの気持ちをそれほど疑った訳では無くて
婚約に対し一人で色々思案していたみたいだし
そんな弊害を一人で乗り越えて答えを出したが
雪子さんにはその戸惑いを一切話していなかった様に見える。

もちろん自分を枷に結婚を躊躇うなど
薪さんが望む筈もないことを
充分考えて承知の上でのプロポーズだろうから
雪子さんの視線だけで引き下がってしまうのは
やはり少し無理がある。

しかし同じ様に薪さんを気にしている雪子さんを見て
躊躇いが出てしまったのかもしれないとも思った。

だってここで自分達が結婚したら
自分と薪さんの繋がりは変わらなくても
雪子さんと薪さんの関係は変えてしまうリスクを孕む。
3人の関係のバランスはどうしたって崩れる。

まあいつまでもそんな子供染みたことなど言っていられないし
薪さんだって自分達が結婚することは望んでいるだろうから
敢えて踏み切ったのだろうけど。

ただ
自分達の結婚は
惚れた女の交友関係を狂わしてしまう程の付加価値を持つものであるというリスクは
やっぱり克洋くんを悩ませたと思う。
彼女の周囲に水を差すようなことは
躊躇われただろう。

二人して
薪さんに対して遠慮しあっていた可能性も考えられるなと思った。


・・・・なーんてね。これは考え過ぎだとは思いますけどね。

でも克洋くんの想いは
青木が思うよりもっと複雑だった可能性はあると思う。

その意味で
やはり脳を見たからと言って誰かに「感化・影響・触発」されても
その人に近付くとか変化するというのは
考えにくい。
当の青木が疑問視している克洋くんの感化の欠片さえ
自己に再現出来ていないと思われるからね。


青木が嫉妬ぐらいしか想定できなかったのは
まあ仕方ない。
何故なら青木はエンドゲームが始まるまで
薪さんへの脅しは小学生の嫌がらせレベルしか考えてなかったんだから。

だから「俺はプロポーズ出来た」んでしょう?
彼女との婚約が何を意味するのか
薪さんに何をもたらすのか
嫉妬ぐらいしか想像できないから行動に移せた若い勢いである。
しかしプロポーズしてしまったことで
結果的に克洋くんの想いを模倣してしまったことになる。
彼女と関わることを選んだ時点で
彼は克洋くんの「模倣犯」となってしまった。

見事、捻られた良質の展開である。



ところでこの秋田の事件。
ドラマに感化された訳ではないだろう。どう見ても。
5年の間に彼なりの理由があるのは当然だ。

青木は「ドラマを見たから同じ様に殺したくなったというなら
ドラマを見た人はみな殺人犯になってしまう」と言ったけど
そうじゃなくて
「ドラマを見た後に人殺しをした人がみな模倣犯になってしまう」と言った方が
正しくないか?どうでもいいか。


最後に。
「違うと言う形にしてみせろ」
ちょっと睨みつける感じできっぱりと言い放った薪さん。
この一瞬前の表情がマジかぁーっこいい~❤
座っているからってだけではなく
基本薪さんちっちゃいから
誰と話す時でも上目使いになる所が可愛いよ❤

・・・・じゃなくて
青木の言わんとしていることが
理解できたのだろう。

理解出来るということは
青木の言わんとしたこと・・・別人っていう言葉の含む有意性に
心当たりを感じているということで
強気で責められなかったのが
見ていてどっちも切なかった。

また部屋を出ていく時
帰ったら報告書に一番に目を通すから・・・の後。

恐らく何らかの言葉を掛けようと思ったのだろう。
しかしプライドか面白くなかったのか意地悪wか
何も足さずに会話を切る。

ここで睨みつける薪さんも素敵だった~❤
でもその一瞬の間も
薪さんの優しさだったと思う。
薪さんらしい優しさであった。
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2012*04*24(Tue)
秘密 CopyCat1(6巻)感想
CopyCatです。ラストエピソードに大きく関わってくるCopyCatです。
この話は
同じ事をしたからって同じ人じゃない。
似ているからって同一人物じゃない。
ただそれだけのことだと思っていたのに
エンドゲームが始まるとなんかもう絶対それだけじゃないだろう。
深読みしちゃって深読みしちゃって
潜れば何処までも潜れてしまう意味深なお話です。
一体どこまで汲み取って良いのだろうか?

ノーミソぐるぐるです。(@_@;)

まあでもこの話の掲載巻からいって
単に青木は青木で、鈴木克洋ではないし
幾ら薪さんと雪子さんが自分に克洋くんを重ねても
俺には俺の気持ちがあるっていう抵抗を示したんだろうし
雪子さんのプロポーズの答えも
克洋くんの肩代わりじゃなくて~・・・・・云々
みたいな流れにしたかったのだろう。

それでもタイトルがCopyCatとご丁寧に付けられているのが
意味深だというんだ。

では何を模倣しているのか?
誰が模倣したことを指しているのか?
一体なにが「模倣」なのか・・・?

