Like Sugar&bitter chocolate  邦ドラマと映画の甘くてちょっとほろ苦い感想雑記。けっこなんでも飛び出すごちゃまぜブログです。お暇つぶしになれば幸い。ヾ(≧∇≦)
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2012*04*08(Sun)
秘密 つよし君と雪子さん9(5巻)
前回から続いています・・・・

5巻は本当に辛いお話ですね。
記事を書くため読み直す度しんどくなり、記事一つ書くだけで随分難産でした。
一つの記事に時間がかかってしまった上、こんなに内容が煮詰まらないのも初めてです(苦笑)
いやだって辛い・・・・(T_T)

薪さんがどんどん追い詰められていく上
この二人による大喧嘩まで勃発。
感情があちこちでささくれ立っていて物語がどんどん加圧されていく。
そして大ラストのどん底へ向かう直前
容赦のない悲しいあの衝突。

この二人によるあのリモコンシーンがまた強烈な残像を残していきました。

以前もチラっと記事を書きましたが
今回またそのシーンについて考え直してみました。
事件に対する至らなさについては前回書きましたので
ここでは薪さんと雪子さんの気持ちを中心にいきます。



雪子さんside

前記事で述べたように
少なくともリモコンシーン以外では
薪さんに限っては
言っていることは一般論としての常識的な範囲内であり
雪子さんが持ちこんだ案件だから彼女を説き伏せているだけで
彼女を故意に陥れようとか傷つけようとか
そういう作為的なものは感じない。

大体ここで言う所の雪子さんの正義も
かなり曖昧だった。
犯人が友人と分かった途端手の平を返すような非協力的な態度。
出来る事は何でもやってあげたいという当初のモットーは
友人への思いやりを隠れ蓑に
自己防御で脆くも揺らいでしまう程度のものだった。
薪さんが注意を促すのも当然である。

このように少なくとも
雪子さんから挑発しに行ったリモコンシーン以外では
別に喧嘩している訳でも
憎しみ合っている訳でも
嫌いあっている訳でも
何でもないのではないかという仮説が成り立ってくる。
(あくまでも仮説。だって二人の迫力がハンパないからw)

その観点から
じゃあそのことを雪子さん自身はどう思っていたのだろうと考えると
これもまた奇妙なことに気付く。
そう言えば雪子さんの感情も
薪さんへではなく
事件そのもの、事件に対する薪さんとの解釈の相違だけに煽られた。

もしかしたら雪子さん自身も
そういう薪さんの怒りをぶつけられる事に関して
それほど嫌ではなかったかもしれない。
本人が気付いてないだけで。

ちょっと大味過ぎるが
ここの一連の流れの中で
薪さんも雪子さんもこういう口論が
嫌ではなかったかもしれないとも考えられる。

薪さんが怒っているのは
事件への接し方とか取り組み方だけで
それが考えなしだと言っているだけで
雪子さんの無遠慮な振る舞いが自分の傷を広げるからといって
雪子さん自身を否定していることは
感じられない。

雪子さんが屈辱的なのは
そういう自分の至らなさであって
もっともっと技術的に高い所で
二人向かい合いたかったのではないだろうか。

こんな風に
雪子さんが薪さんに求めているものと
薪さんが雪子さんに求めているものは
実はそれほど大差ないのではないだろうか。


青木が余計な口出しをしたから
二人の向き合い方が
稚拙な喧嘩腰に成り下がってしまっただけのような気がする。

筋違いに庇おうとしたり途中で口を挟もうとしたりするから
薪さんと雪子さんの直接対決が
子供の喧嘩のような稚拙さを生んでしまった。
この二人だけの視点では
少なくとも嫌い合ってはいなさそうである。

それに雪子さんと言えば
この後の展開からも分かるけど
薪さんへずっと焦がれている何かを強く感じる。
だとしたら今回のこれは多少不本意かもしれないが
形は違えど
彼女が望んでいたものではないだろうか。

後に10巻で「庇護されるより一緒に戦いたかった」言うが
正にこれは共に居られる状況じゃないか。
共に向き合えている状況だ。
ずっと焦がれてきた薪さんの剥き出しの感情を向けられている瞬間だ。
もしかしたら雪子さん自身も気付いていないのかもしれないけど
これこそが雪子さんの真に望む薪さんとの関係なんじゃないかと思う。


とすると
青木を制したのは
そんな恍惚とした状態に水をさして欲しくなかったという
無意識の願望もあったのではないかとも考えられる。

まあそれ以前に
青木へ庇うなと言ったのは当然だ。
あそこで青木が余計なことを口にしたから
この一連の直接的な接触が
ただの平面的な口論にされてしまった。

もちろんプライドの高さから
公然と馬鹿にされ屈辱的な思いをしている所に
更に庇われたら尚更惨めになるのも当然だけど
だがしかしこのシーンは薪さんが雪子さんだけに意識を向けている
独占的な状況なのだ。

或いは
雪子さんとしては
もっと技術的に高い部分で薪さんと渡り合いたかったのだろうから
こんなあからさまに技術不足の展開は
みっともなくて悔しかっただろう。

それをスペシャリストだなんて
もう止めてくれと
私だって思う。

青木の援護は本当に見当違いだ。
そしてそんな見当違いを口にされたら
今、正にせめて感情面では向きあえていた自分も
そんな低次元の子供の喧嘩と同等扱いに
成り下がってしまう。



雪子さん的には悔しいけど望む展開だった。
こう考えていくと
例の壮絶な修羅場リモコンシーンは
随分悲しい擦れ違いである。

雪子さんは開口一番「あなたは決して私を見ない」と
口火を切っていることから
ここでも
薪さんに自分を見て認めて欲しくて焦がれていることが読み取れる。

だからわざわざもう一度薪さんの元へ出向き
自分を言い訳にしに行ったのだと考えると
辻褄も合う。

あんなに感情をぶつけてくれたのだから
私だってちゃんと力はあると言うことも知ってもらえれば
これからもずっと傍に居られるかもしれない。
もしかしたらもっと近づけるかもしれない。

まあどちらかと言えば
プライドの高さから
屈辱的な辱めを受けた報復をしに行ったのだろうけど。

とにかくそういう下心を持ってやってきた挑戦状だった。
そのために薪さんが今さっき自分にした様に
彼の一番の弱点を突く必要があった。

それであの修羅場が起こる。
行使したカードは実に見事だった。


でもこれはこれで良い筈なのだ。
何故なら反撃も出来ない人物は
きっともうこの先薪さんの視界にすら入れて貰えないだろうからだ。

ここで結局
傷を付けるしか出来なかった雪子さんだが
こうすることで
荒業とはいえ薪さんは雪子さんを意識せざるを得ない。
悔しさでも妬ましさでも
何だって形振り構わず突進した雪子さんの勝ちだ。