考える程にアタマがわやになります・・・・。
なので今回は考察というより疑問点の整理です。


私が深読みして混乱しているのは以下の3点である。
1.秋田の事件とイギリスのドラマとチメンザール儀式の偶然性
2.青木の気持ち
3.克洋くんの気持ち(ここかなり邪推)


まず一点目。
一応ここで捜査されている秋田の連続一家惨殺事件。
これはダガーナイフによる切創が無いから
カニバリズム関連ではないのは
確かだ。

ラストの航空機の中で静かに目を伏せる薪さん。
当時はさらりと流したけれど
エンドゲームを知ると
これも色々と考えてしまう。

ここは事前なのか事後なのか。
事前なら
何を予感して行動に移したのか。
事後なら
この殺人は自分関連の悲劇ではなかった。(自分のせいで死んだのではなかった)
そういう安堵か未だ待ち続ける終幕への辟易か。
そんな憂う表情にも見える。

それとも本当にチメンザールと秋田の関連を調べただけだとでも?


しかしこの事件が
後に起きる青木姉夫婦殺害に関わってくることでも
偶然すぎるのに
この脳を更に遡っていくとチメンザール処刑模様まで
出てくるんでしょ。
偶然にも程があるだろう。

コイツ何者?
チメンザールマニアか。

薪さんはこの映像、ドラマ“マーダーケース”のワンシーンの映像というより
示された秋田の事件における
チメンザール処刑との相似に気付き
調べに飛んでいったと
後に告白する。

となるとここで薪さんが口にした「模倣」は
既にイギリステレビではなく
チメンザールを指していた可能性が高い。

薪さんはチメンザールの模倣犯だと思って「コピーキャット」言った。
いや、ドラマの方だとしても
どちらにしてもコピーはコピーだと言ったのか。

でもこの場での他のメンバーは
テレビの模倣犯だと思っている。

既にもう微妙に擦れ違っているのが面白い。


そして一番意味深なのが
ここで薪さんはチメンザールへ飛んで
切創を確かめ
これはチメンザール方面の模倣ではないということを
突き止めた。

わざわざ自ら足を運んだのはいつものことなのか?
それとも珍しいことなのか?
珍しいのなら
それはもうカニバリズム関連ではないという証拠を掴みたかった
ということになってしまう。

この時点では
石丸 松田 ハシムの脳は既に薪さんの脳にある。

チメンザールという観点もやはりあったのではないかという気がしてならない。

チメンザール視点があったなら
倉辻脳を見た時
何故わざわざ今更岡部さんに松田さんの経歴をチメンザール視点で
調べ直させたのだろう???
もっと早く調べることだって可能だった筈だ。

となると・・・・もしや調べられなかったのではなく
調べさせてもらえない事情があったのだろうか?
そう考えて思い当たるのは
当時警視総監に「第九はこの件から手を引け」と下知されたことだ。
薪さんは泣きながら
でもこの指示に素直に従ったということか。


二点目。
んで次に青木。
2年前に克洋くんの脳を見ているから
だから自分は薪さんが好きで
雪子さんに惚れたのかと
不安に駆られる。

つまり気持ちを模倣していると?

同じ意味で
もし雪子さんがプロポーズに応えてくれたとしても
それは以前の克洋くんへの恋心を自分で上書きしただけなのではと?
そしてそれは薪さんも?・・・って?


青木・・・ホント愛い奴だw
大丈夫。
以前10巻の感想でも書いたけど
MRIを見ると念が写るとか迷信があるみたいだが
仮に本当に思念が乗り移っても
逆に言えば、成り替わりたくても
誰かが誰かの変わりになれるなんてことは絶対にない。

青木が克洋くんじゃないって一番知っているのは
薪さんだ。
そして雪子さんだ。

錯覚って
一瞬幻影を見るというか
脳が誤作動を起こして残像を描くというかね。そんな感じなんだよね。
「あれっ?」って心臓が高鳴って
そしてやっぱり見間違いだったって落とされる、
その繰り返しだ。

自分で勘違いして自分で傷ついていく。
薪さんも雪子さんも
青木を見ては夢と現実を行き来しているのだと思う。
だけどその度に傷ついてもいると思う。


ここで面白いのは
青木の持つ、克洋くんではないという抵抗を示す起因が
薪さんや雪子さんが自分に見る幻影の方ではなく
自分が感化されて克洋くんに動かされている不安の方の
払拭にあるということだ。

・・・・・それはそうか。
薪さんや雪子さんが対面していたのは実物の克洋くんであって
青木は克洋くんの脳だけだからな。

だけど自分を確かな実体として認識したい願望を
相手の画面から相違を探すことで確認したいと考えた。
自分の中に自信が無くなっているから
相手の中に答えを求める。

そういう姿勢ってエンドゲームでも見られる。
物事の真理を自己ではなく他所に求める。
人間とは弱いものだから致し方ないとはいえ
それでは袋小路になる恐れがある。

その探究心はまっすぐで芯の強さを感じる。
基本未知のものに立ち向かう勇気は
持っているのだと思う。
ただ・・・・・どんな結末も受け容れるだけの器がないし
やり方も間違っている。

やっぱり自己の内面に答えを見つけない限り
人は前には進めない気がする。

私も人のこと言えなくて
この辺の青木なんて正に私そのものだから
なんか知的探究心に燃える青木を見ていると
危なっかしいというか
その熱意が濃すぎて少し恐い。

岡部さんの判断も肩透かしに無邪気に喜ぶ思いが
猛進して潰れていく前兆の様な気がして
泣きたくなる。



余談だけど
青木の空転が苦しく映るため
岡部さんのぶち切れには癒やされた~w
薪さんと青木の顔を交互に見て
おろおろしている内に
二人が勝手に話を決めて結局振り回される岡部さんvv
見事置いていかれている岡部さんvv
岡部さんいいよ岡部さんっ❤

あーやっぱり岡部さん好きだー。
薪さんが去った後の魂の抜けた顔がなんとも良いよ~w


さて三点目。
ここでもう一つ意味深に思うのがこれだ。(ここからはかなり邪念が入っていきます)
なのでそれは次の記事で・・・・
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2012*04*19(Thu)
秘密 薪さん9(6巻)
前回から続いています・・・・

次に岡部さんの対応の方です。
基本「薪さんと岡部さん7・8」で散々書きましたけど
冷静に見ても、彼の根本的な姿勢は高く評価できると考える。

小島郁子の場合は悲劇で終わったが
同じ様に准えた薪さんと岡部さんの場合
何となく感じ取った違和感・・・・腑に落ちない直感を信じて
辛うじてお互いを繋ぎ止めた。(ように見える。)←7・8記事より
主観的な感覚だが即物的に判断していたように思う。

基本薪さんからは誰にもモーションかけないので
鍵は岡部さんからのアプローチに掛かっていた。

特に印象的なのが
小島郁子の捜査中
こんなにも幻覚が起こることが有り得るのか理解に苦しむ面々に
薪さんが呟くように解説をしていくシーン。

これを単なる解説だと思っているのは小池と曽我だけで
岡部さんはもう何らかの含みを感じとっているように見える。
感じとっていなくとも
何かに反応し始めている。

さぁっっすが~wwww・・・・・・ではなかった、
そういう所に岡部さんの意図的な姿勢と腰を据えた覚悟を強くを感じるのだ。
勿論小池と曽我は薪さんの涙を見ていないので
気付かないのも無理は無い。


そもそも初対面のシーンとドアをぶち破ったシーンの二場面から
薪さんとという人物に対する違和感を岡部さんは抱き始めている。
それはまた
彼との共通認識のズレを意識させられた部分でもあるだろう。

しかし岡部さんの特徴的な所は
青木の様に気に入ったら何処までも耽溺する盲目性(許容)も
警視総監の様に自己にそぐわない異物を排除する閉鎖性もない。
自己にブレが無く
どっしりと足場を固めている。
しかもそれはみんな救いたいといった幼い夢幻ではなく
自己の理解を飛び越す異質も
あるがままに受け容れていこうとする幅というか寛容がある。


これはある意味
薪さんにさえ見られない能力だ。
薪さんは基本犯罪者や被害者の追い詰められた陰湿な部分に
共感や同調をして
彼らの代理人へと変化する。

シンクロに近いがシンクロにはならないのは
“あっち側に引きずり込まれない”ように
踏み止まれるだけの魂の強さがあるからだ。

そうやって自分のことのように苦しんで
自分が相手に成り替わるのが薪さんのスタイルだ。

対して岡部さんは
同調や共感といった自己の変化は余り見られない。
自己にブレがない。
相手のあるがままの状態や感情を
そのまま受け入れる。
理解を超えている異質でも
そのまま認める寛容がある。
それは見方によっては自分を消しているとも言えるだろう。

彼が主観的に動くのは必ず誰かのためであって
己の信念や貫きたい正義などではない。

5巻spで第九の在り様につき訴えているが
これは確かに彼の考えではあったが
やはり自分以外の誰かのためであるという色が濃い。

薪さんの苦しみや悲しみを誰よりも察知し
時に共に同じ感情を再現できるスキルまで持ち得ているが
あくまで薪さん側の悲哀に寄り添っているのであって
自分が悲劇に溶けている訳ではない。
だから同じ痛みを分かち合いながらも
支えられる強さがある。

岡部さんのそういう所が本当に凄いと思う。

その意味で
言葉や態度・表情で表現さえすれば許容範囲を超えていても否定はされない。
薪さんにとってそれは
何より一番有り難かったのではないかと考える。

青木の葬式でもそうだったが
あの時薪さんが何より恐れたのは
青木を自分のせいで悲劇に巻き込んだことを責められることである。
そんなことをした自分を拒絶されることだ。
そんなつもりはなかったと言っても
納得してもらえないだろうという諦観もある。

相手に誤解されたくないとか
信じて貰えないとか
もちろん理解して貰おうなど姑息な下心など持ち得ないだろうが
それでもそういう不安が無い筈はなく
特に青木に対してはより一層の願いを抱いている。