もちろん薪さんはそんなことしなくたって
ちゃんと見てるだろうけど
雪子さんが望む二人の関係が
そうではない。

対等に向き合う自分なのだ。
同じ目線に映る自分を演出したいのだ。
これはそのための自己弁護だ。

でも予想以上に図星だったのは
雪子さん的にも辛かったのだろう。
そんな風に傷を付けることが主目的ではないからね。
その上、貴方の一番ではないことを思い知らされてしまった。

後ろ姿を見送る雪子さんの
強い強い視線が
とても印象的だ。


ただ許せないのはやり口だ。
やり方が汚い。

ある意味こんなに叫ぶような人間的な感情を曝け出す薪さんなんて
第九メンバーでも滅多に見れないと思う。
その点は凄い。(その意味ではタッキーも見事だった)

でもこの切り口は確信犯だ。
そこがズルイ。
このことを薪さんが苦しんでいると知った上で
このカードを切った。
そこだけがどうしても納得できない。
オンナの執念って恐い。
独占欲って醜い。

まあそんなルール違反のカードを切らなければならない所まで
雪子さんを追い詰めたのが薪さんだから
それは薪さんの完璧な言い分に敗北したという証拠でもある。
その点を認めてしまうのも承知で
薪さんを傷つけることを目的に
このカードを切った。切らざるを得なかった。
そこが許せないし
そこが悲しい。

そんなことをしなくても薪さんはちゃんと雪子さんを見ているのに
それが見えない雪子さんの浅はかさが
悔しい。

大体つい今さっき
散々他人の領域に踏み込む危険性を諭されたばかりだというのに
懲りてない。
むしろそんな礼儀知らずだと貴方が言うから
こんな無礼な発言を言うのも仕方ないことよね、という挑発(皮肉)にさえ
見えてくる。

そしてそんな風に二人の道をズラしてしまう原因を作ったのが
青木の他愛ない擁護なのだとしたら
なんて悲しい擦れ違いなのだろう。



まあそれでも。
結局雪子さんとしてはこの一連のシーンで
薪さんの感情を一身に受けられて
そのことについては非常に満足だったのではないだろうか。

薪さんとしては
仕事としての姿勢や秘密を扱う危険性を諭しただけなので
わざわざ弱点というか柔い部分を逆撫でされて
踏んだり蹴ったりな展開ではある。
それでも彼女の領域に
薪さんは踏み入っていっている。

考えてみれば貴方に近付きたいというのは
俗に好意的な感情だ。
大抵は人はそれを好意的に受け止める。

そういう感情をあんな強烈に露骨に向けられていたら
薪さんじゃなくたって
雪子さんの気持ちに気付いていない方が不自然だ。
だって薪さんだもん。

雪子さんの気持ちはバレバレだったという前提で
あのリモコンシーンを見ると
挑発も可愛いもんである。
ただ切り口が汚いだけで。

薪さんももしかしたらそこまで気付いているのかもしれないし。

ここでは包容力のなさというか余裕のなさが
らしくなかった。
この時期は薪さんは色んな物を抱えていて
本当に辛そうだから
もうかわすだけの気力もないだろう。

だとすれば余計
何も知らず自分のことばかり突っ走って薪さんに向かう雪子さんは
やっぱりちょっと利己的すぎたのは否めない。
もう少し自分ではなく周りを
せめて薪さんを見られるようにならないと
薪さんと対等になんてなれない。
・・・・・・ってことに何で気付かないかな(-"-)

薪さんとしても
そんな雪子さんの奔放な態度も
手を焼く所だろう。
薪さんは本当の意味で雪子さんには(というか誰にも)応えられないのだし
雪子さんとは傷つけ合うしか出来ていないのだから。
克洋くんのことを思えば尚更
薪さんの胸は痛んだだろう。



以上の様に考えてくると
雪子さんが薪さんに何を求めていて
薪さんが雪子さんに何を求めていて
お互いにその部分について応えられるのか。
そこの差を思うと
面白いけど悲しい。

それでもただ同調していないだけで
二人の気持ちの温度差は
実はそれほどないんじゃないかと思う。

二人とも理性的に取り繕って大人ぶった冷静な態度を取っているけど
お互いに相手の剥き出しの感情に触れてもいいと
思っていると感じる。
そこだけは一致していると思う。

この二人はこうやってこの先も
一番近い所で接触事故起こしては
摩擦していけばいいのかもしれない。
もう勝手に喧嘩してろって
周りが呆れるくらい
近くにいけばいいと思う。

だから今回の一連の口論も
雪子さんも別に嫌だと思っていなかったんじゃないかと思う。
こんな形ででも薪さんが怒鳴ってくれて(3点とも)
実は雪子さんは嬉しかったのではないかと考える。


薪さんも嫌悪感を向けている訳ではなかった。
雪子さんも嫌ではなかった。
それなのに最後にあんな衝突をしなければならなかったのは
悔しく腹立ったのは至らない自分自身になのだと
彼女が気付いていない故の悲劇であった。

特に薪さん的には
どちらかと言えば思いやりを含む優しい感情を向けたのに
あんな仕打ちをされて
悲しいだけの何物でもない結末になってしまった。
本当に切ない擦れ違いだ。




余談ですが。
そうして考えていくと・・・・・・
今一番私が不安になっているのが(こんなこと考えるのは私ぐらいだろーが)
エンドゲームの事件のことで色々プッツン来ちゃった雪子さんが
弾け飛んで
薪さんにアタックし始めそうで恐いんだよ・・・・<(`^´)>
ラストのラストでそんな展開すっごくいやだ・・・。


更に余談だけど
薪さんと結婚したら(雪子さんじゃなくても)
なんかすごそうだな。色んな意味で。
だって多分ちょっと毛先を揃えただけの髪型の変化とかにも
簡単に気付いてくれそうじゃんw
ちょっと部屋のカーテンを洗ったとかでも気付きそうじゃんw
少し今日は顔がむくんだとかでも気付かれそうじゃんwwww

・・・・・///////
ちょっと自分の妄想(暴走)に丸コゲです/////




<参考までに>
二人の修羅場についての過去の妄想考察↓↓↓
(秘密記事始めたばかりの頃の記事なので色々と浅いですが・・・・(^^ゞ)
つよし君と雪子さん1
つよし君と雪子さん2
つよし君と雪子さん3
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2012*04*08(Sun)
秘密 つよし君と雪子さん8(5巻)
5巻では他人の過去に迂闊に触れる危険性をまざまざと見せつけられるようなお話で
かなりヘヴィであり、この作者さんらしい世界観に脂が乗っている気がします~。
思えば本来警察機構というのはそういう仕事でありプライバシーもクソもないんですよね。
だから雪子さんや青木の薄っぺらいw正義感の方が本当は善とされる。