それはつまり誰も分かる筈がないという前提の元に立っている思考だ。

そんな拒絶を恐れている薪さんにとって
自分の言うことを全部疑うことなくまず受け容れてくれる安心を
ここに感じた可能性がある。

どちらかといえばそのような態度は
薪さんにとっては
異質に或いは新鮮に映ったかもしれない。
あるがままを否定しない寛容さに
逆に興味を持ったのかもしれない。


たびたび岡部さんの視線が薪さんへ向けられるのが何とも
じーんときたが
薪さんの言う一言一言に耳を傾け
表情をツブさに観察し
“薪さんデータベース”を作り上げていく岡部さんは
この時点では警察官故だろうが
それでも優しさと寛容を既に醸し出している。

ま。簡単に言うと
たまんねーっっ!!!って話だが。<私が。




そんな訳でまとめると。
この物語では
薪さんの本音を隠して平静を装う日常と
小島郁子の生活を隠して演じた耽美を並列させることで対比させ
本音を隠されたら分からないという虚構を
“リアルの方”に作り上げた。

そしてその結末を真逆にしたことで
隠すことそのものの陰惨さが引き立っている。
読後になんともやりきれない余韻を響かせる。

防げた悲劇を
片方は救いを与えず
もう片方、つまり薪さんの方はまだ間に合うと匂わせることで
岡部さんに何とかして欲しい感想を読者に煽る。
で「これからずっと」という未来に希望を残して
物語の幕を下ろしてしまう。

~~っっっ!!/////
なんとも単純な手なのに見事にハマる。


更にもう一言。

脳データが曖昧なものも含むという実質性に欠ける面を
具体的に見せてきたのも非情に面白かった。
そもそも一つの事件が人によって
こんなにも見方が変わるのかということが一層際立たっていた。
違う面が見えるというだけではなく
解釈まで変わってしまうのが面白いというか恐い。

人間関係で誤解や擦れ違いが生まれるのはもう当然なんだと
思い知らされる。

一人一人違う見え方をしているから
一人の脳だけでは証拠にはならず
第九には容疑者の取り調べや尋問といった捜査や逮捕の権限がないのか。
なるほどね~。


周囲の目撃証言もまた主観的な情報というのも
面白かった。
見たものだけが事実だなんて
それこそ虚構なんだな。


捜査の方法も興味深い。
状況証拠で意味深な理由が出てきても
「惨殺の理由にはならない」と
未だ焦点を絞りこむのか。

現行の警察だってそこまでやるかもしれないけど
そここそMRIの出番(存在意義)だよなぁと思う。

しかしそうやって過去を知る必然性から
どうしたって死因よりも
どうしてそうなっていったのかという理由(人生)に偏ってしまう。

それは飲み込まれるという危険性も持つけど
変わりにその人の人生を肩代わりすることにもなるから
そこに
「代弁させて頂く」という
真摯な態度や礼儀が生まれるのかもしれない。
現行の警察には無い感性だよなぁ。


その側面を引き立たせるため
新参者の岡部さんが
事件を通じ客観的に真実の表裏を見せられるより先に
自分に濡れ衣を着せられることで
人の視点は主観的であることと
真実は客観視しないと見えないことの意味を知るように仕向けられていくまでが
実に巧妙だった。

「みんな死んでしまった」から
事実さえ汲み取れれば良いという当時の岡部さんの発言と
切り返す「みんな死んでしまったからだ」という薪さんの意見が
それを浮き彫りにしている。
秘密に触れる意味ががまだ理解出来ていない事を
このたった一つの言葉で理解させてしまうのが
凄い。

漠然と個体差を見せつけられるよりも
違いが意味するもの――――孕むリスクを身を持って知れたのは
岡部さんにとっても大きかったに違いない。



現存中は誰も悲惨さを理解してくれず
唯一の逃げ場も他人によって泥を付けられてしまった。
良かれと思ってした行為が誰かに不幸を呼んでしまった。

それは他人の過去に容易く触れるなという前巻の結末と合わせ
何やら他人と触れ合うことにもっと気を引き締めろという
警戒を仄めかしている。
良くも悪くも人間社会というものは
簡単なものではないのかもしれないという億劫な印象を抱かせる。
世界は所詮自分とは根本的に類を分かつもので
その本質の差異を埋めるための手腕が必要なのだ。

自分の異質感や社会が異質なものの集まりだという側面を見せられ
寂寥感が募った。

そのためラストのコミカルなやり取りの後に
お互いに遠慮がちにでも歩み寄った二人のそれぞれの一歩は
とてもささやかなものでありながら
とても強い残像を見せている。
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2012*04*19(Thu)
秘密 薪さん8(6巻)
さて。まだ6巻を引っぱっていました。
岡部さんが絡むとはしゃいでしまうので浮かれた部分は前記事に詰めました・・・・
・・・・の筈なのに読み返せば再燃してしまうというこの頭の悪さ。
先に進まない・・・(-"-)
ここからはいつも通り?真面目に行きます。


6巻のメインは岡部さんと薪さんの出会いだが(え?)
大きなテーマとして取り上げているのは
真実を隠して嘘を生きているということだ。

まあ人が見ている世界はこんなにも違うっていうのは一貫したテーマだが
今回ここで取り上げられているのは
そのコンタクトの是非ではなく
誤魔化されたら真実は見えないってことだ。

それを幻覚という現象で表現している。
これによって隠ぺい(逃避)がより明確になった。
非常に面白い。

注目したのは
その手法のユニークさと
幻覚に対峙する岡部さんの姿勢の二点である。



一点目。
まずこの話で私が気になったのは
二人の人間が見る幻覚の差異だった。

ここでは
過去を隠そうとしたり悲しんだりして
必死に同化してきた内包者のそれとは異なり
自分から逃れようとしている苦しみを描いてきている。
そして本人が許容出来ない苦しみを
自分以外の人間が許容してみせることで
二つの真逆の末路が導き出された。

つまり今回取り上げられた隠し事は
隠したくて隠した訳ではないということと
本人が何とかしてそこから逃げようとか避けようとか
現実(記憶)に反発している側面が含まれているのが
今までとちょっと違う。

そしてそんな風に逃げている人間に
どう向き合うのかの課題が示されている事に
興味をそそられた。
また現実が見えないのは幻覚を見ている本人も同じであるとした所に
究明の困難があった。
「現実や真実はもう彼女にとって意味が無い」
これを薪さんがどんな気持ちで言ったのか
考えるだけで苦しい。
「こんな現実ならもういらない」
それは薪さんこそ言いたかった台詞だろう。

本人にとって意味の無くなった世界から
何が出来るというのか。
そこが全ての発着点だ。

薪さんは何を思って彼女の画を観たのだろう。
当時だと(今より)
誰も助けてくれない現世に絶望を見た可能性が高い。
きつかったろうなと思う。


ところで二人の幻覚の違いについてだが
見ての通り
同じ幻覚という現象でありながら
片方には救済をもたらし
片方には贖罪を求めている。

この違いが何処からくるのかはさして問題ではなく(特に問題視されておらず)
主眼点は幻覚者に関わる側だ。

小島郁子の幻覚(逃避)。それに接触したのが山崎正。
それに対比させられるのが
薪さんの幻覚(恐怖)。そこに接触したのが岡部さん。

アクションを掛けたのはどちらも視線や情けといった
ごく社会的な模範行動だ。
なのに結果が分かれてしまったのは
幻覚を見ている側の格差によるものだと思う。

ということは何か行動を起こす側に何ら落ち度がないとなれば
逃げている人間を救う手立てなど
この世に存在しないのかもしれないとさえ
思えてくる。


誰かの助けを期待することもなく
ただ堕ちていくしか出来ない人間の煩悶・陳情。
それを幻覚という表現方法で示した訳だが
流石に私は幻覚は未だ見た事が無いので
何とも言えない・・・・が
逃避手段の一つと捉えると
その窮迫は理解出来る。

薪さんの説明によれば幻覚は
「情報をすべてシャットアウトした自己防衛」だそうだが
そういうのは逃げきれない自分が無意識に対応した
清廉な脳の主体的行動なのかと考える。
(つまり二次的妄想が豊かな人って逆に幻覚は見ないんじゃないかと思う(笑)

逃げ込む場所が何処にもないから
脳が避難地域を作り上げた。

私の場合
最初は自分を失くすことで逃げ場を作った。
何も考えない、何も感じない、何もない自分。
脳が停止したそこはとても優しい世界だった。
馬鹿になっているので価値のない自分に傷つくこともなく
楽になれた。
しかしそこでまたある事が起きてしまって
何も考えないことも出来なくなった。
それで逃げ込んだ場所も最早安全な場所ではないと思い知らされる。

眠れば悪夢を見始めるのもこの頃からだけど
私の場合先に身体に不調が出てしまったんだよね。
過去が辛いのか身体が辛いのか悪夢が辛いのか境目さえ分からなくなって
逃げ場を失った。
その時気付いたのがここから救われるには
辛い記憶もしんどい身体も悪夢も何も感じさせない、まったく別の世界へ
自分から“主体的に”行くことだった。

自分で何かを造り出している内は
駄目なのだ。
それは何処となく10巻の逃げきれた青木の状態と重なる。



・・・・このように幻覚は本来自分を守ろうとするために起きる反応だが
つまり自分にとって正しい反応に見えるが
物語では
時としてそれだけの甘美な誘惑なだけと結論付けていない所が
また面白い。

自己防衛の筈の方策が
更に本人を追い込んでいる例も挙げ(薪さんのこと)
一概に逃避が防衛本能として正しいという肯定は
作者はしていない。
そのことはこの逃避行動(幻覚)のリスクを促している。


薪さんの場合幻覚で更に追い込まれているのが
見ていて辛かった。
それはまるで初め自分を消すことで逃げ場を作った私が
その逃げ場にさえ逃げ込めなくなったあの日の私を彷彿とさせる。
その、辛さより恐さが先に立つ心細さが
手に取る様に再誕した。

克洋くんに悪いと思っている自分と
克洋くんに嫌われてしまった苦しさと
ずっと一緒に居たかった気持ちが
ごっちゃになってしまっているんだ。
未だ逃げきれていないんだ。