MRI捜査の特殊性もあるのでしょうが
薪さんの主張は自分の苦しみを分かりもしない二人に傷ついた
自分寄りの発言だったとも取れます。
或いは犯罪者に近い立場での主張。

でもすんごい説得力がありました。
刑事モノで有りがちな
如何なる理由があれ犯罪を憎みどんな犯罪も見逃すわけがないという一見熱い精神は
薪さんの前ではとても平たく感じます。

法を犯してはならない筈なのに主張・正義が見事に揺らされましたね。

浜田尚の切ないまでの必死な愛情とか
光浦あかねの物静かな語り口に言葉に詰まる薪さんとか。
凄かったー。

その一方でこの二人がまた一触即発の火花を散らすから・・・・(;一_一)
だから5巻の記事はちょっと難産でした(T_T)
読みにくかったり分かり辛い部分も多々あると思いますが
ごめんなさいです。
しんどいです。



さて5巻のそのもう一つのテーマがこちら
きちんと観察するとか向き合うとか
そういう人間的な不文律です。

計3回この二人の意見が正面衝突するシーンが描かれますが
(正確には冒頭と修羅場を入れて5回か。すげーな。)
人とどう向き合うかの考え方の差が
真正面からぶつかり合いましたね。
以前は寄れば傷つけ合うこの二人が見ていられなかったのですが
今回見方によっては違う解釈も出来ることに気が付きました。
そんな意味のこの二人の感性の違いが
また非常に面白かったです。


まず口論の主点をピックアップすると。

葵とティータイムをしていた所に乱入した後雪子さんが怒って怒鳴りこんでいくシーン。
ここで「何年監察医をやっているんですか」と窘められ
次に葵の過去を知った薪さんが彼女の身を案じて駆け付けようとするのを止めるシーンで
「このまま再び殺人を犯すまで待つつもりか」と叱られ
そして浜田尚のMRI映像を見た後で
「死者の人生を俯瞰することが出来ない」と怒鳴られる。
散々だな・・・・雪子さん・・・・・。


薪さんside

これらはいずれも被害者とか加害者とかそういうことではなく
警察官として常に意識し訓練していかなければならない姿勢だという主張だ。
仮に精神的に苦しんでいるのを隠し無理に明るく振る舞う演技をしていたとしても
身体の痣とかはもう観察眼の問題だしね。
それに監察医以前に一人の友人として
本当に向き合ってきたのなら気付いてやるのが
礼儀だと薪さんは言っているのだ。

だからその程度で友情なのかと馬鹿にする薪さんの微笑みは
無理も無かった。
まあ雪子さんは元来そういう所もさっぱり系の大雑把な性格なのだろう。
何が何でも気付いてやるのが友情でもないし。
時には気付かない振りをしてやるのも友情だし。

ただ雪子さんは曲がりなりにも監察医を生業としていて
しかも気付いていないフリなどではなく
素で気付いていなかったすっとぼけだから
薪さんは嗜めたのだと思う。

でも、それだけだとも思う。

これは
最後にはとうとう涙を零してしまうことから
一見薪さんが雪子さんへの嫌悪感を露わにし
いがみ合っていたり傷つけ合ったり
拒絶しているかのように見えてしまうが
本当にそうだったんだろうか。

なんか私には
別に薪さんが雪子さんを見下している訳でも馬鹿にしている訳でも
なかったかもしれないとも見える。
もしかしたら第九室長としての仕事中の薪さんを見たのは
雪子さんとしては初めてだったかもしれないが
特に最初の2点なんか
いつもの薪さんじゃないか。

上司(ではないけど)として
警察関係者としての心構えとか犯罪への向き合い方とか
そういう部分を窘めただけの
叱咤だったのではないだろうか。

プライドの高い雪子さんが幾ら煽られようと
薪さんとしては
純粋に仕事としての姿勢を諭しただけに過ぎないように見える。

駄目でしょとかこうしなさいとか
導いてやる指導とか教育とか。
こんなの職場で良く在る光景じゃないか。
ましてや第九内では良く見る光景じゃないか。



個々の内容について個別に見てみると。
二つめの「このまま再び殺人を犯すのを待つつもりか」
これって警察官としての杞憂とか
今生きている人を守ろうという薪さんの優しさだよね。
さっきすれ違っただけの葵の身を案じている訳で
なんかそういう心配してくれるって
嬉しいよね。
なんかいい。薪さん優しいなー。

薪さん怒鳴っているけど
でもコレすんごく優しい気持ちから出ている言葉だ。


まあそれはともかく
ここでも真逆な捉え方をしているこの二人。
一つの情報から多くを連想し可能性を想定し関連付けていける薪さんに対し
一つの情報からは一つの断面しか見れない雪子さん。
雪子さんの立場からは
今の葵を知っているだけに情報が主観に影響されて
客観的な判断が出来なかったのか。
これは25年前のことであり今ではないという固定観念からなのか。

今さっき身体に残る痣を見た筈なのに
今さっき不自然な痣を指摘されたばかりなのに
それでもピンとこない雪子さんは
本当に悲劇と言う悲劇を見た事がないのだろう。
地獄の中の地獄というか。
人生の最悪な状況の中でも容赦なく更に過酷なことが起きることだってある人生を
想像すらできないのだろう。

幸せな人とも取れるし
青木のように汚れ無い真っ直ぐな精神を感じる。

なのに以前も言ったけど青木と雪子さんで同じことをやらかしても
薪さんの態度が全然違うのが
大変興味深い。(ってか笑えるwww)

同じことを青木がやったら許せるのに
雪子さんがやると許せない。
それはつまり雪子さんには求めている物が違うと言うことだ。
それにこんなあからさまな感情をぶつけるのだから
何らかの形で意識しているのも確かだ。

もしかしたら雪子さんのことだって
汚れ無く眩しいって感じているのかもしれない。
青木を大事にしたいと思うのと同じ様に
雪子さんにもそのまま真っ直ぐ生きていってほしいと
思っているかもしれない。

こういう無垢で真っ直ぐな所って
誰であれ
薪さん憧れるんじゃないだろうか。

だってそれに
あの克洋くんが惚れたオンナだぞ?
克洋くんが好きなものを
薪さんだって好意的に思わない訳がなくないか?
なのに何故雪子さんにはこんなに手厳しいのか。