逢いたいけど逢ったら責められそうで悲しい。
その願望を全て注ぎ込んだ薪さんの幻覚は
まだ理性が働いている分
見ていて本当に痛々しい。


ここでふと脳裏を過ぎるのがさっき言った
10巻の青木だ。
幻覚ではないが異常なまでの薪さんへの執着も
逃避行動という枠組みで捉えれば
同類のものである。

彼は薪さんに全体重を乗せて
見事逃げきれていた。

逃げきれている青木と小島郁子。
逃げきれない薪さん。

彼らに与えられたのは
(積極的な方策ではなかったが)
偶然がもたらしたリアルな応答だった。

つまり薪さんの場合
誰も居なくなってしまった自分のリアルな世界の方で
誰もが靄の中に流れては消えていく毎日の中で
無遠慮にもまっすぐ強いアクションを起こしてきた岡部さんの眼差しは
やはりとても新鮮に映ったに違いない。
嬉しいかどうかは別にして。
(逃げきれていない分嬉しい方が大きかったのではないかと推察される)

リアルな世界の方で向けてくれる感応は
この世界に留めてくれる最後の突破口だったかもしれない。

しかし小島郁子の方は
逃げきれていたため
その世話は返って仇となってしまった。
もう自分で全部を隠し切れてしまっていたのだ。
だから余計な刺激は返って邪魔だった。

人の純粋な思いが不幸をもたらす。
なんともやりきれない結末だ。

それは青木も同じで
逃げきれていたから
周囲からの予定外の接触は
彼の逃避世界を脅かすものだった。

誰の声も聞けず薪さんの真意も汲み取れず
ただただ盲目的に反社会的行動に突っ走ってしまった。


リアルな方からのアクションって
悲劇が起った世界からの応答だから
どうしたってリスクを孕むのだ
だって見たくもない感じたくもない、起きて欲しくない世界なんだから
誰だって無視していたいに決まってる。

それが真実だからと言って無遠慮に触れたら
どんな作用を起こすかなんて
当事者にだって分かりはしないだろう。


リアルな方で受けた傷が強ければ強い程
リアルなど本当に何の意味も価値もなくなる。
世界が自分に冷たく当たることが辛いのではなく
自分が世界を受け容れられなくなる。
それが逃避(幻覚)である。

その感覚を私は知っているから
もう要らないと自殺を試みつつ
それでも死ねないと訴えた小島郁子の言葉も重い。
そして彼女をリアルの方に引き止めていたものを思うと
尚苦しい。
簡単に死なせてもらえないのは
彼女も薪さんも同じだ。

薪さんにとっても
この時点でこの世に留まる理由は希薄であっただろう。
今日ここに残る意味が自分で分からなくなる。
その気持ちがもう凄く良く分かる。
それでも辛うじて今生に自分を繋ぎ止めていたものが
薄汚い秘密であったなら
それはどれ程苦しいことだろう。

だからここで薪さんにアプローチしたものが
岡部さんの寛容な態度であったことは
最後の最後に私もほっとさせられるものだった。


これらのことを踏まえると
結局幻覚を見る等の逃避行動を自分で行っている内は
やはり駄目なのだ。
私のことも含め
そこに救いはやはりない。
誰にも縋れなかった小島郁子や薪さんに
コンタクトを図った人間が居たことを
やはり救済と判断すべきであると思う。

何故なら
結果救われなかったとしても
誰かが自分の苦しみを知っているというだけで
それは幸せなことだと思うのだ。
本当の悲劇って
伝えたいことがもう二度と届かなくなってしまうことだと思う。

MRIを見る前
服薬で幻覚を見ていたのか?という方面に閃く岡部さんに対し
「或いはその逆か」とまで勘付く薪さん。
彼女の身に辛すぎる何かが起きていたら逃げていたかもしれないとまで想像できるなんて
なんとも冷酷な人生だ。

しかしそこまで理解できた人間が
この世に存在していたという事実は
小島郁子にとっては何と幸せな救いなのだろう。
既に後の祭りとはいえ
この世に分かってくれる人は一人だけ居たのだ。


・・・・と、キレイに纏めておきながら今更蒸し返すのもなんだけど
幻覚に怯えて流す薪さんの涙は本当に綺麗だった。・・・・・じゃなくて
独りで必死に自分に言い聞かせ耐えている姿は
本当に苦渋だった。

この頃の薪さんには救いや幸せがまるで見えない。

痛覚を刺激して“戻って”くるのも
確かな実感を得られない悪夢に取り込まれた覚えのある自分としては
痛いほど見ていられない。
すっげー分かてしまう。その恐怖まで。

だから仕事に向かう時の凛とした立ち姿が本当に
魂の強靭さを魅せられた。
そして儚い涙とのギャップが
エンディングの
「一人でいるより仕事をしていた方が落ちつくんです」という台詞に
より重みを持たせていたと思う。
とても悲しい響きを持って紡がれていた。