そしてもう一つの二人の落差が三つめ。
浜田尚の画を見終わった後。
これは上記2点と異なり
少々過激であった。

「いつから知っていたの」と問う雪子さんに
一目見ればその可能性は想定内だと怒鳴る薪さん。

これも断片しか見れない雪子さんを如実に表しているシーンだ。
そしてそんな見方の危険性を薪さんが必死に訴えているシーンだ。

“誰かに刺されて殺された”というだけの
一つの情報から幸せな悲劇(日本語変だな)しか見当がつかない、
雪子さんらしい予想である。
悪い人がいて被害に合う弱者がいる。
その程度の一方通行の世界観しか見れないのが
まあ、可愛いっちゃ可愛い。

しかし確かに警察関係者としては駄目だろう。
世の中には最低の更に上をいく最低があるものだ。
誰もが幸せな家庭を円満に築いている訳じゃない。
警察とはそういう面にこそ関わって行く仕事でしょう。

それが想像できないのかー。
そっかー。

ほんと雪子さんと青木は良く似ている。
物語では薪さんと雪子さんが同列に見られているみたいだが(序盤だけ?)
それは表面的な部分だけであって
中身は本当に青木とよく似ている。

雪子さんと青木が惹かれあったのも
その気高く威風堂々とした精神にお互いに自分の理想を見たからなんじゃないの。
そしてその延長上にいるのが
お互いに薪さんなんじゃないの。

そして雪子さんも青木も
薪さんの潔癖で強い意思や精神の眩しさを見ているのであって
タッキーや岡部さんが見えている部分が
見えている訳ではない。

そこが悲劇の始まりでもある。



まあそこもともかく。
ここで浴びせた薪さんの言葉は重かった。

遊び半分の浮ついた気持ちで気軽に他人の過去に触れたのは
貴女自身の責任だ。
その始末をどうとるつもりなのか。
踏み躙られた視覚者の純情にどう詫びるつもりなのか。

同じ様に叱ってはいるシーンだけど
ここでは少し薪さん自身の苦しさも重ねていたのか
かなり厳しい言葉だった。
言っていることは最もだったが
言い方がね。ちょっと。

その意味でも
もし自己を重ねていたのだとしたら
やっぱり薪さんは雪子さんには自分の気持ちや苦しみを
本当は分かってほしかったのではないかと推測される。

何故そう思ったのかと説明していく前に
ちょっと別の観点から一言。↓



ここの一連の口論で私的に面白いのが
青木の視点である。またしても。
前記事に続き、今回青木はとんだ台風の目だった(笑)
彼の暴走で周囲がどんどん振り乱されている。

どういうことかというと
これら感覚を青木だけが
薪さんが雪子さんを嫌っている(拒絶している)と見ているだけで
雪子さんも薪さんも
実はお互いに憎しみ合って火花散らしたのでは
なかったのではないか、ということだ。

少なくとも薪さんは違わないか?

薪さんは理解しようとしない周囲に傷つき苛立ってもいたかもしれないが
それをいうならそれは雪子さんだけに向けられた感情ではないし
逆にその意味で矛先を
雪子さんにだけ向けていたのだとしたら
それは雪子さんにだけは理解して欲しいという
感情の裏返しになってしまう。
自分の抱える負荷を彼女とだけは寄り添い合いたかったという
願望になってしまうじゃないか。

自分の中の怒りや苛立ちと言った本音の感情を
雪子さんにだけぶつけたのだとしたら
それは薪さんの雪子さんへだけの甘えになってしまう。

でもそんなことは薪さん思っていなさそうだ。

とすると
ここで薪さんとしては何に怒っているのかと考えると
過去を抱える苦しみを誰も分かってくれないとか
そういう自分のことではなく
やはり一般論として
純粋に人の守り方とか過去の触れかたとか
そういう仕事の姿勢に対し考慮しておくべき注意点を
諭しているだけなんじゃないだろうか。

少々過去を抱え込んだ浜田尚に同調もしていたんだろうけど
内心自分のことも多少頭を過ぎっただろうけど
それよりも
こういう危険性もあるんだからもっと慎重に
もっと丁重に扱わないと駄目だろうという、
他人の人生や命をもっと大切に扱いなさいという、
そんな叱咤だけであり
それ以上でも以下でもなかった。

その上で
調子良く正義を振りかざしていたくせに
この程度の覚悟も出来ておらず
勝手に傷ついている。
その考えなさを戒めたのではないか。

そんな風に仕事に対し叱咤したのであれば
それは嫌いとか憎んでいるとか
そんな低次元の話ではなく
別に薪さんは雪子さんを拒絶して言ったものではないということになってくる。

青木がただそんな次元で見ていただけの
なんてことない職場の一場面ということになる。



このことを念頭に置いて話を戻すと
もし本当に青木が思ったように
自分を分かってくれないという嘆きであれば
それは克洋くんとのことに対しても以前思ったっけ。←下記参照
充分幸せなのに傷ついた顔をして
いつまでも悲しい顔をして
そのくせイイ子ぶって自分に恨みごと一つも言ってこない。
その態度が薪さんを苛立たせるのかと思った。

ここも同じだ。
自分でイイ子ぶって正義を振りかざしていたくせに
大した覚悟も理解も出来てなくて
勝手に傷ついて勝手に泣いている。
その浅はかさが許せないのかもしれない。

大体薪さんが雪子さんにだけ辛く当たるのだと仮定すると
それは雪子さんのことはやはり当時の関係者として
やはり何らかの意識はしていて
ずっと共に居た仲だけに
本当は一番分かって欲しい人なのかもしれない。

或いは
誰よりも近くに居て知っている筈なのに
自分のことばかりでちっとも分かってくれなくて
恨みごともイイ子ぶって言わず
そのくせ人一倍被害者顔しているから
その態度に傷ついてきたのかもしれない。

薪さんも雪子さんの剥き出しの感情をずっと待っているのかもしれないとさえ
思えてくる。


この視点から
更に更に邪推してみると
今回のシーンだって
後でそうやって貴女が泣くと思ったから止めなさいと言ったんだと
そういう薪さんなりの愛情だったのかもしれないとさえ思えてくる。
薪さんなりに雪子さんを傷つけるものから守っていたのだという解釈だって
出来るのだ。

それは薪さんの愛情とも
克洋くんのためとも
どちらからでも納得できる。

そういう庇護を雪子さんが嫌がるから
あからさまにしないだけで。


となると
雪子さんが10巻で言う「庇護されるより共に最後まで戦いたかった」という
薪さんへの想いを
薪さん自身も感じとっていたとしたらどうだろう。
ただそれに応えられないだけで。

だからこんな風にほんの少し彼女の世界に
踏み込んであげているのではないだろうか。

何だか規模がデカ過ぎてはちゃめちゃな騒ぎになっただけで
もう勝手にやってくれと言っても良いような
痴話喧嘩の範疇だったのではないかとまで妄想が飛んでしまった。



まあそここそともかくw
薪さんは嫌っているとかそういう低次元の話をしているのではなく
純粋に過去へ触れる危険性を諭しているのに
その想いを汲めず
煽られたり非礼だとか言ったり
そんな薪さんと雪子さん&青木の温度差が激しいことが
読んでいてすごくすごくしんどい。

そしてその温度差があのリモコンシーンを誘発したのだとしたら
薪さんの優しさが伝わらなかったばかりか
薪さんを周囲の人間も否定することにもなる。

ここ5巻では本当に薪さんは色々必死に色んな物を繋ぎ止めようとしていて
でもそれがみんな手の平から零れていく。
それが悲しい。

もう駄目だと分かっているのに諦めきれなくて
必死に堪えていた昔の自分をも少し思い起こさせ
辛くなる。

もしかしたら薪さんも駄目かもしれないって分かっているのかもしれない。
なのに頑張るんだ。
誰かのためにこんなに頑張るんだ。

~~~っっっ!!!!(>_<)
色んな意味で悶絶。くっそたまらんっっ。胸が締め付けられます。


そのリモコンシーンについては次記事で。



<参考>
二人の修羅場についての過去の妄想考察↓↓↓
(秘密記事始めたばかりの頃の記事なので色々と浅いですが・・・・(^^ゞ)
つよし君と雪子さん1
つよし君と雪子さん2
つよし君と雪子さん3
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2012*04*05(Thu)
秘密 薪さん7(5巻)
前回から続いています・・・・・

三者三様の罪に対する向きあい方を示しつつ、ラストは罪を隠し続けられた悲劇で締めくくる。
その最後の最後の着地点がまた見事だった。


浜田尚の脳を見終わって
浅い正義を振りかざし過去に触れた軽率さを戒めた後
秘密を隠し続ける側から
秘密を暴露された側へと場面が切り替わるのもまた実に巧かった。
こうすることで秘密に関わる立場の奥行きが広がった。

薪さんが秘密を抱える重さと
逃れられない枷が
克明にされてくる。
こういう視点からの辛さを見せてくる。
見事である。


それには具体的には二つの視点があると思う。
真実を告げない罪と
憎しみに狂っても
そういう自己の解放は実は正直な甘い感情だということ。
そこに翻弄される薪さんが痛くて見てられなかった(>_<)


まずは光浦あかねさん。
彼女はそもそも60年も前に一度人生を台無しにされた人である。
この60年間さぞ真実を知りたかったことだろう。
でもこの人にとって真実ってなんだったんだろう。

60年も前にめちゃめちゃにされ
60年後にまた崩される。
この人の人生は罪に始まり罪に終わるのだ。
たった一つの罪がこんなにも誰かの人生を左右してしまうなんて。
当事者だしと言われればそうかもしれないけど。

彼女は罪の告白如何に関わらず
罪そのものに人生を壊されたと言える。
知らずにいれば悲しみにくれたまま悲劇の人生で終わっていて
知ってしまった今は憎しみに染まる犯罪者となった。
例えば真実を知らずにいれば
息子亡き後生きてきた人生までもが
何だったのかとかまでは思わなかったかもしれないけど。
でも真実を知りたい欲求が満たされないまま終わるのは
しんどいだろう。

この人にとっての“真実”というより
この人にとっての人生って何だったのだろうと思う。
きっと彼女自身この60年その問いを毎日繰り返してきた筈だ。

つまり彼女は
秘密を知らされなかったために苦しんできた側の人間である。


彼女自身は
真実を見る前に仇を取った。
それは事件の真実など彼女にとって何の意味もなく
起きた事実だけが全てなのだという意思でもある。
梨田の犯した罪だけが重要であり
これから知らされる事件の真実など
何の価値もないという姿勢を露わにしている。

実際その後知らされた真実は
また酷だった。
ささやかな淡い夢なだけに
酷だった。

最期まで自分を想っていた息子。
どうして助けてやれなかったのか
自分を責めただろう。
最期に自分の知らない所で自分を呼んでいた。
何十年も前の
自分ではどうする事も出来なかったその悲劇を
今ここで知らされて
彼女の気持ちは如何ばかりだったろう。

“知る”ことに何の価値があったのかとまで思ってしまう。

自分の無力さとか時の無常さとか
色々胸に突き刺さったと思う。
取り返しのつかない重い時の壁が
私自身の過去をも彷彿とさせて
どうして助けてやれなかったのか強く強く後悔する。
つらいよな。
自分のせいではなくても
自分を責める後悔が後から後から止まらない。

そんな彼女に人殺しの罪など痛くも痒くもない。

この意味では
罪を告白することや真実に良い面など無くて
過去にはもう触れない方が良いのではと思ってしまう。



ここで薪さんが一縷の望みを掛けて口にしたのは
贖罪の言葉だった。
これは起爆剤となった梨田の弁護ではなく
罪を犯した者が少しでもそれを悔いていれば
遺族も気が楽になるかと思って言った
彼なりの思いやりだ。
薪さんはいつだって弱者の傷痕に敏感だ。

でも彼女は言う。
「では今度はその悔いている映像を見せて貰えるのか」

光浦あかねは映像を見る前から
梨田がどんなに悔いていても許すつもりもなかった。
だから息子が最期に自分を呼んでいただろう夢を見せられれば
尚更殺人を行ってきて正解だと思えた筈だ。
それくらい遺族の傷痕は深い。
遺族に犯罪者の声など何の価値もない。

それを本当は薪さんだって充分知っている筈なのだ。
それでも敢えてそれを口にしたのは
光浦あかねに救いを与えたかったからだ。
せめてラクになって欲しかったんだ。
傷ついた者に鋭敏に同調出来る薪さんならではの
優しさだ。

しかしその恩情が届かなかったばかりか
薪さんに過去の告白がもたらす無情を付きつけた。
彼女にとって真実は意味が無く
知らされなかった事実だけが重いのだと暗に言う。


まあ彼女にとってこれが良かったか悪かったかは分からないけど
罪は
これだけ誰かの人生を変えてしまうという力があるもので
これだけ誰かが何処かで苦しんでいる性質のものだということを
薪さんに改めてあてがった。