そんな過去を持つから
10巻で青木が仕事に参加させてくれと言いだした無茶を
あからさまに拒否できなかったのだろう。

そんな心境を鑑みると
どんな思いでエンドゲームに向き合ったのか
その決意の重量感が増々悲痛である。



次。
二点目。岡部さんの対応の方・・・は
次の記事にしよう・・・
[ vol.6 ] CM1. TB0 . TOP ▲
2012*04*13(Fri)
秘密 薪さんと岡部さん8(6巻)
前回から続いています・・・・・

ついに二人きりのチャンスを掴んだシーンからです。
ここから最強タッグの助走が始まる訳ですね。

で、病室。
ここでは岡部さんは薪さんに対し
未だそんなに打ち解けていないことが読み取れる。
フレンドリーな語り口にはなっているけど
言っていることは結局未だ
第九に興味を持っただけの自分であり
暴力行為になった自分へのツッコミ程度。

こんなにも事実と真実の差を見せ付けられ
言い訳も出来ない状況だったのに
それでもそう簡単に自分がブレない。
凄い。
頼もしい。

なんていうのかな。
状況を確かな視点でしっかりを見据えている余裕を感じる。
追い込まれても焦りが無い。
ましてや薪さんに何かして貰おうなんて露程も思っていない。


なのにこんなにも未だ事態を図り兼ねている状況なのに
この夜のあと
急速に二人の距離が動き出す所が
面白い。

・・・・でも前も言ったけど
後半、薪さんもう話聞いてないから!!(爆笑)

ここで二人きりで話せたことが何らかの垣根を取り払った。
或いはそれは
この騒動の同志みたいな親近感だったかもしれないけど
これで二人が一歩近づいているのも確かで
このシーンは色々オイシイ。

考えられるのは
岡部さん的にも
病室でもそうだし朝一のメールもそうだし
薪さんの仕事に取り組む愚直な姿勢には
好感を持ったのであろうということと
やはり自分が明確な状況証拠・自供から濡れ衣を着せられた不運が
大きいのだろう。

どういうことかというと
初対面の時
薪さんは自分を隠した。
隠されたから益々本音は見えなくなった。
造られた表向きの虚像が周囲にとっての事実となっている。

しかし本当にそうか?という疑問を抱くのに
このシチュエーションは充分だ。
今自分の目の前に居る薪さんから感じる直感を
少なくとも否定してはいけない気分になるのは
当然の心境だ。

だって今正に自分が暴力オトコになっちゃっているのだから。

薪さんの寝顔を見つめながら
初対面の言葉
会議の態度
実は誠実な捜査の姿勢
室長室の涙
色んな事を反芻して考えていたのだと思う。


そして薪さんも
自分を売ることもなく
だからと言って簡単に宗旨替えをする訳でもない姿勢に
潔癖な精神を見たと思う。
それは薪さん的にも
好感を持てるものだと思う。


傍目から見れば
こんな騒ぎがあったのに
翌日やけに軽口を言い合う二人に
周囲は絶対違和感を覚えたに違いない。
そのくらいこの病室での会話は二人の未来を大きく左右している。
内容は大したことないのに。

薪さんは何故って聞いちゃってはいるけど
ここで二人がお互いを判断したのは
目に見える形ではなかったという所が面白い。
状況とか言葉とか
そういう即物的ではないのに自己の内面で即物的な判断をしている。
感情面の判断なのに主観的でないというか。
多分お互いに何か腑に落ちない部分があったのだと思う。

それら心境の僅かなシフトを
病室のワンシーンでコミカルな会話で表現しきっているのが
実に巧い。



んで捜査再開。
見つけ出された真実はかなり衝撃的なものだったけど
その衝撃の差が大きければ大きい程
岡部さんに与える第九の存在意義(評価)は高くなる。
真実と事実の違いを肝に銘じた筈だ。

その仮説はとどのつまり
薪さんにも当てはまることであり
つまり警視総監の言う薪さんと自分の見る薪さんの違和感の答えであり
だから警視総監の言い分を
尚更頭から信じるのを躊躇させるという皮肉な結果になった。

警視総監としては
何らかの証拠を掴みたくて送りこんだであろうに
第九の特殊性から
事実へ返って警戒心を起こさせてしまった。

皮肉と言うか実に滑稽な運命の悪戯である。


だたちょっと面白いのが
薪さんの件について
警視総監サイドと薪さんサイドの差について
こういう場合
もう少し静観してみようという判断を取るのが普通であろうに
事件が解決する頃には
岡部さんは
どちらかと言えばもう薪さんサイドに傾倒しちゃっている。

一体何が彼をそうさせたのか。

岡部さんの立場じゃ警視総監の言い分を
頭から否定するだけの根拠もまた無かっただろう。
報告して薪さんを静養させる案だってあった筈だ。

それでも警視総監になんらかの胡散臭さを感じたのか。
薪さんを救うというよりは支えてやりたいと思ったのか。
とにかく岡部さんはあっさり薪さんを選んだ。

岡部さんなりに何が決定打となったのか
色々推測は出来るけど
明確な理由など実は無くて
あの涙に情を持って行かれたのかもしれないなぁとも思う。



捜査終了後の屋上。
ここでの会話も色々面白い。
まず会話がキャッチボールになっていないからっっ!!!(爆笑)