そしてそれは過去を知らされたというよりは
隠し続けられたことによる憎しみの増長のように見えた。
何十年も掛けて
息子を奪われ
信頼していた人には裏切られていて
夫もこの世を去り
自分も90歳まで生き
たった独り残された、
もう今更今生に何の未練があるというのかという
もう誰もいなくなってしまった現在における
彼女の魂の叫びが
彼女の全てのように見えた。

それは紛れもなく過去を知らされなかったことで生んでしまった
悲劇である。


そんなに気軽に扱えるものではないものを
自分は沢山持っている。
抱えてしまっているというどうしようもない後悔。
それを充分知っている上に
また固辞された。
こんな仕打ちってないだろう。

4巻SPの「そんな自分勝手が許されるだろうか」っていうのは
許されるわけがないって分かっている気持ちの裏返しだ。
それを更に責める様なこの結末(>_<)



もう一つの見方が羨望である。

「この手で守るべきものがまだ何かありますか」
この極限の台詞に
薪さんは何も言いかえせなかった。

何故こんな愚かなことをと一般論で問うても
そんな表面的な言葉が
地獄を見た人間には薄っぺらく届かないものであることを
誰より薪さんが一番知っているからだ。
彼女の言葉の方が何倍も説得力があることを
薪さんが一番知っている。
だから共感してしまった。

この、説得されてしまうという薪さんの心境を思うと
また心愛い。


大体、彼女を引き止めるものが何も無かったと言う環境は
考えてみれば薪さんの状況とも酷似している。

後に明かされるけど
天涯孤独という話だし
一番大切だった人を殺してしまって
今更今生に留まる理由が希薄なのは
薪さんが一番理解出来たのかもしれない。
だから一線を超えてしまった彼女に
共感・・・・いやもっと・・・・羨ましく?思えた可能性もある。

彼女のように生きられたらラクだろうにと
彼女の選択を最もだと
肯定したようにも見える。


自分ではもう過去を手離す判断はできない。
前記事では4巻SPではどっちに転んでもおかしくない状況と言ったけど
基本薪さんの真の願いは
秘密との心中だ。
隠し続けたい・誰にも見せない・死後も知られたくない、というのが
本当の薪さんの願いである。
自分のためではなく誰かのために
そうしていくと決意した。

そんな非道なことを自分だけ優遇される状況が
如何に傲慢なことかと感じる潔癖な罪悪感と
周囲への波及効果への配慮で
自己矛盾が生じている。
ばらしてしまいたい自分と知られたくない自分が葛藤している。
ついでに自分の意思などそれらの前では完全に沈黙していることが
複雑さを更に高めている。

潔癖で純真で誰よりも優しいからこそ
薪さんは苦しむんだね。
もっとラクに生きられる方法は幾らでもあるだろうに・・・・(>_<)

それがここで反論できない姿にすべて表れている。


そこへ躊躇いもなく真っ直ぐに自分の人生に決着を付けた
光浦あかねの決断。

彼女は復讐とか怨恨とか仇討とかそういうドロドロした感情よりも
全てを終わらせに来た感を強く感じた。
自分に真っ直ぐだった。

一番守りたかったものが守れなかった人間に
名誉だとか体裁だとか人生の幸せだとか
世間の杓子定規に括られた一般論なんて
何の価値もない。
そんなこと私も良く知っている。

だからここの光浦あかねの静かな闘志は
法を犯した間違えた行為なのに
とても強く真っ直ぐに見えた。
きっと薪さんの目にもそう映ったと思う。

だとすれば
もしかしたら彼女の姿は
過去に狂わされた悲劇の人ではなく
自分で過去から抜け出した解放に見えたかもしれない。
自分の欲望のままに生きた姿は
さぞ甘い魅惑に見えたと思う。


薪さんが自分の運命から逃げようだなんて姑息なことを
これっぽっちも思っていなくても
目の前で見せられた事実と
この、ほんの少しの羨望は
薪さんの中に僅かな不貞を感じさせたと思う。

本当は不貞なんかじゃなく一般的には当然の感情なんだけどね。
潔癖な薪さん自身がそうは思わないから。



過去を抱えきれなくて逃げた者。
過去を守るために死んだ者。
過去を知らされて傷を負った者。

三様の最悪な末路が描かれて
どれもが結局その罪によって人生を変えられた。
特に
過去の公開で狂っていく尚と葵、光浦あかねの末路は
薪さんに乗り越えられない大きな壁を付きつけたと思う。
軽率に秘密を暴露した梨田の判断は
自戒を促したと思う。

耐えきれす吐き出した梨田の行為の波紋を想えば
彼の無神経さや浅はかさが
私達にだって理解出来た。

生きても死んでも解放されない。
言っても黙っても許されない。
誰にも言えない。
誰も分かってもくれない。

結局どうすることもできなくなる薪さんの苦しみが
深く深く沈んでいく。
どうしたらいいのか途方に暮れて
ただただ苦しむ薪さんの姿が痛々しい。

薪さんの抱えているものの大きさとか、
特に何故泣くほど辛いのに抱え込み続けるのかとか。
4巻SPでの涙が非常によく伝わってきた。
自分のことじゃない苦しさで
自分を哀れに思う淋しさで
重たくて泣いている本当の意味が改めて実感できた。


5巻は薪さんの抱えているものの意味と前記事で書いた孤立が
とても良く引き立てられている物語で
その見事さはすんごいんだけど
とにかく薪さんの孤立が辛い巻だった。

ラスト。
何も言えず独り押し黙る薪さんが本当にとても痛い。
[ vol.5 ] CM3. TB0 . TOP ▲
2012*04*05(Thu)
秘密 薪さん6(5巻)
ラストエピソードの結末を迎えるに当たり必ず押さえておきたいポイントを考えた時
秘密という物語が独自の艶を出し始める4巻特別編以降で
主要エピソードは既に准えてきましたが
飛ばしてきた5巻&6巻も外すわけにはいきませんよね~。
6巻は直接繋がって行くエピソードcopycatを含みますし
5巻は個人的に私がテーマに重みを置いています。

本当は4巻SP外科室の話をもう少しじっくり考える所から入りたかったのですが
無理だぁぁぁ・・・・・悲しすぎて・・・・・(>_<)
以前1コだけこの話に関する記事を書きましたけど
あれ以上の感情が未だまとまりません・・・・
4巻SPは秘密ストーリーの中で強烈な色味を出している。
すごすぎです・・・・


さて5巻。
5巻のトータル的なテーマは隠避。隠匿。秘匿。・・・・?
みんながみんな何かを隠している。
それを大きく二つのテーマに分けた。
一つは秘密の暴露による波及効果の恐ろしさ。
もう一つが観察による情報取得といった人間的不文律。
それを二つの事件を同時進行させることで
巧みに導入しているのが本当に見事だ。

そこを軸に
薪さんを取り巻く環境を
孤立と秘密の内包という二つの側面から切り崩している。
薪さんの二重の苦しみが露わになっていて
見ていてツライがこれまた見事だった。


まずはその1つめの方から。
興味深いのは
この巻では秘密の取り扱いについて
周囲や状況から暴かれるという今までのパターンではなく
自ら暴露する一面が描かれたということだ。
それが薪さんの過酷な実情をより表現することになる。

直前の4巻SPで
秘密を抱え込む重圧に堪える薪さんの苦悩を見せておきながら
直後のこの5巻で
その過去から解放されることを辛抱足らずに実行に移す人物を登場させた。
そしてその末路は
様々な人の人生の歯車を崩しての報復の死。

極端すぎでしょ(T_T)

それが秘密を内包したことへ罰なのか
秘密を内包しきれなかったことへの制裁なのか。
その境界は微妙だが
薪さんの行く末を暗示しているようで後味が悪い。
まあ・・・・・直接には犯した罪そのものの報復を受けたのだが。

この暴露で広がって行く波及効果が
薪さんを多角度から追い詰めている。

うーむ。構成っつーか展開っつーか見せ方が巧すぎだ。(そしてしんどい)

そもそも秘密という定義は
自らの行いではなく他人の行為や他人を巻き込んだ行為な訳で
法を犯したり 越権した手段を利用したりと
常識的には入手不可能な種類の情報である。

他人に関わるものであり
普通は手に入れられないものなのである。
そこが最大の特徴であり最大の障壁である。

故に一措置として放出を選べば必ず誰かに負荷がかかる。
黙ったままでも何処かで誰かがその事情で苦しんでいる。
まあ分かってたことだけどさ。

それを何の関係もない自分が自由に出来る特権を持っている。
薪さんの抱える負荷は
自分一人で支えるものでありながら
自分だけのものではないのだ。

どっちが正しいのか自分で答えなんて出せないよ。
その、自分に自由がないってどれ程辛いことだろう(>_<)
厭なものを厭とさえ認めてはいけないなんて
どれ程生殺しだろ。
自分は神でもないのにそんな力を持ってしまって本当に良いのか。
その恐ろしい力を持っている薪さんの叫びが伝わる。
薪さんの抱えているものの重さの本当の意味が
痛烈に表現されていると思う。



まずは冒頭。
屍蝋化死体に対する各々の対応もそうである。
どんなに法を犯した行為であっても
むやみやたらに真実を白日の元に曝すのは控えたほうが良いという、
秘密の恐さを知っている薪さんならではの判断に対し
正義を貫き真実は何より強く尊いと疑わない雪子さん(と青木)

誰かの秘密を暴くのを他人が行う場合
節度を保って行うべきで
覚悟しておくべきは
秘密を抱えている方も秘密を知らされる方も
事と次第によっては人生を狂わされるという恐ろしさだ。

そのリスクをまるで理解していない雪子さんと青木は
薪さんの危惧する意味も分からないし
薪さんの抱える秘密の重さも分からない。

だから雪子さんは説得しようとムキになっているし
青木は意地悪をしていると勘違いしてしまう。

それが分かるのが
青木に「意地悪」と言われて一瞬きょとんとする薪さんの表情だ。
これは
まさか青木が反論してくるなんて思わなかったという驚きだけでなく
この相談の棄却が
青木には「意地悪」と見えてしまうのだという驚きが含まれている。

一つの死という大きな事項に対し
冷静に客観的な判断を下しただけなのに
自分以外の人間にはその真意が理解できない。
他の人にはこの秘密の重さが見えない。

ましてや死蝋化した脳が技術的に再現可能かどうかなんて
ここでの薪さんにだってどうでもいいことくらい
百も承知だ。
そんなの体の良い唯の振り言葉なのに。


それはやはり薪さんを孤独に思わせる。
薪さんだけが苦しむ所以が見える。
一瞬呆けた後キッと睨みつける薪さんが
本当に素敵ーっっ!!!・・・・・ではなかった・・・・、
本当に悔しそうに・・・・孤立を噛みしめて自分を奮い立たせているようで
孤独に見えた。
薪さんは本当に独りなんだなと思った。

大体ここで言う所の雪子さんの正義も
実は曖昧だ。
犯人が友人と分かった途端手の平を返すように調査に非協力的になる。
出来る事は何でもやってあげたいという彼女のモットーは
友人への思いやりなどで揺らいでしまう程度のものだったのかと
疑ってしまう。



余談ですが(恒例の)
このあと岡部さんが“意地悪”に爆笑しているけど
これって“確かにそうも見えるよなー、仕方ないよなー、しかもソレ本人に言っちゃうんだー”
っていう意味の
この笑い飛ばせる度量\(~o~)/

その心理としてはつまり
自分は薪さんをちゃんと理解できているからこそ笑えるのであり
青木が真の薪さんをまだ見れていない青臭さが面白いのであり
あの薪さんと青木がそんなやりとりを生真面目にした事が滑稽で笑ったのであり
・・・・・・なんていうか岡部さんは周りを色々見えていて
仲介的役割を担っているんだなーとつくづく思う。

ここだって別に無駄話をしににきた訳ではなく
薪さんからのベクトルの仲介にきたんでしょ。

一見青木の愚痴に付き合っている風を装いながら
しっかり網を張って職場の輪を誘導している。
イカス男だなあ・・・・頼りになるゼ❤

薪さんもさ「本当は掘り返さない方が良いと思ったんだよね・・・・」みたいな
本音を漏らしているでしょ。
更にその瞬間の薪さんに宿る僅かな表情の陰りにも
岡部さん気付いているでしょ。
なーんかいいよねぇぇぇぇぇぇ。(うひゃーっったまらんっ。)



話を戻して。

ここから物語は
周囲の人間をきちんと見ることで汲み取る人間的な不文律を前面に押し出し
秘密を扱う道徳律の方は裏で引っ張りながら
二方向から攻め込んでいき
浜田尚のMRIを見終わった所で
その2テーマが巧妙に交差し反転する。

薪さんの雪子さんへの説得シーンで融合するその構成がまだ見事だ。
薪さんの美しさと相まってクラクラする。←関係ない
特にカッコイイのがカフェとか雪子さんを説得する一連のシーンとかリモコンの修羅場とか(強制終了)


まあ、その、人間的な善徳の方はまた次記事にして