でももう薪さんの皮肉は笑顔付きだし冗談なのが見てとれる。
それを岡部さんも気付いているだろうに
でも煽られちゃう岡部さん。
かわいい。

この後薪さんは自分のことを少し口にする。
そういうのってものすごく珍しい。
だから謝罪のタイミングを図るための軽口だったのかなと
深読みした。

ここで岡部さんの話そっちのけで素直に謝罪の気持ちを伝えた。
これって
彼が庇ってくれたことへの感謝の意と共に
もしかしたらこれで最後かもしれないと思って
淋しさと別れの言葉を表現したのかもしれない。

でもちゃんと岡部さんは聞いてくれた。
だから一緒に来るかと誘ったのではないだろうか。

自分が嫌われていたままなら誘えなかった。
話を聞いて許容してくれたから言えた台詞ではないだろうか。
仕事を最後までやり遂げた彼なら
付き合ってくれるとも思えただろうし。

でもこの「一緒に来る?」を薪さんの方から聞いたのって
絶対大きい。
今後の二人に大きな節目となった。
そうさせたのが岡部さんの“何か”なら
その“何か”が薪さんの心を溶かしたのだろう。

この時点では
未だ薪さんからは何ら積極的な意思も感じられないから
薪さんが岡部さんに何を感じとったのか
そこは非常に気になるところだ。

・・・・自分を庇ったこととか仕事に取り組む態度とか
細かいことを挙げていけば色々と出てくるんだろうけど
一番は自分をまず心配してくれたことかもしれない。
その自分へ向かうベクトルを
受けとめたのかもしれない。



駐車場での会話も最後の最後にオイシイ。
屋上の「一言一句」と「睡眠薬発言」は
もう結構、素の薪さんだ。
随分岡部さんに気を許しているのがもう既に伝わってくる。
ってか、からかっているかんじ。

これはもう
どう反応するか分かっていて仕掛た罠だ。
そして想像通りにリアクションする岡部さんを
面白がっている罠だ。
借りを返したんだな。さすが薪さん。
仕返しという名の照れ隠しとも言うかもな。

そうやって
唯からかって終わりにしようとした時
名前を呼ばれる。

これが実に胸が締め付けられる。

部下がみんないなくなってしまってから
誰も自分のことを呼んでくれなくなって久しくなった今
そこに突然名前をまた読んでもらえる。

岡部さんとしても
嫌味を言われてしまって
でも雰囲気はからかわれている気もするし
勘違いだったら恥ずかしいしと
どちらか判断付かない状況で
でもどんどん遠ざかっていく薪さん。

先程の屋上で一人佇む姿も告白もここも
一人で抱えて消えていく儚さを感じさせてくる。
それはここで引き止めなければ
この手から擦り抜けてしまう不安にも感じただろう。

名前を思わず呼んだのは
掛けたんだ。
振り向いてくれたらシロ。

で、本当に振り向いてくれたから
岡部さんの覚悟も決まったのだと思う。
ここから
付いていくと決められたんだと思う。

これに実にぐっとくる。

そしてここから最強タッグの爆走が始まった訳ですw
燃ーえーるーっっ!!!!

この後3年間
この二人がどんな会話をして同じ時を過ごしてきたのか
そこは二人にしか分からないけど
でもきっと優しい時間を過ごせてこれたと思う。

その二人の時間がエンドゲームラストで終わりになってしまっても
克洋くんたちと過ごした時代の方が輝いていたとしても
この時間はこの時間で薪さんにとって
有り難い時間なのではないかと思う。

そう思わせてくれる微笑ましい出会いエピソードである。



ただ・・・・岡部さんファンとしては
着眼点がどーしても
いつどのタイミングでお互いが相手を受け容れたのか
・・・・・というしょ~もない見方をしてしまふ。
ほんとしょ~もねぇ~が。

だってこの話のメインはそこでしょう!(違)
そこ重要でしょう!(違)
そこが目的じゃん!(だから違)

で、岡部さん的にはやっぱり誰もが思っていると思いますけど
最後に振り向いてくれた瞬間だと思う訳ですよ。
じゃあ薪さんはいつなんだろう?

この巻では結局
「岡部さえ良いのなら一緒にいくか」程度の控えめな姿勢しか感じられない。
今の様な岡部さんが居なくちゃ駄目なんだ的な所までは
見えなかった。


思えば薪さんも強烈な人生だとは言え
悲劇からひと月程で
また新たな仲間が出来た訳で
その強運や巡り合わせには幸せを感じる。
私から見れば傍に居てくれる人が居るだけで
羨ましく見える。

薪さんはもっと自分の魅力や素質に自信を持っても良いと思う。
巻き込まないために近付くことを恐れているのも理解できるが
一緒に戦おうとしてくれる人の想いを汲んであげたり
甘えたりしても良いと思う。
それでまた仮に自分一人取り残されたとしても
一緒に過ごせたこの日々を否定することは
ないと思うのだ。
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