秘密を扱うリスクの方ですが。
「命を掛けて守った秘密を無理矢理こじあけた」って言う所。

事件の途中から薪さんは
ちゃんと見ていないからこんなことになったんだろと責めつつ
見ていたら避けれた悲劇だ=つまり過去を冒涜することは無かった筈だと説き伏せる。
そして周囲を俯瞰することが出来ないことが
秘密に戸惑いもなく土足で入り込める厚顔無恥だと
最初のテーマと融合させている。

展開は見事だが内容は重い。

捜査前、雪子さんや青木が貫いていた精神――正義や真実の強さ―――は
薪さんに言わせればこんな風になってしまうというのが
ここでよく分かる。
その具体例が
今、目の前で薪さんの危惧したとおりの最悪な形で横たわっている葵の秘密であり
尚が守ろうとした尊厳なのだ。

その辛辣な側面がどぎつい。
秘密に関わる者としての心構えとか気概とか
そういうのがありありと伝わってきて重いし
秘密の真の意味がまるで分かっていない雪子さんや青木との落差が大きくて
隔たりがとてもよく表されていたと思う。
同時に薪さんを取り巻く独自の孤立感も重い。

また浜田尚は秘密を必死に守って来た側である。
薪さんと同じ、秘密を抱え苦しんだ人である。
妹のために秘密を墓場まで持って行くつもりだった。
それを一人の老人が罪を脆弱な器で最期まで抱えきれなかったため
そこに巻き込まれた形で
土足で踏み躙られた彼の秘密の領域。

その覚悟や決意した思いを薪さんは誰より理解できただろう。
秘密を抱え続けた時間の辛さも分かってあげられたと思う。
そしてこんな形で秘密を暴かれてしまった彼の無念を
誰よりも分かってしまった筈だ。

だから軽々しい気持ちでそこに触れた雪子さんに怒った。
彼女自身の軽率さにも苛立ったのだろうが
秘密に触れる危険性を諭したかったのだと思う。
仮にもこの先も誰かの死に直面して行く仕事をしていくのだから。

(いずれ書こうと思っているけど
この辺りの口論は薪さんなりの雪子さんへの優しさにも見えるんだよね。ちょっと邪推しすぎですかね?)


まあとにかく
ここで重要なのは
過去から解放されたくて逃げた迂闊な行為が
全く無関係の誰かの運命も巻き添えにして
揚句、狂わしてしまう
その波及効果の膨大さだ。

たまたま無関係の浜田家が巻き込まれた偶然性のようなことを言っているのではない。
関係者の運命もまた
良い方とは限らず左右されていった。

たった一人のたった一つの罪の告白が
こんなにも負の連鎖を生んだこと。
薪さんが最初に迂闊に触れるなと忠告したのも最もだと納得させられる。
強い説得力がある。

誰かの過去に
そんな気軽に触れては駄目なのだ。
MRIとはそういう捜査なのだと痛切に感じる。
そして捜査だけでなく
人としての関わりに於いても
他人の秘密に大した覚悟もないまま無分別にに触れるのは
不謹慎なのだと知った。


・・・・・・更にこれだけでは終わらず
この物語の着地点にもってきた結末がまた凄かった。(悲しすぎて)

それについては次記事で。




<参考までに・・・・>
薪さん1(4巻sp)
[ vol.5 ] CM1. TB0 . TOP ▲
2012*02*07(Tue)
秘密 つよし君と雪子さん3 (5巻)
5巻の薪さんと雪子さんの修羅場ですが
あれって薪さん視点で考えるともしかして
雪子さんが幸せな?苦労のなく穢れない道を歩んでいるくせに
たった一つの克洋くんの死だけを以って傷ついてる顔をすること

彼をイライラさせるんだろーか?

何も知らないくせに
何もしてないくせに
何も分からないくせに
なんかそういう声が聞こえてきそうだ。
何度見てもすげぇ修羅場だけど。

同じ傷痕なんだから、と私は勝手に解釈してたけど
たくさんの秘密を抱え込んで呑みこんで必死に踏ん張っている上で
更に克洋君への罪悪感を請け負った自分と同じ顔するなって
薪さんは思っているのかもしれない。

いっそ雪子さんが考えなしに無邪気に自分を責めてくれたら
返って薪さんを抑えている最後の糸も切れていたんだろう。
雪子さんが理性的に大人ぶるから薪さんも理性的に対処せざるを得ない。
そんな台本に沿った演技を続けてきた様に見える。

何でも上手くいって
何でも出来て
何でも手に入れられて?
世界の裏側なんか見たことないまま生きているくせに
被害者ぶってイイ子ぶって怒りも恨みもしない。
それが薪さんを苛立たせているのだと思った。

私だったらそう思っちゃうな。
自分も似たような状況に置かれているのでダイブ感情移入してしまう。

貴女は充分幸せじゃないかって責めてしまいそうだ。
幸せに生きてきたくせにって詰ってしまいそうだ。
もちろんそれを口にすることは絶対ないんだけど。

それを直接言えるということが何より重要なのだと思う。
言えない言葉は何も感じてないのと同じにされてしまうから。
言えないってすごくしんどいことだから。


それを踏まえてリモコン投げつけたあのシーンを見ると
ようやく雪子さんの一言で感情をぶつけ合う二人は
すごく人間的だ。

つーかこの投げつけた後の薪さんちょーカッコイイwwww

――――じゃなくてっっ!

雪子さんを誰よりも近い存在だと思っているからこそ
本当は一番の理解者になり得る筈なのに
むしろ「こっちを見ない」と淋しがっているのは薪さんの方かもしれない。
幸せな面しか見れず人間の裏側まで俯瞰するなんて思いもしない、
その上、克洋くんのことだけで傷ついた顔している彼女が
薪さんを無意識に傷つけていると思う。
ホントは薪さん
いつも泣きだしたい気持ちを必死に隠していたんだと思う。


やっぱりこの二人の糸が完全に解けるのは
雪子さんが待っているだけの姿勢を崩さない限り無理だね。

だから青木のプロポーズをきっかけに少し雲行きが変わっていったのは
良かったですよ。
結局破局するけどこの二人に風穴空けられたんだもん、良かったよ。<青木
これで後ろ髪引かれることなく薪さんは姿を消せるんだろう。

もし本当に第九から旅立つ決意をしてたなら
起爆となったこの件について
絶対雪子さんとの確執は消去しておきたかったと思うんだ。
克洋くんのためにも。

すべてを終わりにするために。
[ vol.5 ] CM0. TB0 . TOP ▲
    


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